トランポリンによるムチウチ

 ほぼ4年振りにPさんが来院されました。
 最初に来られたのは8年前。首が痛い!と来院されて、3回施術。改善して、それからは小康状態で来院されず、またいよいよ調子が悪い!となられて来院、3回施術。それが4年前のことで、また小康状態が続き、今回は指(+その他)のケガをきっかけに来院されました。

 まるでオリンピックのような来院ペースですが、実はPさんは私にとって〈気掛かりなお客さん〉の一人でした。どの辺が気掛かりかというと、ご本人の自覚以上に実は身体の状態が悪い(と私には思える)、この1点に尽きます。

 最初に来られたときから具合の悪そうな人だなあ……とこちらは思っていて、でもPさんご自身は首が痛い、たまたま・なぜか・首だけが痛い、という雰囲気なので、「ちょっとちゃんとしっかり身体を立て直しておいたほうが良いですよ」が言いづらい。押し売りみたいになってもイヤだし、とりあえず当座の自覚症状が改善すれば終わりにする。でも大病したりする前に一度ちゃんと施術させてほしいなあ……と、気に掛かっていたのです。
 なので今回の来院は絶好のチャンス! 年のせいか疲れやすくなってきた、とおっしゃるので、ここぞとばかりに説得しました。

 Pさんは20年ほど前にトランポリンで着地に失敗されています。高く跳んで両手足で着地して、ムチウチ状態になったというのです。ちなみにこのとき、症状が出たのは首です。

 追突事故のムチウチは、症状は首に出ますけれど、傷めているのはおしりです。
 狭いところでかがんでいて、急に立ち上がって頭をぶつけたような場合は、傷めているのは頭ですが、数日後に腰痛になったりします。
 ではハイハイ状態でたわむ地面に着地した場合のムチウチは、どこを傷めて起こるのだ……? これを探し当てるのに、私には少し時間が必要です。それもあって、「ちょっとちゃんと(以下略)」が言えなかったのでした。

 でも今回は、それも含めて説得済み。ちょっと遠方にお住まいなこともあって、2時間続きでの来院をお願いしました。
 まず最初の2時間は、直接の来院理由となった指(+その他)のケガの痕に施術。ざざっとあらましは改善できたので、次回からトランポリンのムチウチに着手します。

 で、2回目の施術が済みました。今回も2時間。
 結論を言うと、膝の捻挫、がムチウチの原因だったようです。特に右膝。

 ダッシュボード症候群、と呼ばれるケガがありまして、これは車の助手席に座っていて起こるすねの打撲ですが、ちょっとそれにも似ているような、でも硬い面にぶつけていないので打ち身の痕はなく、ひたすら太もも、膝、すね周辺の、筋肉を傷めている……うーん……ぶつぶつ考えながら施術していて気付きました。あ、そうか! トランポリンで膝をぐねったということか! は――……、なるほど、それがこんなムチウチになるのか……。すごい勉強をさせてもらいました。

 2回目の施術では、前回の続きだった指(+その他)についての作業がひととおり済み、新たに始めたトランポリンの痕についてはざざっとあらましが改善できた状態です。
 今後は、日常生活を送ってもらいつつ症状が出てきたらまた続きを施術させてもらう、という段取りで次回の機会を待ちます。一応近々の来院をお願いしていますが、まあまあ、大きい問題は除けたかな、と思います。

 Pさんは積年の首凝りが楽になったようで、顔色がすっきりされ、私は私で、積年の気掛かりに解消の目途が立ってほっとしました。あー良かった。

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