見出し画像

17 巡礼後に気づくこともある

その日は最後の行程を歩いていた。Olveiroa から Fisterra である。距離にして28kmだが、記憶の中ではもっと長かった。

画像1

地図をみるとフィステーラへの途中で漁村もあり、その漁村にはたくさんのカフェも存在する。

ところが、十分な食糧を調達することができなかったように記憶する。お茶も飲むところがなかった。そんな感じだ。

ともかく、フィステーラの巡礼者事務所兼アルベルゲにたどりついたときは、この巡礼中もっとも疲弊し朦朧としていた。

感激のサンチャゴ到着からさらに3日経っていた。(左上はサンチャゴ巡礼者事務所、左下はフィステーラ巡礼者事務所、右下はアストルガにある聖ザビエル巡礼宿の、スタンプ=翌日29日にガウディの建築を見るためアストルガに移動し一泊したと記憶する。)

画像3

そして、スペイン西部最果ての地と呼ばれるフィステーラに到着するというそんな記念すべき日であったにも関わらず、そのときのぼくはとても自暴自棄な気分になっていた。何もかも投げ出してしまいそんな気分であった。まわりのみなさんには不快な思いをさせてしまったかもしれない。申し訳なく思う。

そして、そんな心理状態になっていた理由は今なら明確だ。それは低血糖によって起こる症状なのだった。

画像2

そういえばこんな気分になることがそれまでにも多々あって自分を律することに苦労していた。

この旅では、自分を疲労困憊するまで追い込む癖があり、そんな癖が自分の人生を貧相なものにしていると気づく機会があった。燃え尽き症候群とでも呼ぶものだ。そしてこの気づきによって、この旅以降は、疲れたら休む、無理はしない、気持ち良い状態に戻す、ということの重要性を学んでいった。これは旅から得た大きな教訓でもあった。

また、細かいところでは行き当たりばったりで、事前によく調べて準備することを怠る癖もそれに拍車をかけている。例えば他の日本人巡礼者のブログを読むと、歩いている途中でカフェなどがなくお腹が減って燃料切れを起こさないようにちょっとした食糧を持ち運んでいた。備えあれば憂なしを知っている人たちだ。

まるで、そのことを体験として心に深く刻ませるためでもあるかのように、この出来事はフィステーラ到着でクライマックスに達したのであった。

*** 自分の中で、燃え尽き症候群という習慣と、低血糖になりやすい体質は不可分に結びついて自分の人生を悲惨なものにしていたのだった。***

17年前のこの巡礼を思い出しながら、前回16と今回17と書きすすめてきた。そして、上記の***は、この巡礼によって与えられた聖ジェームスからの贈り物であったのだなあと少しおセンチな気持ちになっている。

つづく