指の傷痕と、首肩の張り感

 以前の記事で紹介させてもらったPさんの施術が無事、一段落しました。間で一度、軽いぎっくり腰っぽい状態になって来られ、これは、膝の施術の続きで改善。そして先日は、8年前、一番最初に来院された時からの症状だった首肩の張り感が(軽くはなったものの)やっぱり残っている、とのことで来られました。

 大まかに言うと、自覚症状の出る部位と私が施術すべき部位との間には明確な〈関連の傾向〉というか一定のパターンがあります。症状がここに出ているのなら、いま私が施術すべき問題はあそこかも、の見当が一応はつく(ハズれるときも多いけど)。そしてこの考えをPさんにあてはめると、根深い首肩の張りの原因は、私がこれまでに施術していない、全然別の傷痕にあるのかもしれません。
 それって一体どこだろう……? 考えながら話を聞いていると、Pさんが絶妙の助け舟を出してくれました。「そういえば思い出したケガがあるんですけど――」。

 この、〈忘れていたケガをお客さんが思い出してくれる〉は、私にとって、〈今日はここに施術せよ〉のお告げです。もう、何と言うか、公認のカンニングみたいなもんです。実にありがたい。
 で、それによると、Pさんが思い出されたのは、子どもの頃の指の切り傷でした。右手に1か所、左手に2か所。確かにそれなら首肩の張りとも辻褄が合います。そして興味深いのは、私はすでに以前からその手指の傷痕に気付いていたことです。でもそのときは検査しても反応は出ず、施術の必要が認められませんでした。まさに、〈いまこそ施術せよ!〉なのでしょうね。
 というわけで、嬉々として、ちまちま施術。

 指のケガは、たいてい規模は小さいながら、なかなかに嫌な影響を周囲に及ぼすことが多いです。典型的にはPさんのように根深い首肩の張り・こり。そして体温調節力の低下。これは気温の変化に弱くなって、冷え性・のぼせやすい・季節の変わり目にお約束のように風邪を引く、みたいなことになりがちです。そしてそうなると当然、じわじわ体力も低下します。
 施術しながら説明すると、「え?! たったこれっぽっちの切り傷痕で?!」とみなさんおっしゃいますが(、そして私も大いに同感ですが)、皮下脂肪と筋肉が少ない構造、というのは保温能力を損ないやすいのでしょう。手のひら部分はともかく、指部分の傷痕はモロにそうです。

 Pさんの傷痕はどれも、そこそこ以上に深いもののようでした。が、ともかくきれいに施術完了。
 もうこれで、たぶんあれこれいろいろ良い感じになられるだろう! 明るい確信と満足感でもって、長年の気がかりだったPさんに、「いったん卒業!」と言えました。実に嬉しい。清々しい。

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