音楽家の対価について

若い時だったら、友達とか知り合いにタダで楽器を弾いてもらうってことがよくあったけど、自分がプロになった今、演奏家にタダで弾いてくれなんて絶対言わなくなった。それは音楽で生活してるから当然なんだけど、演奏の対価としてお金を直接払う以外の方法で、健全な関係性は築けないだろうか、と考えている。

最近、ダンスミュージック界隈などでアーティスト同士がコラボする場合、原盤印税を按分する方法が出てきてるけども、これを演奏家やアレンジャーにも適用できるんじゃないかと思っていて。Tunecoreというデジタル配信サービスがスプリットという売上按分機能を実装してから、日本でも音楽の制作に関わる全ての人が印税を受け取るチャンスが出てきたんじゃないかと。もう10年近く前になるが、恩師の牧村憲一さんが未来型音楽レーベルを構想する際に、しきりにこれからの時代はニューミドルマン(マネージャー兼プロモーターのような役)が大事とおっしゃっており、津田大介さんはその取り分は半分でも妥当なところ、とまとめられていたのが印象的だった。僕もフリーのプロモーターと売上折半で協働するのは昔からやっていたけど、これからは楽曲に関係する度合いで、制作に関わる皆が原盤印税を受けても良いのではと思っている。制作に関わるとは、演奏家はもちろん、アレンジャー、エンジニアなどなど、、、そもそも結構前からアレンジャーに印税が入らないのを不満に思っていたので、やっぱりここらでシステムを変えたいところである。

こんなこと提案すると当然作曲家である自分の取り分が少なくなりそうだが、とはいえ創作の段階でギャラ前提じゃなければ初期費用のことも気にせず作れるし、関わる人も売れればそれだけ実入りが良くなるから作品とも近く感じられてクオリティが上がりそうとか、いいことも多いんじゃないかと思っている。一つ一つは少額でも、関わった作品だけ財産になる。そこからヒットが出たら最高だし。

なんでこんなことを考え始めたかというと、現代の日本はあまりにもお金に生活を支配されていて、そこからどうにか脱却したいと。企業と個人とのビジネスにお金が介在するのは当然だけども、個人の創作については、お金よりその人物の信用によって音楽のスキルを提供してもいいんじゃないかとか。価値のある音楽を作り上げるために、皆が少しずつリスクを負いつつ、初期投資の少ない方法を選んでいったほうが最終的にみんな幸せになるような気がしている。

これから自分のソロを作るにあたり、演奏家やエンジニアの協力が不可欠なので、もしギャラ保証じゃなくても一緒にやってくれるという方は、ぜひご連絡ください。

<今日の音楽 Satie - Nocturnes: 3. Un peu mouvementé>


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