見出し画像

machimin・まちの縁側保健室通信vol.1

machimin・まちの縁側保健室とは

machimin・まちの縁側保健室は、手塚さんの以下の想いから始まりました。
_______________________

ローカル線・流鉄流山駅前ガレージを縁側のようにした「コミュニティスペース兼観光案内所machimin」には、約5年間に老若男女いろんな方々がそれぞれの目的で来てくださり、様々なお話をしてきました。
天気の話にはじまり、観光、趣味、悩み、チャレンジしたいことなど話題は驚くほどに幅広いです。繰り返し来てくださる方が増えるごとに、縁側には保健室の側面があるかもしれないと感じるようになっていました。早めに口から出すという予防的側面をはじめとし、困っている自覚がない人を発見し適切にサポートできる人や場に繋ぐこともやってきたと思っています。
machiminがやる保健室ってなんだろう?
そんな問いに向き合うべく、現在は3つの企画をお試しで運営しています。福祉専門家・教育関係者の“やりたい““あったらいい”をかなえていこうと思います。

まちの縁側保健室の3つの企画

①毎週水曜日・手塚さんによる企画型保健室
福祉専門家や支援員をしている方のやりたいことを起点にmachiminの研修を通して、企画型保健室として形作っていきます。
イベントの企画内容によって参加される方の属性も様々です。

************************

②月1回木曜日・不登校支援をされている岩根さんと訪問看護師をされている中村さんによる保健室
お二人の支援経験から保健室に参加された方と共に、”在りたい姿”について縁側でお話しています。
中村さんの淹れるコーヒーを飲みながら話したり、自分の生に向き合うワークショップ「もしバナ」を開催したりして、「健康」について気軽に相談しやすい場となっています。

************************

③月2回・橋本さんによるオンライン保健室
「フリーランスとしての働き方」「人間関係」についてなど、橋本さんご自身の身近なテーマを設定しながらオンラインでお話しています。テーマに共感した方がオンライン上に集まり、ゆるやかな語りの場に。

イベントから見る、まちの縁側保健室

2023年5月に企画型保健室のイベント1回目を開催。
市の福祉職員・福祉専門家・ヘルステックベンチャーなど福祉分野に携わる様々な業種の方々が集まり、病気の予防や健康維持についての意見交換会が行われました。同じ「健康・福祉」分野でも、業種や立場が異なりなかなか出会う機会がないそうで、各々の立場での課題感ややりたいことを共有することで気づきがあったと言ってくださる方が多かったです。その中から、「自分も保健室を一緒にやっていきたい・コラボしたい」といってくださる方が3組登場しました。

2023年5月:企画型保健室のイベント1回目を開催


福祉分野の異業種の方々との意見交換会


2023年9月には企画型保健室のイベント2回目として、5月に参加くださった介護支援課と連携し、流山本町まちあるきツアーを開催。
介護支援者ご家族と当事者の方、介護支援専門家の方と共にまちあるきへ向かい、縁側に戻ってからはレクリエーションを行ったり相談したり各々自由に過ごしました。
介護支援の専門家の方がいることで安心してご家族自身も楽しむことができたこと、当事者の方も縁側のレトロな雰囲気の中で将棋などを楽しむことができたことから、ケアをする側もされる側も自分の時間を生きる、人が活きる瞬間が生まれた1日になりました。

縁側でのレクリエーションの風景

3回目のイベントは就労移行支援施設と連携

2023年11月には就労移行支援施設の職員の方と企画型保健室を開催。今回のまちの縁側保健室では、「観葉植物のシェア会」「メンタルケアの必要なご家族を持つ方のお話会」の2つの企画を実施。

