新型コロナとワクチンと後遺症について調べてみる
レヴィ小体病の調べ物にいったん満足しましたので、続けて、新型コロナの後遺症についても調べてみることにしました。まあ、決定的な新発見・結論的ニュースを聞いた覚えがありませんから、たぶん、わかっていることはそれほど多くないのでしょうが……。
まずは手始めに近所の図書館で一般雑誌を3冊借りてきました。
「ニューズウィーク日本版」2021年3月23日号の「コロナが脳に与える未知のダメージ」と、「日経サイエンス」2022年11月号の「特集 コロナ後遺症」。
「ニューズウィーク日本版」の記事によると――
感染症の中には、感染後にウイルスの影響が脳に及ぶものもあるけれど、新型コロナに関しては、脳に感染が及んでいる兆候は見つかっていない。ただ、脳の神経細胞の損傷・炎症、血管の損傷が見つかるご遺体は多かった。
なんで脳に炎症が?については2021年現在議論中で、軽症患者にも同様の炎症・損傷は起きているのか、また、脳の炎症は感染後に発症する未知の後遺症によるものか……といったところが議題のようです。そしてこの脳の炎症に絡めては、やっぱり、数十年後のレヴィ小体系の後遺症が心配されていました。
一方、「日経サイエンス」の記事では――
オミクロン株(145人)・デルタ株(133人)・〈デルタ以前の従来株〉(115人)、で、後遺症の現れ方というか症状の傾向が異なる、とグラフ化されていました。
このグラフで興味深いのは、〈デルタ以前の従来株〉が1位になっている症状が無いことです。不安感だけはオミクロン株と同着1位ですが8人と少ない。もともとの患者総数が他の二つより少ないとはいえ、どの症状でも患者数は2位か3位です。これはデルタ以前の株に後遺症が少ないということか、ワクチン接種者数と関係したりするのか、生存率の問題か……。
記事には、急性期に重症だった人は後遺症の治りも遅いとか、若い人・女性のほうが改善しやすいとかそんな報告もありますが、私が知りたいのは、軽症・重症に係わらず、感染期間中、しっかり養生した人とあまりしなかった人、つまり元気でも意識して身体を休めた人と、平時の活動を極力維持しようとした人とで後遺症の軽重・傾向は変わるのか、なのですが、そのデータは本記事にはありませんでした。
この養生の有無はとっても大事なことだと私は思っているのですが、調べた、という話を読んだことがありません。調査されてないのかなあ……。
「日経サイエンス」の特集後半はエール大学の岩崎明子さんへのインタビュー記事でした。そこに、「自己抗体は後遺症との関係が長らく指摘されてきましたが、実は後遺症の患者さん全てに関わる話ではないかもしれません」とあって、あら……。それが本当なら素敵です。整体するときの心配が大きく軽減されます。
〈身体修整法〉の施術は、結局は全身の血流改善を目指します。なので、それに伴って自己抗体系の免疫細胞があちこちに散らばって、方々で悪さをするようなことになったら困る……と、私は警戒していました。もし、身体が敢えて血流を低下させているのなら、むやみに促進するのは危険でないか?の心配です。でも、自己抗体と後遺症が関係ないならその心配は無用です。
定説をそのまま定説通りに書くのでなく、わざわざ否定して報告してくださっているという点も信用できそうに思います。
――と、明るい気分で3冊目「文藝春秋」2024年4月号を手に取ると、こちらは記事の中身が違っていました。「コロナワクチン後遺症の真実」。コロナの後遺症でなくコロナワクチンの後遺症が主題でした。検索機で探すと起こりがちな〈紛れ込み〉です。でもせっかくなので、読ませてもらいます。語り手は福島雅典京都大学名誉教授。内科医です。
その「文藝春秋」によると――
新型コロナワクチンで使われたmRNAは、壊れにくいよう操作がされているので、〈いつ壊れるのか〉が現時点では断言できない。天然もののmRNAが短時間(数分単位?)で壊れるのに対して、ワクチンのmRNAが血中に2週間残っていたとする論文もあれば、ワクチンのmRNAが作らせたスパイクタンバク質が3、4カ月後に検出されたとするデータもあったりと、比較にならないほど長持ちする。しかもワクチンのmRNAは全身どこにでも行く。ラットの実験では注射から48時間後までに全身に行く。脳にも行く。
そしてスパイクタンパク質の遺伝子にプリオンと同じような配列があるとして、危険性が指摘されてもいる。
また、血管内皮に、スパイクタンパク質と結合しやすい受容体が多くあるせいで、血管炎・血栓が生じやすい。
血管以外でも、〈mRNAがスパイクタンパク質を作らせる場所〉では自己免疫反応が起こる可能性が高く、また、そうはならなくても本来の免疫機能は低下する。
これは…………血流を良くして良いのか、なあ……。有害物質を分解・除去するための資材は血液が運びますから、その意味では血流が良くなることは大事なようですが、同時に、さらに活発にスパイクタンパク質があちこちに広まるのを助けることになるかもしれません。
「日経サイエンス」の記事までなら「整体できる!」と思えましたが、ワクチン後遺症の可能性まで考えると、やっぱりどちらが良いのかわからない。結局私はふりだしに戻る……。
コロナに感染しなかった、あるいは感染しても深刻な後遺症の無かった人に関しては、私は以前通りに施術させてもらっています。その中にはもちろん、ワクチンを打ったかたもおられます。そして「文藝春秋」の中で福島さんは、ワクチン後遺症のない人については食事・睡眠・心のあり方に加えて運動を心掛けるよう勧めてもおられます。ということはワクチン後遺症がないのであれば、血流は改善してもよさそうです。
でも、現にしんどくなっているその人が、コロナのせいか・ワクチンのせいか、判断できるものなのかしら……。
福島さんたちの研究会では検査法を開発中とのことで、〈コロナ感染なしでスパイクタンパク質ありなら→→ワクチン後遺症〉の判別はいずれつくようになるらしい。でも〈コロナ感染ありでスパイクタンパク質もあり〉なら、コロナ後遺症かワクチン後遺症かは判別できない、ような気がするのですが、私の読み違いでしょうか……? 「この人のしんどさはコロナのせいじゃない、ワクチンのせいだ」を判別するための検査だから、〈現時点でのコロナ感染〉が否定できればそれで良い、ということか。でもコロナ後遺症が感染・治癒後に起こるというか続くとするなら、一度でも感染していたら検査時の感染の有無は関係ないのでは……?
本記事を読む限りでは、〈ワクチンを打っていてコロナにも感染した人〉のしんどさは、ワクチンのせいか・コロナのせいか、判別できないように思います。であればやっぱり、私の施術としては、コロナ後遺症のお客さんにもワクチン後遺症のお客さんにも同様に、慎重な姿勢で臨むほうが良さそうです。
その後、近所の大学図書館で雑誌と本も調べてみましたが、あまり確実そうなことはわかりませんでした。
結局、「コロナかワクチンかの後遺症で困っています」というお客さんから相談いただいた場合には、まず私に施術できそうかどうかを判断することと、引き受けるのであれば、一応かかりつけのお医者さんにも相談いただいた上で来てもらうほうが安全のようです。……訊かれたお医者さんだって、新型コロナ以上に整体屋のことなんて知らんでしょうし、正直、困ってしまうでしょうが、少なくとも、事態が変化したときの説明が簡単にはなります。
……実に難儀なことです。
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