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🎥 Eagles of Death Metal: Nos Amis (Our Friends) / The Hurt Locker

Eagles of Death Metal: Nos Amis (Our Friends)
★★★★☆

The Hurt Locker
★★★★☆


アマプラで「まもなく無料配信終了」リストに入っていた Eagles of Death Metal: Nos Amis (Our Friends) を、取り急ぎ鑑賞。中盤からエンディングにかけて、ずっと The Hurt Locker を思い出していた。前者はロックバンド、後者は職業軍人(爆弾処理班)と、主人公の立場は大きく異なる。かたやドキュメンタリー.で、かたや(戦争の現実をベースにしているとは言え)フィクション。横並びにするのは差し障りがある、あるいは不謹慎かもしれないが、僕の目にはどうしても色濃く重なって映るのだから仕方がない。


The Eagles of Death Metal: Nos Amis (Our Friend)
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パリ同時多発テロ事件に巻き込まれたアメリカのロックバンド、Eagles of Death Metal を追ったドキュメンタリー作品。HBO制作のテレビ映画。監督のコリン・ハンクスは、トム・ハンクスの息子。

〈Eagles of Death Metal〉
1998年、カリフォルニア州パームデザートにて Queens of the Stone Age の Josh Homme とその友人 Jesse Hughes によって結成されたバンド。名称に「デス・メタル」と冠しているが、デスメタルではなく、T. Rex や AC/DC のようなシンプルで明るいロックンロールを真骨頂とし、フロンマンである Jesse の不遜な態度のパフォーマンスが売りの一つになっている。

〈パリ同時多発テロ事件〉
2015年11月13日にフランスのパリ市街と郊外のサン=ドニ地区の商業施設におけるテロ事件。ISIL(イスラム国)の戦闘員と見られる複数のジハーディストのグループによる、西洋文化そのものを標的とした銃撃および爆破が同時多発的に発生し、死者130名、負傷者300名以上を生んだ。Eagles of Death Metal が公演を行なっていたバタクラン劇場では、死者89人と多数の負傷者という、事件中最大の被害が生じた。


The Hurt Locker
Blu-ray / DVD

アメリカ軍爆弾処理兵を描いた戦争映画。イラク戦争渦中のイラクに配属された William James 軍曹は、安全対策も中途半端に、まるでゲームのように爆弾処理に勤しむアドレナリン・ジャンキーだ。しかしある事件を境に、戦争や戦場の現実に苦悩するようになっていく。
Kathryn Bigelow 監督作品。主演 Jeremy Renner。2010年のアカデミー賞では9部門にノミネートされ、作品賞を含む3部門で受賞。'hurt locker' とは、「痛みの極北」を意味するアメリカのスラング。

〈イラク戦争〉
アメリカ合衆国が主体となり、『イラクの自由作戦』の名の下に行われた、大量破壊兵器保持における進展義務違反を理由とする、イラクへの軍事介入。2003年の開始以降、大規模な戦闘と治安悪化により、軍隊と一般市民に多大な被害が及んだが、結局アメリカが指摘した大量破壊兵器の発見に至らなかった。


万能感を漲らせることができた現場で、理不尽極まりなく、文字通り言語に絶する状況に晒される。無力感に徹底的に打ちのめされ、どん底まで落ち込み、葛藤に苛まれ続けながらも意を決して現場へと戻っていく。

簡単に言ってしまえば、どちらもそういう物語だ。現場に戻る理由も酷似している。自分にはとてもじゃないが背負い切れない圧倒的な現実を、これ以上ないくらい無様な形で思い知り、それでも続けるのは、戻っていくのは、何故なのか。

結局それまでと同じことを惰性でやってるだけじゃないかとも捉えられかねない。陰鬱な表情で戻る彼らの表情は、中毒患者のそれに見えなくもない。あるいは、何やら勇ましい英雄譚に着地しているようにも見えかねない。でも、そんなことは当の本人たちだって当然意識しているはずだ。思考停止ではないし、取り憑かれているわけでもないし、単純な正義感でもない。

それは、傍目には最善ではない、むしろ愚かな選択かもしれない。そうしたところでおそらく世界は変わったりはしないし、自信が取り返せるわけでもない。悩みに悩み抜いて、ことの白黒に結論はでないが、それでも自分にできる最良のことをするという決断を下したのだ。

小さくしょぼくれて、不器用なりに歩を進めるおっさんども、そっと肩に手を回して抱きしめたくなる。万能感を誇示しとんがっていた姿と裏腹な、彼らの本質的な人のよさを、祝福したい。それは、支持や肯定とは似て非なる、イデオロギーを越えた感情だ。



  • ★★★★★・・・出会えたことに心底感謝の生涯ベスト級

  • ★★★★☆・・・見逃さなく良かった心に残る逸品

  • ★★★☆☆・・・手放しには褒めれないが代え難い魅力あり

  • ★★☆☆☆・・・見直したら良いとこも見つかるかもしれない

  • ★☆☆☆☆・・・なぜ作った?

  • ☆☆☆☆☆・・・後悔しかない


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