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桜前線のように旅をしたい

生きていくのに必要なものってそんなにない。

3日分の着替えと、ぬいぐるみたちと、使い古しのタオルケットと、パソコンがあれば、たぶんそれなりに暮らしていけると思う。


もうすぐ、引っ越しの荷運びをする日がやってくるのに、作業が滞っている。

上に書いてあるもの以外は、容赦なく処分できてしまう性分なので、ゴミ袋に突っ込んでから、人として捨てちゃダメなんじゃないかなと段ボールに移動したり。やっぱり処分しようかなとゴミ袋に戻したり。一進一退の攻防戦。

大丈夫かな。終わるかな。

もういっそのこと全て丸ごと処分して、身ひとつで越してやろうかとさえ思って来た。
全く後悔しないであろう自分が怖い。

一人暮らしを始めた8年前から苦楽を共にして来たデスクとか。結構お金をかけて集めたアイドルグッズとか。友人とやりとりした手紙とか。思い入れがあるだけ、なんかつらい。

今やらなかったら未来の自分が困るから、頑張ろう。


2、3日前。
駅前を歩いていたら、目の前にビラを差し出されたので反射的に掴んだ。
そしたら、チラシを掴んだのに離してくれなくて、ビラ配りのお姉さんに「1時間配ってるのに、もらってくれたのお姉さんだけです!」とウソかホントかわからないことを言われ、まあでもなんかすごい喜んでいるからいいかと適当に相槌を打ちながら聞き流していたら、お姉さんはスキューバダイビングのインストラクターで、ライセンス取得のためのスクールを今ならお安く受けられますよという話をしていた。

へーとか、ふーんとか言いながら、「死ぬまでに1度くらいはやってみたいなと思っていたんですよね」と調子のいいことを言った後で、いやでも別に一生やらんでもいいなと思った。私はカナヅチなのだ。


「最高の人生の見つけ方」という映画を見た時に、私もバケットリストを書いてみたことがある。

あんまり思いつかなくて、4つくらいしか書けなかったのだけれど、そのうちの1つに「桜前線のように旅をする」と書いた。

どういうことかというと、桜前線のように南からゆっくりと時間をかけて北上していき、北海道の宗谷岬で日本最北端の地の碑を見て終わりにするのだ。その土地に滞在して、その土地のものを食べて、人と話して、スケッチしたり、写真を撮ったりしたい。そして、感じたものを表現したい。
移動手段は決めていないけど、自転車と電車と船を上手いこと組み合わせたらいいんじゃないかなと思っている。直感だけど車はなんかダメな気がする。

高校生の頃からずっとそれがしたいと思っていたけど、思うたびに「今はまだその時じゃない」と感じて、心の奥底に仕舞ってある。

現在もまだその時じゃないみたいなので、いつになるのかなと待っている。
どうやら、旅に出るまでのパーツが足りていないのだ。
動機なのか、貯蓄なのか、移動しながら表現する手法がまだ編み出せていないことなのか。

でも、20代のうちに出来ればと思っている。

それをするんだったら、やっぱり引越しの荷物はあんまり多くない方がいいよね。


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