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受託から拡大の理想を現実に!グッドパッチの展開を考察した

グッドパッチ が上場した!!!

グッドパッチIの部

デザインのサービスを提供する企業であり、多種多様なデザインに関する発注を受けて拡大している。

その中でもデザインの受託業務で稼いでいると聞くが労働集約的で売上を増やすためには人を増やさないといけないイメージしかなく、成長が止まった場合などどうするのだろうと思ってしまう。どのような内容で提供しているのか、どのように取引先を獲得し、どのような発注先と組んでいるのか、サービスプラン、価格、提供方法、今後の拡大ストーリーについて調べてみた。

受託業務について

本題に入る前に、受託業務を考えたい。

取引先から案件を受けて売上を上げることについては否定的な意見もある。

・労働集約的になるため他にリソースが使えない(うまくやってる人はいて労働集約とは思えない状況を作ってる人はいるが。)
・拡大が人員数に依存する労働集約モデル
・ダサいイメージがある

など様々だ。

しかし、新しいサービスを提供するためには効率的なサービス提供方法だとも考えていてメリットもある。例えば

・確実に稼げる(労働集約的であるが途中で買わないとかほぼない)
・売上や入金が多少安定する
・そこから需要を見つけ、パッケージ化でのサービス提供などの可能性がある

である。

また、多くのサービスは最初は受託のような非効率な提供方法を効率化することで拡大していることが往々にしてあると思っている。問題は「相手側のコントロール下に置かれて下請け化し、疲弊するような状況があること」である。そのため、そこをうまく解消できれば安定的に収入を獲得し、他の時間をきちんと使い、新しいことをすることもできると思っている。

企業概況

グッドパッチは「デザイン」を軸に問題を解決する企業である。

デザインの力を証明する

というミッションを掲げ、邁進している。昨今UI/UXが言われてきている中でそれをサービスとして実現し提供していて面白い。

企業価値推移

直近の企業価値推移をグラフ化してみた。

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2020年3月17日は、種類株主が取得請求権を行使し種類株式を会社が引き取り普通株式を付与している。そのため、時価については変更せずそのままと仮定している。

企業価値は全体として堅実に伸ばしていることが伺える。特にプラットフォームサービスが2017年の投資以後でのリリースが主なのでそこから考えると3年での伸ばし方は今後のサービスを見越してのものだろう。2017年4月の増資も当然プラットフォームサービスへ資本を投下するためだろう。

サービス(内容、価格、提供方法)とそれぞれの売上金額・売上割合推移

グッドパッチの事業は主に①デザインパートナー事業と②デザインプラットフォーム事業である。

各事業の直近の売上推移は以下の通りである。

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デザインパートナー事業

デザインパートナー事業においては、主にWebサイトやスマートフォンアプリケーション等のデジタルプロダクトのデザイン開発を進めたい顧客企業(クライアント)に対し、当社のUXデザイナー及びUIデザイナーがデザインプロジェクトをリードしながらデザインプロセスを遂行し、顧客企業が真に必要とするUI/UXデザインの実現を支援し、顧客企業(クライアント)の成長にデザインで貢献します。

デザインの支援が主な内容と思われる。KPIはプロジェクト件数とその案件金額だろう。人員推移も合わせて表にしてみた。(ちなみにここまでデータを出すのは親切できちんと株主に情報を提供する姿勢が伺える)

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プロジェクト件数は20件前後で推移しているが、平均プロジェクト月額は増加傾向ではあるように見える。しかし人数が増えているので当然と思われることから一人当たり売上の推移を見てみる。

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※ 平均売上 = 月平均プロジェクト * 平均プロジェクト月額
※ 一人当たり売上 = 平均売上 / 社内デザイン組織(名)

月平均のデザインパートナー事業の売上推移と一人当たり売上を算定してみた。当初は高単価であったが、傾向としては減少している。案件が増えてきてはいるが、人数の増加に見合う当初ほどの価格での受託は出てきてないのだろう。案件もどんどん広い範囲で獲得すれば平均値は減少すると思う。社内ではどのくらいの目標としているか気になる。

デザインプラットフォーム事業

デザインプラットフォーム事業は、デザインパートナー事業によって行われるUI/UXデザイン支援を様々な側面からバックアップするものとなります。デザインが有効に活用され、プロダクトとして世の中にリリースされるまでのプロセスをソフトウェア(デザインITツール-「Prott」「Athena」)、企業内デザイン人材(デザイナー採用支援サービス-「ReDesigner」)、デザインビジネス環境(クラウドソーシング-「Goodpatch Anywhere」)の点からサポートし、デザインパートナー事業をサポートする基盤(プラットフォーム)として機能しております。

事業の内容としては、

①Prott:プロダクトタイピングツール
②ReDesigner:デザイナーに特化した人材紹介
③Goodpatch Anywhere:フルリモート形態によるWebサイトやアプリケーションのデザイン支援
④Athena:カーデザインをVR環境で行うソフトウェアの開発

