V "Love Me Again" もう一度愛してくれたなら ~日本語選びにこだわる和訳歌詞 no.105
Love Me Again
思い出も意味無く
僕から君は消えて
このところも僕は
君を 手放せない
君を 手放せない
あの言葉が全てなの?
ひと言だけを残して
後悔しているのなら
僕に言ってくれないか
僕に言ってくれないか
そう 僕は正直に
全てを話すよ
君が毎日 誰と 何処で
何度も何をするのか、君を想う
君がいないと駄目なんだ
君が もう一度
僕を愛してくれたらいいのに
君さえいてくれたらいいんだ
君が もう一度
僕のことを愛せたらいいのに
もう一度
君が もう一度
僕を愛してくれたらいいのに
君さえいてくれたらいいんだ
君が もう一度
僕のことを愛せたらいいのに
もう一度
僕だけがやたらとこうなのか
僕の傍に誰がいても平気なの?
遠い昔にゆっくりと
思いを馳せて 永遠のものに
大丈夫って言わないで
わかったと言ったのは
平気だよと言ったのは
ごめん、嘘なんだよ
離れないで
あっちに行かないで
遠くに
そう 僕は正直に
全てを話すよ
君が毎日 誰と 何処で
何度も何をするのか、君を想う
君がいないと駄目なんだ
君が もう一度
僕を愛してくれたらいいのに
君さえいてくれたらいいんだ
君が もう一度
僕のことを愛せたらいいのに
もう一度
君が もう一度
僕を愛してくれたらいいのに
君さえいてくれたらいいんだ
君が もう一度
僕のことを愛せたらいいのに
もう一度
君が もう一度
僕を愛してくれたらいいのに
君さえいてくれたらいいんだ
君が もう一度
僕のことを愛せたらいいのに
もう一度
韓国語歌詞はこちら↓
https://music.bugs.co.kr/track/6212276
『Love Me Again』
作曲:FRNK , Freekind.
作詞:Freekind. , 김동현 , Gigi
編曲:FRNK , Freekind.
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今回は、2023年9月にリリースされたBTSのVによる1stソロアルバム「Layover」収録の先行配信曲 "Love Me Again" を意訳・考察していきます。
今回のアルバムプロモーションにてトップバッターに選ばれたこの楽曲。そのMVの世界観に圧倒された方は多かったのではないでしょうか。
金髪×スパンコール衣装で立つ洞窟という稀有なロケーション、レトロスタイルのカラオケ風に編集された映像が届けてくれたのはスタンドマイクが超絶似合うR&Bサウンド…相当の確信と持ち前の表現力が揃わないと絶対にまとまらないのではないか、という程のそれらの個性ゴリゴリな要素がひとつの作品として説得力を持った様に、私も初見で撃ち抜かれました。
"Love Me Again"が最初の一曲目に選ばれた理由は、テテ本人がアルバムの中で一番好きな曲であると共に、ただ無性にARMYに聴かせたかったから、というシンプルなものでした。↓
曲の雰囲気を「夢幻的」と評価しているだけあってMVの演出もかなりファンタジックで、その非現実的な世界にあっても決して浮かない容姿はさすがとしか言いようがありません。
それではそんな夢幻の世界を漂う感覚を感じながら、歌詞が持つ極上の「揺らぎ」を楽しんでみようと思います。
"Rainy Days" の記事でも触れましたが、アルバム「Layover」の楽曲は「かつては共に過ごしていたのに今では距離を置く君」への想いが一貫して綴られています。
※1…
・내게=나에게の短縮形(参考)
→나에게=나에게서(私から)の省略形(参考)
・넌=너는(君は)の短縮形(参考)
※2 이쯤…この辺り、このくらい、この頃、最近(参考)
※3
・다인→다(全て)+~인(~である(이다の現在連体形))
・~니…~なの?(参考)
「君」との幸せな時間は記憶として残ったけれど、肝心の「君」自体が去った今ではそんな記憶も意味がない。
今に至っても「僕」は「君」への想いを捨てきれず、未練を抱いている。
最後に聞いた「君」の口から出たひと言は、本当に本心なのだろうか?
言ったことを後悔しているのなら、今からでも遅くはないから教えて欲しい。
アルバム全体の歌詞が同一の登場人物について書かれていると明言されている訳ではありませんが、"Rainy Days" の歌詞には「Time with you was so amazing(君と過ごした時間は本当に素晴らしかった)」ともあり、過去の記憶が持つ輝きが美しかったと「僕」が思えば思う程、現在のすれ違いの状態がいかに心細い状況なのかが際立ってくるように思います。
※4 lost without~…~がいないと何もできない(参考)
「君」の言動に対する疑念がぬぐえない「僕」は、せめて自分だけは正直でいようと決め、心許ない現状を明け透けに表現します。傍から見れば少し情けなくも感じるような「Lost without you」が切実です。
ここで注目したいのは「would」と「could」のせめぎ合いではないでしょうか。
「愛するつもりがある(would)」にはまだ相手に自分への気持ちがどこかに残っていると信じている気持ちが、一方「愛することができる(could)」にはすでに相手から自分への気持ちが絶たれていることを受け入れなければという断腸の思いが表れているのではないかと思います。
この部分の後半三行は、復縁を望む気持ちが一方的になってしまっている状況からの現実逃避であると思われます。
美しい記憶に身を委ね、その心地良さを永遠のものにしたい…。
フィクションとノンフィクションの狭間で揺らぐ「僕」。
別れ話をした際に勢いで本心とは裏腹なことを言ってしまった自覚がある「僕」は、「君」無しでも自分は平気だ、ひとりでもやっていけると伝えてしまったことをここで後悔しまくっています。
ちなみにこの部分にはたくさんの「大丈夫」が登場しています。それぞれ少しずつニュアンスが異なるので、知ってみると面白いかもしれません↓
こうして、壊れてしまった「君」との関係をもう一度修復したいと心から願う「僕」の切実なリフレインで曲は終わりを迎えます。
甘い。内容は悲恋ではあるものの、悲劇ではないのがまた甘い。
彼のあの声質、歌唱法をもってして、このジャンル、このテーマに落とし込んだことは罪深い程の正義だと思います。大正解。
彼の声とクラシカルなバンドサウンドとの相性がとてつもなく良いことはすでにわかっていたものの、商業的には難しいのかなと勝手に思っていたので、ひそかに期待をしていた者としては本当にうれしい限りでした。
おしまいにTiny Desk Concertでの "Love Me Again" を推しておきますね。
今回も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
🎤✨