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貸したいものと貸したくないもの

「リップクリーム貸して」と言われて驚いた大学生時代。
自分の唇に塗るものを他人に貸すなんて。たとえ友人でもとても抵抗があった。が、その子がなんの気なしになんの違和感もなくさらっと言ってきたので断ることができず、結局今さっき自分で使ったリップクリームを貸すことになってしまった。
後にも先にもこの一度切りだったと思っていたが、書きながら思い出した。たしか、その子と仲の良い子にも一度貸してと言われた気がする。
内輪では当たり前のことでも、ほんの少し外に出るだけでそうではなくなるものもあるよなと思った。

逆に貸したいものはなんだろうと思って、1番に思い浮かんだのは、自分が読んで良かった本だ。
心に響いた本、新しい発見があった本は人に教えたいし、読んでほしい。意見を交わしあえたらなお嬉しい。
ただし、貸すためにはその本を自分で持っていなければいけないわけで。
私は月に数十冊読むこともあるので、毎度毎度本を買っていては家が本だらけになってしまう。ほとんどは図書館で借りて済ませている。タダで借りられてとても便利なのだけど、人に「これよかったよ」と渡したい時には使えない。気に入った本だけでも、手元に置いておこうかどうしようかいつも葛藤がある。
かと言って、私がよかった本が相手にとってもそうであるとは限らないので、「必ず読まなければ」と相手にプレッシャーを与える可能性もあって、本を自分から貸すのはなかなかハードルが高いものだなとも思っている。

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