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天野陽光編第五話

「似合ってるよ」

その人が似合ってるって言ったのは綺麗な格好の…

みんな偏見ばかり。平気で外見で判断してくる。男だから外見で判断したとしても綺麗と言われるのは微妙。だけどそれを売りにしろって言われてる…複雑。だって実際それで売れてるから。そして2番目に言われる言葉は可愛い。これだから。だからあてつけ。君なんて君なんて…人目見たときから思った。かっこいい、クール。1番ほしいもの。

「かっこいいね」

一度でも言われたい。最初はそうだったの。でも…

「美少年?かっこいい?」

「自覚ないの?」

「ああ」

「今まで女の子に告白されたことは?」

「ある」

「カット」

なぜこんなことになってるのかって全てはあいつの美蘭のせいだ。だから美蘭を…いや不思議と恨みはしなかった。

「アイドルになってみないか?」

そう社長に言われた。断ろうとも思ったが意外に面白い。そしてなにより

「二度と出られないよ」

なんか引っかかる。それだけ面白いと言うことだろう。だからやってみるとそう思った。

「クールな雰囲気がいいねー」

「ありがとうございます」

「笑顔がサイコー!じゃっまたっ!」

たった一回、美蘭と撮影しただけだったのに話題をかっさらい俺は有名になった。人生何が起こるか分からない。

「なんだ…自覚ないんだ…」

「ん?」

その反応も、ずるい。なんかこの人って天然?せっかくミステリアスな雰囲気作ってるのに台無し。イチイチ痺れるくらいかっこいい。

声すらもかっこいい。この人には太刀打ちできない。嫉妬は尊敬へと変わった。

「この世界へ導いてくれてありがとう、美蘭」

「うん、てんちゃん」

だけどまだ心の整理ができない部分があるから少しだけまだ…嫉妬させて。尊敬する人。

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