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Present Tenses, Part 1.2 – 誰がどれだけで変わる現在形の不思議
『Tenses, Part 1.1 — 現在形が物語ること』で、present simple(現在形)の文章では[矢印]や[イコール]にある特有の変化が起こることについて触れています。
[矢印]は、辞書掲載の見出語のまま、あるいは語尾が -s となります。
[イコール]は am/is/are のいずれかです。
この記事では、その変化について解説します。
まずは『Tenses, Part 1.1 — 現在形が物語ること』中の例文から、 [矢印]と[イコール]の形を振り返ってみましょう。
I often forget your glasses.
Tom speaks Italian.
“forget” と “speak” は、どちらも[矢印]の一種ですが、”speak” の方は語尾に “s” がくっついています。
You are a cry-baby.
London is the capital of UK.
I am really happy to see you!
イコール文の[イコール]にあたる “aer” と “is” と “am” は、いずれも元々の形は “be“ です。
これらは全て present simple(現在形) の文章なのに、[矢印]と[イコール]の形がコロコロと変わっています。英語には、こういう不思議なことが時々起こります。不思議ですが、この変化にはちゃんとルールがあります。順を追って見ていきましょう。
6 Groups of Subjects -[主役]の6つのグループ
上の例に現れたような[矢印]や[イコール]の変化は、[主役]の種類によって起こります。
英文の[主役]は、会話上の立場と人数によって、6つに分類されます。
The speaker(語り手)
私/僕/俺 などThe speaker’s group(語り手を含む2人以上の集団)
私たち/僕たち/俺たち などThe listener:(聞き手)
あなた/君/お前 などThe listner’s group(聞き手を含み語り手を含まない2人以上の集団)
あなたたち/君たち/お前ら などSomebody or something(語り手や聞き手を含まない誰かや何か)
ボブ(一人の男性)/メアリー(一人の女性)/箱(一つのもの)などOther people or things(語り手や聞き手を含まない2人以上の誰かや2つ以上の何かの集団)
彼ら(彼女たち)/それら など
これら6つのグループは、それぞれ文法上は以下のように呼ばれます。
The speaker = 1st person singular(一人称単数)
The speaker’s group = 1st person plural(一人称複数)
The listener = 2nd person singular(二人称単数)
The listeners group = 2nd person plural(二人称複数)
Somebody or something = 3rd person singular(三人称単数)
Other people or things = 3rd person plural(三人称複数)
Subject-Verb Agreement
[主役]に合わせた[矢印]または[イコール]の変化
上で示した[主役]の分類と、それに対応した present simple における[矢印]や[イコール]の変化をまとめると、下の図のようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1662111912777-VY5EDBl6F7.jpg?width=800)
一見すると複雑に思えるかもしれませんが、注意すべき点はたったの4つです。
[イコール] “be” の present simple は、Subject が 1st person singular(一人称単数)のとき “am” になる。
[イコール]”be” の present simple は、Subject が 3rd person singular(三人称単数)であるとき “is” になる。
1・2 以外のとき、[イコール]”be” の present simple は全て “are” になる。
[矢印]の present simple は、subject が 3rd person singular(三人称単数) であるときだけ、語尾に “s” が付く。
これを表にまとめると、下のようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1662111986581-Dg0oMUfyHo.jpg?width=800)
図と表のどちらも、特異な変化をするとこだけ色を変えて示してある(am、is、carries/likes)ことが、おわかりいただけると思います。
あれ? “carry” と “carries” には、”s” が付く以外の違いもありますね。どうしてでしょうか。
How to Put an “s” at the End of Verbs
[矢印]語尾への “s” の付け方
I like films.
He likes films.
このように、[矢印]の present simple は、 [主役]が 3rd person singular(三人称単数) であるときだけ、語尾に “s” が付くことは、すでに説明しました。
[矢印]の spelling(つづり)によっては、もう少し変更を加える場合があります。
1. もとの語尾が “o / ss / ch / sh / x / z" のときは、 語尾に “es" を付ける。
She goes to hospital on Wednesdays.
