見出し画像

イタリアのイメージはここ40年で変わった

「旅と物語」をテーマに何冊か挙げるとしたら?

本が好きな友人と最近盛り上がりました。『深夜特急』は定番すぎる、『夜間飛行』はいいね、と話しながら私が思い浮かべたのは須賀敦子さんの『ミラノ 霧の風景』。20年くらい読んでいなくて熱心な読者とはとても言えないのですが、好きな作家の一人です。

今週たまたま、この30年ほどミラノと東京を拠点に活動する方の話をじっくり聞く機会がありました。イタリアに対して、高級車やデザイン家具、高級ワインというイメージを持っている人も多いかもしれません。ただその認知のされ方は、1980年ごろを境に大きく変わったものだということ。イタリア発のインダストリアルデザイナー集団や、イタリア発祥の社会運動・スローフードは、この40年くらいのこと……。

数年前に世界でも話題となったブルネロ・クチネリの『人間主義的経営』には、彼が生まれ育った1950年代のイタリアの田舎の風景が描かれています。須賀さんの数々のエッセイに登場するのも、素顔のイタリア人たち。

偶然ですが、Business Insider Japanでも今週、イタリアにまつわる2本の記事が出ています。一つはその財政危機について警鐘を鳴らす記事。エコノミストによる、トランプ当選後のイタリアを憂う内容です。もう一つは突然上司がイタリア人になった、という日系ベンチャーで働く人の体験談。

どちらも現実です。豊かなローカルフードと世界が注目する伝統工芸が残る今の日本は、(よく言われてきたことではありますが)イタリアに学ぶところもありそうです。

(2024.5.30)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?