【転載】グローバリゼーションは死に絶えた。今年のダボス会議はその葬儀だった


ちょっとしたいい知らせ(ポール・クレイグ・ロバーツのブログより)


<記事原文 寺島先生推薦>

A Bit of Good News

出典:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)のブログ



2023年1月24日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月5日

 エカテリーナ・ブリノバの筆による記事「グローバリゼーション(世界の一体化)は死に絶えた。2023年のダボス会議はその葬儀だった」 からの引用。
https://sputniknews.com/20230121/globalization-has-died-and-davos-2023-was-its-funeral-ceremony-scholars-sum-up-1106556837.html

 ロシアと中国に対するネオコンの攻撃は良い兆しになった。そのおかげでグローバリズムは葬られたからだ。ロシアと中国、それにロシアのエネルギーや中国の商品と金融に依存している国々は、世界を米国の覇権のもとに一体化しようという世界経済フォーラム(WEF)の努力の手から逃れたのだ。グローバリズムは、ワシントンが他の残りの国々から搾取する手段にすぎなかった。ブリノバ女史が書いているように、世界経済フォーラムというのは、ワシントンの規則のもとで世界の残りの諸国を独裁しようというエリートのための集まりだ、つまり、「グローバリズム」という仮面をかぶって、ワシントンが世界支配を行おうとしているということだ。

 クラウス・シュワブはもう80代なので、もうすぐいなくなってしまい、それとともにWEFも終焉するだろう。ビル・ゲイツが、自身の病的な目論見のもと、WEFを維持しようとするかもしれないが、現在の米国はレーガン大統領時代と比べて本当に小さな力しか持てていない。

 ワシントンは、非常に閉じた社会体制であるので、その社会は愚かな結果しか生み出せていない。公式説明にとらわれずに物事を考えられる人々は、ただただ受け入れられない。指導者が、客観的な真実に基づいて行動を起こし、ワシントン内に影響を与えることはもはやありえないことになった。

 米国においては、自由な社会の建設に必要な要素はすべて瓦解させられている。立法権は、議会から行政の規制機関に移行されてしまった。この規制機関が、法律施行上の規制を決めているのだ。裁判官が選ばれる理由は、裁判官のもつ信念、例えば中絶推進派なのか、生存権を重んじるのかなど、により決められ、その裁判官の法律や憲法上の規定についての知識などは考慮されない。治安当局は政治的色彩を持たされ、我が国を守るのではなく、既得権力者に奉仕している。学校で教えられている教育内容は、反白人、半米国民主義の刷り込みである。 例をあげれば、1619プロジェクト*や批判的人種理論**だ。大学も含めた米国の学校制度で子どもや若者たちに教えられていることは、白人は人種差別主義者であり、「肌の色が有色な人々」を抑圧してきた罪を背負っている、というものだ。

* 米国の真の歴史は黒人奴隷が米国に連れてこられた1619年を起点とするとして、400周年を記念して2019年8月に1619プロジェクトが発足した。1619プロジェクトは、「奴隷制の結果と黒人アメリカ人の貢献を私たちの国の物語の中心に置くことによって、国の歴史を再構成する」として、米国の歴史の見直しを迫った。

** 1970代初め、法学者が考案した学問的概念。この理論は、白人至上主義の遺産が、米社会形成の根幹をなす法律や制度を通じて現代社会になお組み込まれていると主張している。

 この支配的な教義が前面に出されているので、ネオコン勢力による、「米国は、イスラエル同様、選ばれた国家であり、例外的かつ唯一無二の国家であり、米国民は神に選ばれた民である」という主張は、洗脳された若者たちからの十分な支持を得ることができなくなっている。明らかにネオコン勢力によるこの主張は、若年層が受けている教育内容とは相容れない。

 こんな国がどうやって戦争という道に邁進することができようか? ネオコン勢力は戦争を望んでいるようだが。こんな国が、ロシアや中国という強力な国々と戦える訳がない。この国の教育制度において若年層に教えられている内容は、自分たちの国は、邪悪とさえ呼べるくらいに人種差別主義者であるというものなのだから。人種差別主義や搾取主義を取っている自国の米国の為に戦おうという国民などいるだろうか? しかも国家予算がジリ貧の中でも、軍産複合体からは搾取しない国なのだから。国民が軍に強制招集される可能性はあるが、自国を思う気持ちのない国民に、どれだけの戦いを期待できるというのか?

 感受性訓練*が施されているため、白人の異性愛者の昇進が否定され、性別や人種間の「平等」が成し遂げられる中で、白人男性の異性愛者は、黒人やトランスジェンダー、ホモセクシャル、女性の軍人よりも下に見られる傾向のせいで、米軍から魂が抜かれてしまった。米軍がアイデンティティー政策**により分断され、まとまりがなくなった中で、台頭しつつある2大強国と相対している。しかも、この2大国の軍は、米軍とは違い、ウォーク政策***による士気喪失に苦しめられてはいない。

* ディスカッションのテーマや話の内容よりも、自分や他者の反応を通して感情の違いや変化を理解し、受講者自身の成長を促すためのもの

** 人種、民族、性的指向、ジェンダーなどの特定のアイデンティティーを持つ集団が社会的に不当な扱いを受けている場合に、社会的地位の向上を目指して行う政策のこと

*** 人種や性的志向などの差別に対して高い(しばしば高すぎる)意識をもとうとする姿勢のこと。

 ロシアと中国が勢力を伸ばしている中で、西側のあちこちで破滅の兆候が頭をもたげているのが見える。ワシントンによる「強要外交」を支持する基盤は崩れつつある。 西側による世界支配が崩壊の兆候を見せていることは、核戦争によるアルマゲドンから私たちが逃れるよい兆しかもしれない。


以上