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Stop Learning New Words! – 新しい単語は覚えない!

語彙力をつけて、すらすらと英語を話せるようになるために…

単語学習をやめましょう。

何を言っているんだ? なんだその矛盾は? . . . と思われるかもしれませんね。ちゃんと説明します。

この記事では、あらためて語彙力とは何かということを見つめ直し、鍛え、ひいては英語力を伸ばす方法についてお話しします。


Vocabulary Skills = Quantity × Quality

語彙力=「知っている」×「使える」

言いたいことが思うように言えない。そんなとき英語学習者は「語彙力(vocabulary skills)が足りないからだ」と考えがちです。その考え自体は間違ってはないのですが、誤解があるように思います。

Vocabulary skills とは、単語や表現をどれだけ覚えたかだけでなく、それらを適切に選び、使うことができる力だと私は考えています。「知っている」と「使える」の2つの側面があり、これらの掛け算で vocabulary skills が決まるのです。

これは、僕が vocabulary circle(語彙の輪)と呼んでいるものです。それぞれの円は次のことを表しています:

  • 黄=あなたがこれまでに知ったり学んだりしてきた単語や表現

  • 緑=そのうちあなたが日常的に使うことができる単語や表現

  • 赤=未知の単語や表現

一般的に黄色と緑のギャップは広く、それはネイティヴスピーカーも例外ではありません。このギャップを縮めていくだけでも、表現力はグングン伸びていきます。このことは、僕らの国語力についても言えますよね?

ところが「言いたいことがうまく言えない」という問題につまずいてしまうとき、英語学習者の多くは赤部分を広げることに労力を費やしてしまいがちです。

Vocabulary を増やすことは、読む力や聞き取る力をつけてくれます。だからもちろん無駄なわけではありません。でも、それらを実際に自分で使うことがなければ、やはり「言いたいことがうまく言えない」問題につまずいてしまいます。

「言いたいことを澱みなく言い表せること」を fluency と言います。この言葉を辞書で引くと「流暢さ」と説明されていますが、これだと早口で滑らかに話せる能力と勘違いしてしまいそうですよね。僕は vocabulary skills = fulency と考えています。

vocabulary skills = quantity × quality = fluency

このような図式が成り立つのです。

そして fluency を鍛えるには、「知っている」 vocabulary を「使える」ものにしていく学びが必要です。Vocabulary circle で表すなら、緑部分を広げていく作業です。

この差を…
埋める!

How to Build Up Your Fluency

語彙力を鍛えるには

僕の講座では、vocabulary の指導も当然行っていますが、それは単語や表現を詰め込むためではありません。受講生の皆さんに、英語を「生きた言葉」として身につけてもらうためです。

読めて、聞き取れて、自分で話すことができる。それが「生きた言葉を身につける」ということです。ただ知っているだけでは、生きた言葉とは言えません。Fluency も鍛えなければなりません。

そのためにはどうすれば良いのでしょうか? やるべきことは3つです。

  1. 習った(知っている)vocaburary を声に出して何回も読む。

  2. その vocabulary を使簡単に作文し、やはり声に出して何回も話す。
    ※必ずしも書く必要はありません。思いついたらそれでOKです。

  3. Authentic material(英語圏で作られた英語話者のためのコンテンツ)に触れ、実例に出会う。

3について詳しく説明します。

まず大前提として、実例を探すことは authentic material に触れる最大の目的ではありません。時々「英語学習には、どんな本(映画、音楽など)がおすすめ?」という質問を受けるのですが、内容に関心が無かったら、何を読もうが観ようが聴こうが、そんなものはただの拷問です。「何が語られているのか知りたい」という気持ちを最優先しましょう。

Autentic material の選び方にコツはありますが、それについては記事をあらためてお伝えします。とにかく、自分の興味や関心を満たしてくれる、飽きずに前向きに取り組めるものを選ぶましょう。それは学びの原動力にもなります

下の Youtube 動画(リンクあり)は、Vogueチャンネルの 73 Questions with Emily Blunt です。とても bold(大胆な、果敢な)な仕事選びをする、大好きな俳優の一人です。冒頭の方でこんな表現が出てきます。

I know.

中学校1年生くらいで学んでいる表現だと思います。でも、すらっと出てきますか?

こうやって実際にその表現が使われている場面を観たことで、’I know.’ について次のようなことがわかります:

  • どんな設定や話の流れの中で使われたか。(文脈)

  • どんな風に話されたか。(発音+イントネーション)

そうしたら、まず彼女の言い方を何回か真似してみます。次に、自分がその言い方でこのフレーズを使う場面を思い浮かべて、イメトレを繰り返しやってみます。

その過程を経て、’I know’ はただ「知ってる」だけでなく「使える」言葉になります。

他にも ‘I love it.’ とか ‘I don’t like jokes. In fact, I hate jokes.’ とか、初〜中級者レベルでも理解できるフレーズは山ほど出てきます。

もちろん、難しい vocabulary もたくさん出てきます。そのほとんどは気にする必要はありません。気持ちや時間に余裕があっても、あまり欲張らないようにしましょう。Vocabulary circle の 赤部分(new vocabulary)よりも 緑部分(quality) を広げることを優先するのです。

僕が赤部分のことを考えるときは、最初から「使うこと」を前提に、「使いたいと思う」「使う場面が容易に想像できる」単語や表現を拾い、やはり真似して自分の言葉にするという作業を繰り返します。

このようにして fluency を磨くことで、ともすれば忘れてしまいかねないただの知識だった vocabulary が、「生きたあなたの言葉」になっていきます。その変化を実感できるはずです。


人騒がせなタイトル(Stop Learning New Words!)は、例えば『必須単語1000』みたいな参考書でやみくもに単語(の意味とつづり)を覚えたり、単語を集めるためだけに本や動画を使ったりしないでほしいということです。試験や検定に備えての学習なら話は別ですが。

英語を学ぶ人、学ぶ意欲を持っている人には、英語で吸収する情報を楽しみ、吸収したものを自信を持って使いこなせるようになってほしいと願っています。

それでは、Have a happy learning!


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