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スウェーデンのビジネススクールの最初のモジュールが終わった

9月から始まったビジネススクールの最初のモジュール課題に対してのフィードバックがやっと返ってきました。
(いままでのビジネススクールに記事は下記にまとめています)

結果としてはありがたいことにDistinctionの評価をいただき、まあよかったよかったという気持ちです。
ちなみに、Distinctionって何かっていうと

イギリスの大学院では日本の一般的な大学とは違いGPAという指標で成績評価が行われていないです。代わりに一番上の成績からDistinction(最優秀)、Merit(優秀)、Pass(合格)、Fail(不合格)の4段階で評価が行われています。Distinction(最優秀)では70%以上、Merit(優秀)は60%以上、Pass(合格)は50%以上、Fail(不合格)は40%以下の成績に付けられます。

マンチェスター大学院のMSc Digital DevelopmentをDistinctionで卒業するための戦略(入学前)

ということです。Hyper Island自体はスウェーデンのビジネススクールですが、修士号のプログラムとして連携しているのはイギリスの大学院なため、課題を提出するのもその大学院で、評価もイギリス式で行われます。

Hyper Islandのモジュールについて

Hyper IslandのMA Digital Management (Part-time)クラスは、下記6つのモジュールから構成されています。

  • Humans or Customers

  • Intelligent Machines

  • Business Transformation and Innovation

  • Agile Making and Prototyping

  • Future Scenarios

  • Leading Teams

基本的にはそれぞれ1.5ヶ月ぐらいのモジュールになっており、ひとつのモジュールが終わったら、次のモジュール……という形でシリアルに続いていきます。
ただ 『Leading Teams』と『Agile Making and Prototyping』だけは他のモジュールとかぶる形で並行に行われます。これらは文字通りチームやプロジェクトをリーディングする方法と、アジャイル型プロトタイプの方法論とマインドセットについてのモジュールです。

まあ、なのでたぶん
・チームでうまく活動しつつ
・ソリューションを柔軟に高速にプロトタイプしながら
という前提は持ちつつ、いろいろな授業を経験してね、ってことなんだと理解しています。

ふう、前提がめっちゃ長くなった。
やっとですが、11月の初めに最初のモジュールである『Humans or Customers』の授業が終わり、単位取得の条件である論文のフィードバックも今週返ってきたので、振り返ろうと思います。

Humans or Customers

さて、最初のモジュールは『Humans or Customers』です。デザインシンキングをモジュールの中心におきながら、そのプロセスや概念自体を批判的に分析することを目的としています。

実際のデザインシンキングとは?人間中心設計とは? のような授業っぽい授業は1-2回しかなく、残りはグループワークです。(前から聞いてはいたけどこれがHyper Island式)
Hyper Islandのグループワークの内容ですが、基本は実際の企業が課題を出してくれ、それに対してグループで提案するという流れで行われます。このモジュールではスウェーデンでは著名(らしい)なITサプライヤーでした。
で、今回のモジュールではその提案のプロセスや手法として、デザインシンキングを活用してね、って感じです。

実存するクライアントのリアルな課題を解いていく、ということ自体ももちろん学びが深かったのですが、それ以上にグループワークのプロセスに学びが多かった気がするので、それをここからメモしておきます。

チームは基本うまくいかない

グループはランダムで決まるので(たぶん)、グループワークのプロセスはグループによって大きく変わるとは思います。ただ大枠の難易度が高いポイントは一緒なのかな、と感じることも多く、いろいろ勉強になりました。

まず大事な学びとしては、超当たり前ですが、共通言語もなく、お互いのこともあまり知らないなかで、グループワーク(しかも難易度が高い)を行うのは超絶大変ということです。
しかもそこに文化的な違いや、個々人のエゴが組み合わさるので、チームをまとめていくプロセスはかなり難しかったと感じています。

ただ、個々人のフリーランス化がちょっとずつ加速していく世の中で、新しいメンバーでプロジェクトをやる機会というのは増えていくことが多いと思っており、個人的にはそのカオスを体験できたのはよかった。

といっても正直裏技はなく、一般的に言われているチームをリードするために重要なことを、もっともっと丁寧にやろう、っていうことな気がします。

個々人の目的を最初にすり合わせておくことはすごく大事

前述の通り、Hyper Islandは実在する企業のプロジェクトベースでクラスが進みます。
ただ、もちろんそれがその企業のクリティカルな課題であれば、すでにその会社内でかなり話されていることでしょうし、彼らも1.5-2ヶ月のグループワークで実際の業務で使えるような画期的なアイデアが出てくると期待していないような気もします。
この前提を持っているかどうかで、個々人のモチベーションのあり方が違うような印象は受けました。

例えば、

  • クラスとかグループワークは関係ない。修士号がとれればいいので、単位に関係がある最低限のことしかやるつもりない

  • クライアントに対して、真面目にいい提案がしたい。そのために現状の問題把握から、しっかりプロセスを踏んでやっていきたい

  • とりあえず自分の学びを最大化したいので、このモジュールで求められているメソッドを活用しながら、おもしろい提案(必ずしもクライアントが使いたいかは別)をしたい

などなど。これらの目的・やりたいことが個々人でずれていて、そこに気づけないと「あいつやる気ねえな?」「いや、それだとクライアント満足しなくない?」「このままだと授業でやってるのに普通な提案になるじゃん・・・」みたいなズレが起きる原因が特定できずに、不和が起きます。この最初のすり合わせのプロセスをやっていたグループは楽しんで取り組めている印象を持ちました。