の4種類構成されている。リリース時期は以下の通り。

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リリースして5年目を迎えたProttは、安定した顧客基盤を維持することができております。デザイン人材の採用支援サービスのReDesingnerは、これまでデザインパートナー事業にて培ったブランド力を活かし、採用支援実績を積み上げております。また、遠隔地からインターネットを通じてプロジェクトに参加する形態をとったフルリモートのデザインチームによるWebサイトやアプリケーションのデザイン支援を展開するGoodpatch Anywhereにおいては、全国各地からその登録者が増加しております。前連結会計年度に開始したReDesingner及びGoodpatch Anywhereは順調に売上を伸ばし事業展開に大きく貢献している一方で、主にReDesingnerにおける立ち上げ期の人件費等への投資が先行しております。

サービスは直近にリリースされている。デザインプラットフォーム事業は企業の次の収益源として立ち上げ様としていることが伺える。人数についても特にGoodpatch Anywhereにリソース及び費用を配分しているように思われる。

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ちなみに2020年4月の人数と合わない(2020年4月時点でのデザインプラットフォーム事業の人数は52名)のは、当事業は多くが業務委託等社外デザインチームで構成されているためである(社外デザイン組織と明記している)。そのため固定費を軽くする一方で柔軟なサービス提供をできるようマネジメント体制を構築しているのだろう。Goodpatch Anywhereは今の状況を考えても拡大していくだろう。使う方にとっても便利だ。

一方ProttやReDesignerの人数は減少傾向である。最近のデザイナーの需要は高いのでReDesignerは稼ぎ頭になるかと思っていたが、デザイナーの働き方に合わなかったのだろうか。確かに外注で複数案件持っているデザイナー友人は多い。色んな職種で採用活動の激戦が繰り広げられていてデザイナーもその一つの職種、実力が分かる人の採用斡旋は双方にとって良いようなきもしたがなかなか難しいのだろうか。

デザインパートナー事業できちんと稼ぎ、基盤を安定させ、デザインプラットフォーム事業という新しい事業でデザインに関連するサービスを提供する形は手堅く王道の成長をしているように感じる。2Q時点ですでに昨年を射程に入れているほどの売上をみると順調に成長しているのだろう。

拡大ストーリーに対しての考察

今後の事業について以下の考察がある。

IT専門の調査会社のIDCによる調査結果では、デジタルトランスフォーメーションの拡大を背景として、全世界におけるデジタルエージェンシー(当社グループを含む顧客企業のデジタル開発/進出を支援する事業を行う企業)の 全市場の市場規模は、2018年において1,132億USドル(2018年)と推測されています。そのうち、当社グループがデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業の「Goodpatch Anywhere」にて提供しているUI/UXデザイ ン支援に関連した領域(UI/UXデザイン市場)については年平均成長率14.4%、市場規模では484億USドル(2018年)おけるデジタルエージェンシー(当社グループを含む顧客企業のデジタル開発/進出を支援する事業を行う企業) 全市場の市場規模は、2018年において1,132億USドル(2018年)と推測されています。そのうち、当社グループがデから950億USドル(2023年)に拡大すると予測されています(注2)。

今後この領域は大きくなることが想定される。一方でサービスの提供の仕方を考える必要があると感じる。

・デザインパートナー事業は売上を伸ばすためにメンバーの獲得。しかしこれをAnywhereで提供できる座組みができたら社内・社外でリソース活用できて良いかもしれない。社外メンバーを活用してパッケージでのサービス提供はワークしたら収益源にしやすいだろう。

・みんなが大好きプラットフォーム事業は難しいのか。デザインという分野は通常の人が活用するには難しいのかもしれない。パートナー事業で提供している内容を安価・容易に利用できるサービス内容が必要になるか。スタートアップ始めたての起業家はサービスをリリースするためにまずこれを使ってサービスのUI/UXを考えるなど利用方法考えれると良いかも。デザインは個人的にはすごく困っている。

・デザイナーがいないというのは色んな企業で聞く。しかし、デザイナーに求める判断基準が明確な企業は少ない気がする。ポートフォリオが自分たちが求めているセンスかとか視覚的なものだけでなく、UI・UXも考えらえる人が求められている。そんな人を見つけるのは素人には至難の技であり、採用活動は良いと思っていたがなかなか難しいか。採用面接に参加とかも良いが、デザイナーを集めてまとめてサービス提供した方が割りは良いと思われる。今後すごく伸びそう。

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Goodpatch Anywhere

この手のサービスは拡大しそうと考えている。業務の外注先を多く確保し、サービスを提供している会社では様々な事業を外注先をマネジメントして提供している。電話対応や営業コール、入力業務など様々あり、サービス提供する会社だけでなく外注されている側にとっても安定して仕事の供給を受けれるというメリットもある(価格はきっと適性だろう。)。

デザイン業務でもこのような展開が出てきているのに、「うちの会社は特別だから」とか「センスが〜」とか言われていたようなことが事業として成り立とうとしているのではないかと思っている。

まとめ

受託業務だから、という労働集約的で継続的な成長が難しいという考え方がある一方で、今後きちんとサービスを提供するにはクライアントの声をきちんと聞いてサービスを作らないと継続して利用してもらえない、という課題を持っているところで「グッドパッチIの部」を見ていろいろ勝手に考えてみた。

結果きちんと伸びているし、なんなら受託業務だけでないフェーズにしっかり移り拡大を計っている。

間違っているところもあるかもしれないが自分のイメージと事実が異なるところもちょいちょい合ったので良い機会だった。デザインセンスがない自分にとってはnoteも手直しして欲しいくらい。

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