【副島隆彦新刊】 『中国は嫌々(いやいや)ながら世界覇権を握る』(ビジネス社)


本日のぼやきより転載




中国は嫌々ながら世界覇権を握る(ここをクリックするとアマゾンが開きます)

以下にまえがき、目次、あとがきを掲載します。是非手に取ってお読みください。


(貼り付けはじめ)

まえがき 中国人がいま本気で考えていること  副島隆彦(そえじまたかひこ)

この本の書名は「中国は嫌々(イヤイヤ)ながら世界覇権を握る」である。なぜ中国が「嫌々ながら世界覇権を握る」のか。そのことを説明することから始める。
大きく言うと、ウクライナ戦争はロシアが勝つ。今のような戦争状態はもう続かない。何らかの形の停戦がある。停戦が破られてもどうせ膠着(こうちゃく)状態になる。
世界が第3次世界大戦に入り、核戦争の可能性もある。この問題については、後ろのほうで書く。

ヘンリー・キッシンジャー博士がちょうど100歳で死んだ(11月29日)。この人が世界皇帝であったデイヴィッド・ロックフェラーの代理だった。
キッシンジャーは、2023年7月19日に北京へ向かい、このあと更迭された李尚福(りしょうふく)国防部長と会っている。

(新聞記事貼り付けはじめ)

「100歳キッシンジャー氏、軍同士の対話復活探る 中国国防相と会談」

米国のキッシンジャー元国務長官が中国を訪問し、7月19日に北京で李尚福国務委員兼国防相と会談した。李氏が米国の制裁対象となっていることが、米中が国防分野での対話を再開できない大きな要因となっているが、中国側は米国の対応次第で再開の意図があることを改めて示した。

キッシンジャー氏はニクソン米政権の大統領補佐官として極秘訪中し、米中の国交正常化に道筋を付けた立役者。100歳となったキッシンジャー氏は現在の米中関係の緊張に危機感を持っており、2019年に習近平国家主席とも会談するなどいまでも中国側からの信頼は厚い。(朝日新聞 2023年7月18日)

(新聞記事貼り付け終わり)

キッシンジャー博士が死んでも、当分の間(あいだ)は核戦争は起きない。なぜなら、核戦争を食いとめるためにヘンリー・キッシンジャーという大御所が存在したからだ。この構造はすぐには変わらない。だから大丈夫である。

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『中国は嫌々(いやいや)ながら世界覇権を握る』 目次

まえがき 中国人がいま本気で考えていること ──3

第1章  中国が嫌々ながら世界覇権を握る理由

目の前に迫るアメリカの没落 ──16
アメリカはもはや核ミサイルを打てない ──21
世界覇権が「棚からぼたもち」で中国のものになる ──26
「賃労働(ちんろうどう)と資本の非和解的(ひわかいてき)対立」という中国の大問題 ──30
人権は平等だが、個人の能力は平等ではない ──36
李克強の死 ──44
アメリカに通じた大物たちの〝落馬〟 ──48
中国の不動産価格は落ち着いていく ──49
民衆にものすごく遠慮している中国共産党 ──53
統一教会に対して空とぼけている連中 ──57

第2章  中国はマルクス主義と資本主義を乗り越える

中国は自分たち自身の過去の大失敗を恥じている ──68
鄧小平と Y=C+I ──78
ジャック・マーを潰すな ──85
中国が気づいた有能な資本家の大切さ ──90
中国版のオリガルヒを絶対に潰さない ──97
中国は他国に攻め入るどころではない ──100
イデアとロゴス ──102
賃労働と資本 ──107
「賃労働と資本の非和解的対立」について ──111

第3章  中国と中東、グローバルサウスの動き

ハマスを作ったのはCIAである ──120
パレスチナの若者はハマスに騙されて死んだ ──126
中国が成し遂げたイランとサウジの歴史的仲直り ──128
もうこれ以上アメリカに騙されない中東諸国 ──134
追い詰められているのはディープステイト ──136
一帯一路、発足10年で強まるヨーロッパとの関係 ──138
グローバルサウスの結集 ──154
進むアメリカの国家分裂 ──159

第4章  台湾は静かに中国の一部となっていく

ムーニーの勢力にヘイコラする日本 ──164
何よりも台湾人は中国人である ──170
台湾軍幹部の9割は退役後、中国に渡る ──175
基地の島、金門島の知られざる現実 ──182
ラーム・エマニュエルという戦争の火付け役 ──184

第5章  中国経済が崩壊するという大ウソ

ファーウェイ Mate60pro の衝撃 ──190
中国の勝利に終わった半導体戦争 ──195
半導体製造にまで進出するSBI ──202
アメリカが80年代に叩き潰した日本の半導体産業の真実 ──205
日本人が作った革新的な技術 ──208
量子コンピュータは東アジア人しか作れない ──212
アメリカが敗れ去った量子暗号通信技術戦争 ──213
EVという幻想 ── 218
TSMCの奪い合いこそが「台湾有事」の本態 ──221
世界を牛耳る通信屋たちの最大の弱点 ──225

あとがき ──228

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あとがき  副島隆彦(そえじまたかひこ)

私が、この本で描きたかったことは、中国がもうすぐ次の世界支配国になる。アメリカ帝国は早晩(そうばん)崩(くず)れ落ちる。そのとき中国人は、どういう新(しん)思想で世界経営(けいえい)をするか、という課題だ。
今の中国人は、総体としてもの凄(すご)く頭がいい。文化大革命の大破壊のあとの44年間を、ずっと苦労して這(は)い上がって来た。このことが私は分かる。中国(人)は、もうイギリス(大英帝国。ナポレオンを打ち倒した1815年からの100年間)と、アメリカ帝国(1914年からの100年間)の2つの世界覇権国(ヘジェモニック・ステイト)がやった、ヨーロッパ白人文明(ぶんめい)(実は帝国が文明も作るのである)の救済(サルベーション)と博愛思想[フラターニティ](代表キリスト教) の偽善(ぎぜん)と騙(だま)しによる世界管理はやらない。棚(たな)からぼた餅(もち)が落ちてくる。嫌々(いやいや)ながらの世界覇権国だ。

中国は、カール・マルクスが発見した「賃労働(者)[ウエイジレイバラー]と資本(家)[カピタリスト]の非和解的対立」を何とか、180年ぶりに部分的に乗り越える新(しん)思想(イデー)で、世界を良導(りょうどう)しようと思っている。それを見つけることができるか。全てはここに掛(かか)っている。私自身の1973年(大学入学、20歳)以来の丁度50年間のマルクス思想との浮沈(ふちん)、泥濘(でいねい)でもある。
中国は、もう核戦争と第3次世界大戦の脅威さえも乗り越えた。そんなものは怖くない、という段階まで一気に到達した。私は誰よりも早くこのことに気づいた。
何という大ボラ吹きの大言壮語(たいげんそうご)を、と思われることはすでに計算のうちだ。先へ先へ、未来へ未来へと、予言(プレディクション)で突き進まなければ、知識・思想・言論を職業(生業[なりわい]) としてやっていることの意味がない。すでに私には、村はずれの気違い(village idiot、ヴィレッジ・イデオット)の評価がある。私だけは他のどんな知識人たちよりも、大きな言論の自由(フリーダム・オブ・エクスプレッション) を、この国で保障されている。しかも、出版ビジネス(商業出版物) としての信用の枠にもきちんと収まっている。

この本を急速に書き上げるために、ビジネス社編集部の大森勇輝氏の優れた時代感覚に大いに助けられた。記して感謝します。

2023年11月

副島隆彦

(貼り付け終わり)
(終わり)