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そろそろ伸ばしてみてもいいのかも

数週間前から、そろそろ行かないとなとは思いつつ、予約画面を開いては閉じを繰り返し、先週になってようやく美容院へ予約を入れた。

美容院は昔から苦手だ。

大学生の時は髪が長かったこともあり、美容院へ行くくらいならいっそのこと自分で切ってしまえと思っていた時期もあった。

社会人になってからは、社外の人と接することもあるので、さすがにまずいかなと思い美容院にまた通うことになった。そのくらいには髪型に関心がないのかもしれない。

見た目に気を使っている女友達の、気合いの入り方は尋常ではない。

2週間に1度は、美容院でトリートメントをして、毛先を整え、毎月、カラーをしたり、縮毛矯正、髪質改善のほか、私の知らない施術を受けているようだ。

彼女はホームケアも怠らない。シャンプーやトリートメント以外にもなんやらかんやら髪に塗布しているし、風呂場から1時間は出てこない。

やっと出て来たなと思ったら、30分かけて髪を乾かし、それが終わった頃にはぐったりとしている。

その努力によって得られた髪は、汚れを知らぬ少女の髪のように、つやんつやんのとぅるんとぅるんで、会うたびにすごいなと思わざるを得ない。

そんな彼女の影響を受けて、社会人になってしばらく経ったころの私も、髪に気を遣うようになった。

月に1度は美容院へ通い、手に入れた艶のある髪を靡かせ、夜の東京の街をやや誇らしげに歩いてみたりもした。

数年経ったある日の朝、徹夜明けでシャワーを浴び、ドライヤーをかけていた。
右手でドライヤーを持ち、左右に振りながら。

眠気に抗えず、うとうとしていた。

後ろ髪が引っ張られる感覚に目を覚ますと、ドライヤーの吸い込み口に、髪が、あんなに大事にしていた髪が、巻き込まれていたのだ!

幸いなことに、巻き込まれたのは襟足の1束だけだった。

その1束をハサミで切り落とした瞬間、髪を大事にしようという気持ちも切り落としてしまったのだと思う。

程なくして、意味を持たせてバッサリと30cmも髪を切ったので、それからはもう全然髪に気を遣っていない。

遣っていないので、今日、美容院で眠りこけている間に、思いの外短くなってしまった。

美容師さんは、何回も「もう少し切りますか?」と尋ねてくれていたので、うんうん頷いてしまった自分が悪いのだが…

そろそろ髪を伸ばしてみても良いのかもなぁと、少しだけ思った。


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