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電工2種に受かったので体験記を書いてみた



はじめに

令和6年度上半期に2種電気工事士を受けて、無事合格することができた。記憶が残ってるうちに合格体験記を書いてみた。参考になれば幸いである。

動機

持ってたら便利だなと思ったため。現在、古民家のリノベしているのだが、電気設備が古く、様々な場所の交換が必要になっている。スイッチやコンセントの交換程度でも職人さんにお願いすれば、5000~数万円かかる※。今後もこの程度の工事は発生することを考えると、資格を取っても元が取れると考え受けた。

※これぐらい取らないとビジネスにならないのはよくわかるので、職人さんを批判しているわけではない。現調、打ち合わせ、実作業の工数などを考えたら当然の費用だと思う。

筆記試験

筆記試験は正直それほど力を入れていない。合格できたからよかったものも、もう少し頑張るべきだったと反省している。大学が理系だったので(といっても情報系なので電気を学んだわけではない)いけるだろうと軽く見ていた。全体的には中学生の理科+αぐらいの難易度だと思う。大学受験で物理を使った人ならそれほど苦労はしないと思う。テキストはTACのテキストを使った。特にこだわって選んだわけではないのでもっといいテキストもあると思う。

藤瀧 和弘さんのすぃ~っとシリーズのほうがよかった気もする。

勉強は覚えるだけの鑑別問題から手を付けて、内線規程、複線図、計算問題と進んでいった。内線規程系の問題は細かい暗記が多く、時間がかかる。理解が曖昧なまま試験を迎えてしまった部分も多い。計算問題に関しては最初の方しか手を付けてない。とてもちゃんと理解できたとはいえない。テキストは何週もしたが、過去問は手を付けずに終わってしまった。本番は自己採点で34点だったので、もうちょっと勉強したほうが良かったと思う。

技能試験

こちらの方が勉強した。この記事を読んでいる方はわかると思うが、この試験は出題された回路図を見て40分以内に完成させることが求められる。電
子工作は昔からやっているし、簡単だろうとタカをくくっていたのだが、そんなことは全くなかった。しっかり練習してこないと合格は難しい試験だと感じた。

テキストは藤瀧 和弘さんのすぃ~っとシリーズを買った。

理由は図が多くてわかりやすそうに感じたため。テキストを通読し、輪作りなどの単位作業をやってみた後に、時間を図って候補問題に取り組んだ。最初に取り組んだ時は50分かかっても終わらなかった。寸法は間違ってるし、重大欠陥があちこちある、まごうことなき不合格作品だった。技能試験には重大欠陥といって、そのミスをすると他が完璧でも不合格になるポイントがある。このミスを避けるためには見直し時間が必要で、25分程度で完成させられないと合格は厳しい。50分かかってミスだらけというのは、確実に落ちる状況である。これはマズいと危機感を感じ、本腰をいれて取り組むこととした。

自己分析してみると、以下の修正点があると感じた。

・回路図→複線図に時間がかかっている。
・寸法を間違って切っている。
・VVFケーブルの外皮を向くのに失敗することがある。
・リングスリーブに線が入らず手間取っている
・リングスリーブでカシメるときにずれてしまう
・輪つくりに手間取っている。

単線図→複線図に時間がかかっている。

確実に作業するためには、作業メモとして単線図を複線図に書き直す必要がある。プロの方は書かないようだが、受験生レベルでは書いたほうが確実である。複線図は難しくはないが、書きなれないと素早く正確に書けない。部品を書く位置、線の引く順番を考えないと、グチャグチャした意味のないメモ出来上がってしまう。ちなみに、複線図が書けてもそれを見て結線するのには慣れがいる。帰り線は試験ではスイッチからランプまで、途中にジョイントボックスを経由することが多いのだが、ここでケーブルが2芯から3芯になったり色が変ったりして混乱する。これについては慣れるしかないと思ったので、何度もイメトレを繰り返した。書かずとも実配線がイメージできるようになった。

寸法を間違える

実技試験では線の寸法をミスってはいけない。与えられている寸法を確実に測り、さらに接続用のシロを足して切る必要がある。引掛けシーリングであれば2cm、ランプレセプタクルや露出コンセントであれば5cm、埋込コンセントやスイッチ、ジョイントボックスであれば10cmといった具合である。短く切って寸法の半分以下になると不合格になってしまう。こう書くと長めに切りたくなるが、線はぴったりしか渡されないので、長く切りすぎると確実に足りなくなる。電線の追加補充はないのでミスると終わりである。したがって確実に切る以外に方法はない。最初のうちは間違えて切ってしまっていた。これは切る前に何度も確認することでミスしなくなった。

VVFの外皮剥きでミスる

電工受験ではVVFケーブルというケーブルがメインに使われる。このケーブルを剥くのにはペンチ型のストリッパーと、ガッチャンと言われる引きちぎり型のストリッパーのどちらかを使う。前者は安いし断面が奇麗なのだが、少しコツがいる。握りすぎると中のIV線被覆や芯線を傷つけてしまう。芯線の傷つきは深いと欠陥になるので絶対避けなければいけない。逆に握りが甘いとうまく向けず外皮が傷だらけになったり、中の線が動いたりする。特にエコケーブルは失敗することが多かった。これに関してはガッチャンを買って済ませた。