僕は初期段階で、グループの1人とたまたまそこを雑談のなかで擦り合わせることができました。1人だけでも目的があった上で進められたことは、ひとつストレスが少なくなった要因のひとつだった気がします。

あれ?という違和感をほっとくとあとでダメージがくる

グループワークの途中では、デザインシンキングのプロセスに従って進めたいメンバーと、デザインシンキングのプロセスを理解しきれていないメンバーとの小さい衝突もありました。(少なくとも僕にはそう見えた)

コミュニケーションはSlackで行われていたので、僕を含めた他のメンバーも何かが起きていることは認識していましたが、「まあいい大人だし、ほっておくか」というマインドのもとスルーしていたら、1人がグループワークに参加しなくなったり、参加したとしても議論ではなく論破をしたがったりなど。とても建設的とは言えない状況が生まれてしまいました。

まあ、文化が違うなかで、オンラインでやりとりするんだから、気にしすぎるぐらい気にした方がいいですよね……。気にかけてくれたことで怒る人ってそんなにいないと思いますしね。次あったら顔つっこんでおこう、ぐらいのテンションの学びでした。

みんなメンタル強い。いや、日本人が弱いのか?

そんなこんなでグループのなかでも波があったのですが。
僕が驚いたのは、なかなかグループワークに参加しなかったメンバーがプレゼンの準備段階になって、いろいろと「こうまとめるべき」とか「ここの文章直したい」とかグイグイ意見をするようになったことです。

日本人マインド的には「迷惑かけたから、大人しくしてよう」って感じになるシチュエーションですが、おそらく周りにどうみられているかは全然気にしておらず、気になったことは言う、というスタンスなのでしょう。

プレゼンの準備が終わったときは「めっちゃチームに貢献しました!」みたいなテンションを見せており「おいおい誰のせいで準備が進まなかったんだよ……」という思っていたメンバーも少なくなかったような気もする。

まあただそのぐらいの図太さというか、メンタルの強さは必要なんでしょうね。これは一例ですが、いろんなことを見ていてそう思うので、彼らが強いのでなく、日本人が文化的に周りを気にしすぎ、という感じなのかな、と新たな気づきにはなりました。

信頼関係がないフィードバックは無意味

プレゼンが終わったあとは、個々人のメンバーに対して各メンバーからのフィードバックの時間がありました。フィードバックはHyper Islandのなかでも大事にしている文化のひとつで、ことあるごとにフィードバックの時間があります。

ただ、上記の通り、今回のグループがすんごくうまくいっていたグループだったかというとそういうことはなく。そんななかで行われるフィードバックは形式上のものになりがちで、クリティカルなものは実際少なく思えました。

どこまで相手との信頼関係を築けたかによってフィードバックの質も変わるため、自分へのフィードバックをしっかり欲しい場合は、まずは信頼関係の構築から始める必要がある。
当たり前のことですが、特にオンラインで文化も違うメンバーとの間では意識しすぎるぐらい友好的に信頼関係を作ろうとする態度を見せるのがいいんだろうし、そこについては反省が残りました。英語力のせいにして、なかなかメンバーの懐に飛び込んでいくようなコミュニケーションはできなかったので。

エッセイはまあなんとかなる

これは、Hyper Islandのプログラムでマスターをとる意味においては、重要な気づきです。
今回のHumans or Customersだけではなく、Hyper Islandを通した大学院の単位取得に必要な課題のほとんどはエッセイ形式です。入学の際のインタビューでも「課題は英語のエッセイになるけど、大丈夫?(※私の英語力が低かったので心配してくれたんだと思う)」と聞かれていたので、割とびびっていたのですが、結果は冒頭に述べたとおり、Distinctionをいただくことができました。

ただ、私自身すごくエッセイに力を入れたかというと、そんなことはなく。
今後将来、自分が英語で論文を書くことはないと思っているので、その書き方を深く学ぶつもりはないですし、まあ最低限単位とれればいいかなぐらいのテンションで書いてはいました。

そんな思いから、日本語で書きたいことをとにかくダアアアアアっと書いたあとで、ChatGPTに「中級者の英語力で英語にしてくれ(プロンプト意訳)」って翻訳してもらった英語に手をいれていくスタイルで望みましたが、いい結果をとることができました。
結局日本語の時点でちゃんと書ければ、どうにか最新のテクノロジーの力を借りればなんとかなる、ということが証明できた出来事と言えるのかなと思っています。ちなみに、ChatGPTとDeepLとGrammarlyを活用しました。
もちろん日本語でもまとめられてなかったら、意味ないと思いますが。Distinctionをとれていないメンバーも多くいたみたいなので、単純にいい評価をもらうというのが簡単、というわけではなさそう。


いつも長くなってしまう・・・。もっとコンパクトにみんなが興味ありそうなことまとめた方がいいと思いながら、まあどこかにいるかもしれないHyper Island気になる人に届けばいいか、という投げやりな気持ちで書いています。

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