9月23日

SHORTSHORTSのフィルムフェスティバルに行った。表参道Space O、どこなのだろうと家の玄関を出て歩きながら調べたら表参道ヒルズの中だった。午前中のアニメーション&CG部門、午後からのアジア部門、インターナショナル部門、せっかくだしと思い3つ観た。ショートフィルムは普段あまり観る機会はないけれど、こういうイベントなどでたまに観るととても面白い。奥が深い。特にアニメーションは台詞がないものも多く、時間もとても短い、だけどその中に驚くほどの情報量が詰まっているのであって、シンプルなものほど難しいけれどその分強いよな、と思ったりする。いろんな国の作品を観ることができ、大変に満足した。

でも1ブロックにつき5本連続で観るのでいくら内容が良く短いとはいっても集中力を保つのは大変だった。映画館と違って椅子が硬いし会場は非常灯が明るく完全に真っ暗ではなかったことも大きかったように思う。やっぱり映画は映画館なのだな、と思ったりしたけれど、監督によるアフタートークなどもありイベント感があってこれも醍醐味なのかもしれないと思った。

普段だったら迷いなくひとりで行っているところだけど、長丁場なのでひとりだと途中で飽きるかもしれない(あるいはさみしくなるかもしれない)と思い、久しぶりに会う友達を誘っていた。彼はアメリカに行く前に一緒に英語を勉強した友達で、つまり十代からお互いを知っており、趣味が合うのでイベントやライブや美術館などいろいろな場所に一緒に出かけた。お互いのクズさも割と知っているので今さら取り繕う必要がなく一緒にいてとても楽な相手だ。最近めっきり会っていなかったし何となく顔が浮かんで久しぶりに誘ってみれば、なんと何日か前に子供が生まれたところだということを会って初めて聞いたのだった。

コロナ禍において周囲では結構な数の新生児が誕生しており、心から祝福すると同時に、この時代に生まれてくる子供たちの苦労を憂いずにはいられない、というのが正直なところで、でもだから、やっぱりもっとちゃんと良い世の中にしていかなくては、と強く強く思うのだった。

表参道から外苑前まで歩いて軽く夜ご飯を食べ(わたしは中華か台湾料理が食べたいと言ったのに、最近は肉を食べないとぽろっと言ったらそう言えばクラブで会ったひとがヴィーガンのお店やってると言っていたからと言ってそこに連れて行かれ、全然中華も台湾料理も食べられなかった。そこのヴィーガンカレーも美味しかったけれど)、小雨降る中原宿まで歩くかーと言って、通りかかったワタリウムのショップを物色し(わたしは単行本のエッセイを2冊買った。読書欲。単行本を買うことはとても贅沢だと感じる)、歩きながら最近読んだ本の話などをし、そうしてようやく村上春樹の最新作がいかに駄作かということを心底共感し合うなどし一日を終えた。こういう休日っぽいのは考えてみればとても久しぶりだった。放っておくとずっとどんどんひとりでいてしまう節があるが、やっぱりときどきはひとに会うことも大切だなと実感した。

ほとんど同時に読み始めた江國香織のエッセイ2冊『旅ドロップ』『物語のなかとそと』をきのうほとんど同時に読み終わった。ふだん江國香織は小説ばかりを読んでおり、エッセイはたぶん随分前に1冊か2冊読んだきりで、小説を愛読する作家のエッセイを読むことはなんていうかある意味答え合わせのような感じで、私生活やひととなりが垣間見えるエッセイもちゃんと好きだと思えることは嬉しいことなのだった。江國香織という生き物をとても愛おしいと思った。

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