彼女は毎週水曜に通院している。Robin kisses his mother every morning.
ロビンはお母さんに毎朝キスをする。My son watches a Disney film every day.
うちの息子はディズニーの映画を毎日ひとつ観る。Luna washes her hair with a special herbal shampoo.
ルナは特別なハーブ入りシャンプーで髪を洗う。Susie relaxes for a while after lunch.
昼食後、スージーはしばらく寛ぐようにしている。He whizzes down the road on his motorbike.
2. もとの形が consonant(=子音=a, e, i, o, u 以外)+y で終わるときは、語尾の y を外して ies を付ける。
I study literature, and my girlfriend studies history at the same university.
同じ大学で、僕は文学を学び、恋人は歴史を専攻している。
3. 上のルールに従わない、irregular(不規則)な変化をする。
I have a dog.
You have a dog.
They have a dog.
He has a dog.
どれも「犬を飼っている」という文章ですが、最後の例だけ “have” ではなく “has” が使われています。
このように、present simple においては “have” だけは上に示したルールに縛られない変化をします。
The 1st/2nd person pronouns
1/2人称である[代役]
[主役]が6つのグループに分かれ、それぞれに「◯人称◇数」という文法上の呼び名がついていましたね。このことについて、もう少し踏み込んだ話をします。
The speaker ( = 1st person singular ) にあたる[主役]は “I” だけ
たとえそれが話している自分自身のことだとしても、例えば ‘Emily” や ‘Matt” というような個人名を用いると、それは 3rd person singular(三人称単数)の扱いになります。自分を客観視、つまり第三者とみなしている表現だからです。
I’m hungry. I like sushi.
私お腹減った。お寿司が好きだな。Emily is hungry. She likes sushi.
エミリーは空腹ですよ。彼女はお寿司が好きですよ。
上の例文は、どちらも Emily 自身の言葉ですが、文中の[主役]が “I” でなければ[矢印]や[イコール]は 3rd person singular に対応した形になります。
Emily には Emily というれっきとした名前があるわけですが、日常的な会話では自分のことは「わたし」「僕」「俺」などと言いますよね。これらは本来の名称に代わる[代役]です。文法的には代名詞と呼ばれるものです。
The speaker’s group ( = 1st person plural) にあたる[主役]は[代役]”we” だけ
The listener / the listener’s group ( = 2nd person singular/plural ) にあたる[主役]は[代役]”you” だけ
I /we/you 以外は全て 3rd person ということになり、固有の名称であろうが[代役]であろうが、扱い方は同じです。
[代役]については、別の記事で詳しく説明しますので、そちらをご参照ください。
The Wonder of Present Simple Form Changes by Number and Person
誰がどれだけで変わる現在形の不思議
ところで、そもそもなんでこのようなルールが存在するのでしょうか?
英語のこのように厄介なルールには、正直ひとこと申し上げたくなります。am/are/is の使い分けや語尾の “-s” によって意思疎通の効率が — その機能がゼロというわけではないけれど — 劇的に上がるわけでもないからです。
言葉は生き物で、長い歴史の中で様々な影響を受けながら成長し、今の姿になっています。そして、現在標準とされるルールの全てが合理的で有用なわけでもなく、ある種の「成り行き」でそこに行き着き、固定されてしまったものも少なからずあります。会社や地域にもあるじゃないですか、訳のわからないしきたりや暗黙の了解が。乱暴に言ってしまうと、そんな感じです。
「標準」は「絶対」必ずしもというわけではなく、実際のところ「語尾に “s”」というルールが無視されているケースもたくさんあります。
そうやって文法のことを考えていると頭が痛くなってしまいそうです。「理不尽!」「面倒くさい!」とイライラをぶつけたくもなります。
僕自身も例外ではありませんが、学習者の一人として前向きに取り組めるよう、自然や宇宙のように、言葉にも sense of wonder(不思議な感動)があるんだと思うことにしています。皆さんにもそうあってもらえたらいいな。
それでは、I wish you happy learning!
Your support in any shape or form counts!