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j-hope "Future" 流れのままに 〜日本語選びにこだわる和訳歌詞 no.061

必要だと思うよ 僕にも
勇気と信頼で希望に賭けた未来が

Future


ここぞという時はいつも
僕にはそれが欠かせない
勇気と信頼
肯定の律動
ここぞという時はいつも
僕にはそれが欠かせない
未来を歩く
希望の歩み

僕は…

僕は…
そう、僕はただの地元の子だったじゃん
僕は…
ダンスだけが好きな子どもだったじゃん
僕らしい…
与えられた人生に対し感謝している
僕らしい…
今が一番 快適で僕らしい
いつも自らが主体となって闘うから
結局僕の心はアザだらけじゃないか
普段と違う服を着るように試してみよう
好きな運転みたいに
いっぺん道理に従って進んでみるよ

この血は何故めぐるのだろう?
この身体は何故動くのだろう?
結局変化して、
永遠のものなどないじゃないか
君はわかっている
僕らはわかっている
僕はわかっている
流れに逆らう鮭になれなかったことを

ここぞという時はいつも
僕にはそれが欠かせない
勇気と信頼
肯定の律動
ここぞという時はいつも
僕にはそれが欠かせない
未来を歩く
希望の歩み

(未来)

ただ自ら定めることも、
断ずることもできないこと (それが未来)
近づくにつれ恐れても、
独りで耐えても手に余ること (それが未来)
ねぇ、君は
流れに身を任せなければならないんだ
流れるままに行こう(未来へ)
必要だと思うよ 僕にも
勇気と信頼で希望に賭けた(未来が)

(未来)

(未来)

ただ自ら定めることも、
断ずることもできないこと (それが未来)
近づくにつれ恐れても、
独りで耐えても手に余ること (それが未来)
ねぇ、君は
流れに身を任せなければならないんだ
流れるままに行こう(未来へ)
必要だと思うよ 僕にも
勇気と信頼で希望に賭けた(未来が)


韓国語歌詞はこちら↓
https://music.bugs.co.kr/track/6169191

『Future』
作曲・作詞:j-hope , Ivan Jackson Rosenberg , Mitch Conwell


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今回は、2022年7月にリリースされたj-hopeのソロアルバム「Jack In The Box」に収録されている "Future" を意訳・考察していきます。

先日、無事当日を迎え大盛況のうちに終わったロラパルーザ2022公演にて、"Future" はエンディング曲として披露されました。

およそ75分間に及んだ彼の初ソロステージは、前半にて「Jack In The Box」が持つダークな雰囲気を前面に押し出し、後半はグループ名義のアルバム収録のソロ曲を含め、彼のパフォーマンスの要である「ダンス」曲をフィーチャーしたものとなりました。

その後半において唯一「Jack In The Box」からの選曲となった "Future" とは、どんな楽曲なのでしょうか。

アルバムリリース後に公開されたインタビュー動画で彼は、この楽曲は〈「j-hope」の未来について語る歌〉であるとしています。

夢や希望、自己愛、不屈の精神を説いてきた「j-hope」。しかし、実は自分自身にはそれらが足りていなかった。「j-hope」にも〈希望〉ある未来が必要なのだ…そんな意図を込めているのだと語っています。

また、世の中の大きな「流れ」に逆らわず身を委ねよう。不利な状況でも自力で対応することが自分を強くする。とも答えています。

Man, you must go with the flow
(ねえ、君は流れに身を任せなければならないんだ)
흐르는 대로 가보자고 (Future)
(流れるままに行ってみよう(未来))
필요해 보여 나에게도
(必要に見えるよ 僕にも)
용기와 믿음으로 희망에 건 (Future) ※
(勇気と信頼で希望に賭けた(未来))

※引用文に付けた和訳は直訳
https://music.bugs.co.kr/track/6169191

※건…「걸다(掛ける・懸ける・賭ける)」の過去連体形=「賭けた」
 後に続くFutureにかかる。

アルバム「Jack In The Box」は、その名に「希望」を背負い体現してきたj-hopeが「希望」の不在について向き合おうとした作品です。

「悪い人」の存在が消えないこと("STOP")も、「平等」の意識が空論に成り得ること("Equal Sign")も、「安全地帯」の不在に対する絶望("Safety Zone")も知った上で、それでも「勇気と信頼」をもってして「〈希望〉に賭けた未来」が必要なのだ、と。

つまり彼は、失敗しないために流れに逆らってまで正義を貫こうとすることだけが成長する道なのではなく、賭けに出て流れに身を任せることでたどり着く「未来」もあるのではないか。という柔軟な考え方にたどり着いたのかな、と思いました。自分に厳しい彼がこういった気持ちに至るまでに経た葛藤と紆余曲折は、想像に難くありません。

ただ彼も、丸腰でイチかバチかの賭けに出ることを良しとしている訳ではないのだと思います。

生きる理由が音楽である("MORE")としている彼には、生涯防弾の希望になるという運命を連れてきた名前("Pandora's Box")の元に燃やし続ける情熱("Arson")があります。自分を見失わないために自問し続けるストイックさ("What if…")も、彼を支える力のひとつであることは確かです。

人それぞれ世を渡るためのスキルは異なるものだと思いますが、どこに流れ着こうとも納得のいく結果を出すにはやはり、それ相応の対応力を自ら身に着けることも大切なのだ、と、言っているように感じます。

アルバム「Jack In The Box」は、
「希望」をえがくための「絶望」、そして
「希望」を生きるための「未来」が込められた箱でした。
それを開けた私たちにはひとつの責任が課されたのだと思います。
たったひとつ残された希望を手にしたパンドラのように。



最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
🤡