「観葉植物のシェア会」は就労移行支援施設の職員をされている山下さんが、自宅で育てている観葉植物を株分けするシェア会を企画・運営されていました。
縁側の入り口に植物があることで華やかになり、普段は縁側で見かける機会の少ない学校帰りの女子高校生や20代半ばの市役所帰りの男性が足を運ばれ、観葉植物を嬉しそうにお持ち帰りされていました。
またご自宅で育てている観葉植物を持参して交換される方もおり、観葉植物を通して集まった方と山下さんとの間に楽しそうな会話が生まれていました。

観葉植物が会話のキッカケに
縁側にいらした方が持参されたサンスベリア
ラッピングされた観葉植物


一方で縁側の奥では、「メンタルケアの必要なご家族を持つ方のお話会」を就労移行支援施設の職員であり当事者ご家族でもある浅島さんが企画・運営されていました。 

仕事をする中でメンタルダウンをした経験を持つという相談者の方は、「用事があるので、お話会のイベントには行けないと思う。」と事前に不参加の意向を伝えていましたが、イベントの時間には足を運ばれて、お話会の最初から最後まで参加されていました。

またもうひとりの相談者は、メンタル不調の診断を受けてから20年が経つという方。お話会では当事者としてご自身の話をされていました。

お話される中で印象的だった言葉は「本当に辛いときに、誰かに話そうと思わない」という言葉。

誰もが互いに共感しきれないからこそ、誰かに話すという選択肢を取れず悩みを抱えてしまい、そうした方が「話してもいい」という安心感を感じたときに言葉が溢れ出てきているように感じました。

3回目の企画型保健室を終えて

3回目のイベントで私は運営スタッフとして観葉植物をラッピングする作業を行っていましたが、実は私自身がイベント当日にメンタル不調気味でした。

相談者の1人としての参加も考えましたが、学生時代にメンタルダウンをした経験があったことから、家族側の意見が出ているかもしれない場で当時のことを思い出すことに抵抗があり、保健室の運営スタッフとして場にいることにしました。

けれどお話会とは少し離れた所から、一見すると当事者ではない立ち位置で、当事者としても耳を傾け、自分自身の感情の揺らぎに向き合っていました。話を聞きながら、ラッピングで手を動かしたり、縁側に来た方と話をしたりする間に、悩みを忘れて自分の気持ちが元気になっていくことを感じました。

またイベント終了後の運営スタッフとの振り返りの時間では、「実は、自分の家族にメンタルケアの必要な家族がいたことがあった…」「実は、私自身もメンタルダウンをした当事者だったのですが…」という話が運営スタッフ2人から出ました。イベントでの時間を経て、最後に自分の話を聞いてほしいという心境になったのだと感じました。

最後に、長年ご家族が精神障害をかかえていらっしゃる方も、観葉植物のシェア会に参加されていました。そして縁側でのお話会の席を案内しましたが、参加はせず観葉植物の話だけをしていかれました。

言いたくなる(意見がある) 、聞いて欲しくなる(心理的に安全で安心できる状態)、には本人のタイミングがあるということをまちの縁側保健室の場を通して感じました。

machiminらしい、まちの縁側保健室とは

3回目の企画型保健室の振り返りでは、手塚さんより以下の話がありました。

「自分がその日どのような役割や立ち位置にいたかに関わらず、様々な立場を行き来し、話したり聞いたりしながら、言いたいと感じられる・聞いて欲しいと感じられる場の設計をしていた。その設計が意図した形で再現されていたように感じた。」

「自分が欲しい場を作る中で、自分自身が癒されることがある。共感する当事者としての仲間や補完し合う仲間が見つかることがある。
そして沢山の失敗に向き合う時間で、失敗の捉え方を変える癖がついたり、自分で解決する力がついたりする。だから企画型保健室をやっていきたいんだ。」

「いつも通りの調子が出ない」
「どことなく不調を感じる」

そんなときに相談者として参加するだけでなく、運営スタッフとして自分の可能な形での関わり方で参加することで、自分自身のケアにもなることを感じました。

今後のまちの縁側保健室でも、引き続き参加を重ねながら、machiminらしい「まちの縁側保健室」の在り方について考えていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?