ガッチャンは挟んで握るだけなので、慣れはほぼ不要である。勢いよく握れば確実に剥ける。エコケーブルだけは慣れが必要なので、1mぐらい買って感覚を確かめた方が安全である。あと長さは目検で剥ける方がよい。ペンチ型のには定規がついていることが多いが、ガッチャンにはないことが多い。2cm、5cm、10cmは工具の部品を目印に剥けるようにすると早い。

リングスリーブに線が入らず手間取る

技能試験にはリングスリーブの接続が必ずある。2本程度なら楽に入るのだが、3本4本となるとうまく入らないことがある。特に線に癖がついていたりするとうまく入らない。グリグリ手を痛めながら押し込んでると時間をロスしてしまう。これに関してはホーザンの合格ツールを使った。

この道具にはリングスリーブ用の穴が開いているので、ここを使うと確実に押し込むことができる。特に1.6mm4本の時は心強い。

リングスリーブでカシメるときにずれる

リングスリーブはカシメたあとに、下端から被覆の間が10mm以上出てはいけない。もちろん差し込んだ時はこれ以下にセットするのだがカシメて力を入れてるうちにズレることがあった。これに関しては線の固定が甘いことが原因だと思ったので、合格クリップを買って対策した。

これを使って根元とリングスリーブの下を抑えたところ成功確率が上がった。合格ツールや合格クリップは一見くだらないツールに見えるが、あると全然違う。高いものではないので買った方がいいと思う。

輪作りが安定しない

露出型コンセントやランプレセプタクルでは輪作りが必要になる。特にランプレセプタクルは、ほぼすべての候補問題で出るので、輪作りは絶対にできるようなっておかないといけない。これについてもテキストにやり方が載っているのだが、根元が5mm以上でたり、円周が3/4位に届かなくなったりと、工作精度が安定しなかった。これについては、やり方をキチンと守れていなかったのが原因だった。14mmのペンチを使って2回曲げて、2mm残して切るのだが、2mmの部分が短めだった。ここが短いと輪っかが3/4を超えない。これに気が付いた後は安定した。

これらの対策をしてみたところ、候補問題が安定して25分ぐらいで終えられるようになってきた。自己採点でも重大欠陥が見つかることはなく、合格に近づいた気がしてきた。候補問題はすべて作り、3路や4路などは2回作った。それ以外は輪作りなどの単位作業を練習した。工業高校の電気科では、すべての候補問題を2,3週と練習するようなので、もっと練習した方がよかったかもしれない。

試験当日

会場は幕張メッセだった。よくある長机が大量並べられていた。準備はそれなりにしてきたつもりだったが、最初の5分は手が震えていた。27分ぐらいで完成できたので13分を見直しに充てられた。穴が開くほどチェックしたと思う。

試験後

おおむね準備すべきことはしたし、作品を完成させることもできた。見直しを何度もしたので、たぶん受かってるだろうとは思っていた。しかし、見落としている重大欠陥があるのでは?という不安は消えなかった。試験あるあるであるが、試験後には余裕だったとか言ってる人や、リングスリーブの刻印について話している人が見受けられた。聞いてると不安になるのでさっさと帰った。帰り際には自分への慰労ということでビールを飲んだ。

合格後

webで合格を確認した時は安堵した。自信はそこそこあったが受かると嬉しい。まだ免状を得たわけではないので、これから申請ということになる。

あとがき

ところでこの資格、勉強に結構お金がかかる。筆記試験はテキストと過去問だけなので3~4000円ぐらいで済むが、実技試験は数万円かかる。工具をそろえないといけないし部材も必要だからだ。ドライバーなどは手持ちを使ったが、電工ナイフ、圧着工具、ストリッパー、工具袋を買ったため、1.5万円ぐらいかかった。電材に関しては、スイッチなどは安いが、電線が高い。グランド用のIV線3色、1.6-2CのVVF、1.6-3CのVVF、VVR、エコケーブルなどで2万は使っている。切るところから練習しないと意味がないので、複数回やるなら1.6-2Cは20mぐらいは用意する必要がある。試験費用も含めると、5万弱はかかった。私は独学で合格することができたが、実技のセミナーに行けばもっとかかると思う。

比較的合格率の高い試験ではあるが、やはり合格できると嬉しい。工事資格を得ることができたことも嬉しいが、試験勉強を通じて多くの学びがあった。100Vは電子工作とは違い、間違えれば感電や火災の危険性がある。さまざまなやってはいけない事があり、確かにこれは素人にはさせたられないなと強く実感した。試験合格したが、まだ最低限の知識と工具の使い方に慣れたぐらいで、現場のことはわからない。今後も油断することなく邁進していきたい。

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