負けられない戦いがそこにはある（2024/07/15）

朝、ベランダに出ようと思って網戸を開けた。

その瞬間
足元を茶色いものが猛スピードで家の中に入った。

一瞬のことでどうにもできなくて、吸い込んだ息を吐くのに必死で
夫に「入っちゃった！！！！」と叫ぶのが精一杯だった。
足元が気持ち悪くてぴょんぴょん飛び跳ねながら咄嗟に「スプレー！！！」

「何？何が入ったの？」とはじめはやや冷静だった夫。

「G！！！！」

私が叫ぶと同じくらいのタイミングで夫も飛び跳ね始めた。

「スプレーないんだよ」と夫に言われ
次に私が思いついたのは「洗剤」だった。

ある方のインスタグラムで数日前にGのお腹に向けて洗剤をかけると動きが止まるという投稿を見たばかりだった。

アイツが這った先を見逃さないように一方向を見つめながら夫に「洗剤！」と訴えたが夫は（洗剤かけるのか？まじで？）という感じでリアクションがイマイチ。

仕留められるならなんでもいいと思って「じゃあ、アルコール！！！」と言うと消毒用のエタノールスプレーを持った夫が視界に現れた。

いや、一人じゃ無理だ！
夫に監視を託し、キッチン用のアルコールスプレーを手に戻る。

絶対にこっちに向かっていった！そう確信している方向にある荷物を少しずつ動かす。
我が家は、こんな時のために床にはなるべく空間を多く作っている。
隠れられるところは限られている。

さぁ！やるんだ！！！！

いない。
荷物を全て動かしてもいない。

もうパニックである。
そんなはずはない。
絶対にどこかにいる。

まさかと思いながらも、確信していた方向とは真逆にある荷物をそっと動かしてみたらでたーーーーーーーーーーー！！！！！

我が家はベランダ側にラグを敷いている。
ベランダとラグの間には20cmほど板張りの部分がある。
そこをアイツが駆け抜ける。
そこめがけてひたすらにスプレーを噴射！！！！

噴射！噴射！！噴射！！！

もうびちょびちょである。

ラグが。

アイツは濡れて体が重くなったのか動きは鈍いがまだまだ逃げる。

だめだ。
これは、あれをやるしかない！

夫に「洗剤！キッチンの洗剤！！！」とやや怒鳴り口調で訴える。

洗剤を手渡されるとアイツめがけて洗剤をぶっ放す。

詳細を書くのはあまりにひどいので控えるが
私たちは戦いに勝った。

完全勝利である。

アイツはひっくり返っていた。

それを見つめながら夫と
「やばいね。キモいわ・・・」としばらく放心した。

夫に「Gはね、お腹で呼吸するからお腹に洗剤をかけると動きが止まるんだって」と話すと夫は「ふ〜ん」と言い、やや引いていた。

引いていた理由は、床に洗剤をぶちまけた後の掃除を思ってだろう。

いや、ほんとそれ。
拭いても拭いても床が泡っだっている。

でも、床が泡立つくらい些細なことだ。
アイツが家の中にいるという不安を抱えたまま過ごすことの方が地獄だ。

全ての片付けを終えた後、夫が言った。

「絶対に仕留めるというものすごい殺気を感じたよ」

当然だ。
不法侵入は許さない。