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フラットな組織づくりを考える

フラットな組織が好まれる昨今、どうしたらフラットな組織が作れるのかを考えている。しかし、「フラットな組織」の概念が曖昧である。平等、公平、役職の上下がない、誰が言ったかより何を言ったか、と言ったように階層を作りたくないような意味合いを強く感じる。

なお、階層を好まない人もいるが、一方で自分は言われたことをやっていたい、という人もいる。実際仕事を一緒にやって自分で考えて行動したいというのは一般的ではなく、言われたことしかやりたくない、何かあれば言って欲しいというスタンスで仕事をする人は多い。経験上そのように感じているが一旦置いておいて「フラットな組織」がどういうものか考えようとしときに以下の本を読んでみた。

この本は組織デザインの基本理論を解説したもので、この組織設計がいい、という類のことを書いているわけではない。なので机上の空論、実務との乖離もあるが、実務の個別具体的な全ての物事への対応は基本的に不可能である。一定の抽象論で考えることで詳細に入ったときに個別具体的な対応を考えた方が良いと考えている。

なお、本書全ての説明をしているわけではないことと、自分の考えが混ざっていることは事前に伝えておく。また、今の思考の整理の意味合いで書いているので、省略しているところもある。

「フラットな組織」とは

「フラットな組織」は、階層がない組織、と定義する。

ポイントは「分業」「標準化」「ヒエラルキー」

本書は、製造業をベースに考えられている。そのため、「分業」は大切な要素である。分業の仕方により、業務の進捗が大きく変わる可能性があるためである。分業は並行分業と機能別分業がある。

並行分業:1つの製品を同じ人が各工程を行い、1つの製品を販売する
機能別分業:全体に果たす機能に応じてタスクを分割し、各機能が役割を担う。

スタートアップでは、機能別分業の方が多いだろう。機能別組織の場合、最終的なアウトプットを行うにあたり、各機能の統合が行われる必要がある。開発と営業で開発内容の差、営業トークの差などで一悶着起きるのはそれがうまく行われていないということか。

「フラットな組織」を考える場合、各機能で会社にとって適切な意思決定・結果が出てくることが重要と考える。フラットな組織は、各機能がその役割を適切に担い、会社が適切だと思う結果が出されなければならない。そしてその結果は建設的に評価はされる必要はあるが、基本的にその意思決定は尊重される。

しかし、その結果に問題がある場合、ある機能を果たす人間が意思決定や結果を創出する前段階で確認するようなフローが求められる。これが管理監督の誕生である。

それにより、意思決定の質を担保し、一定の結果が出るようになっていく。

しかし、フラットな組織において階層を作りたくない場合、管理監督者は作れない。となると、いくつかの方法を考えなければならない

- マニュアルを作る
- メンバーの意思決定の思考レベルを上げる
- 情報の差をなくす

メンバーの意思決定の思考レベル・保有情報を上げるために訓練しなければならない。そのために以下が行われると考えられる。

- マネージャー研修など、経営者と同じマインド・意思決定を行えるように訓練する
- 情報を共有し、同じ環境下におく

これらを経ることで、中間管理職層が、経営陣に近い意思決定を行えるように訓練し、経営陣自身が意思決定する機会を減らし、現場でのスピード感を上げることに繋げる。

なお、部長や執行役員レベルには到達できても経営者、役員レベルに到達することは稀だろう。社長は何もやっていない、と文句をいうケースを見てきて実感する。その人自身が、その環境を実感するような状況に直面しないと1社員から役員と同様の意識に変わることは難しいと考える。

一方で意思決定に誤りが生じるということは、通常とは異なる状況があり、その場で対策を考えなければならないことが生じているということになる。このような例外事項が発生する状況では以下が求められる

- 例外事項をなくす

圧倒的な解決策であるが、全てのマニュアルは作れないし、例外事項全て予想することが不可能である。できることは例外処理を意思決定をした後、メンバーにその意思決定プロセスを共有し、近似した意思決定は自動的に適切に行われることを促すことだろう。

まとめ

階層を作らないフラットな組織を実現するためには、全員経営者の意識、能力、経験、知識、情報をもち、同じ意思決定ができれば実現できそうだが、ほぼ不可能である。そのため、一定の意思決定が行われるような外部・内部の環境づくりが重要である。一定レベルの意思決定は自動化し、それを超えるようなものは思考、すなわちビジョンやミッションの確立とそれを一段落とし込んだ意思決定プロセスだろう。

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