フロムスクラッチの増資とKKRについて調べて見た

ベンチャーの投資とか規模とか色々調べるのが好きで最近だとnoteのネタが溜まりまくってる知人の姿をみて自分も最近興味を持ったことを久しぶりに書いてみようと思ってフロムスクラッチについて調べてみた。


KKRが日本のベンチャーに初めて投資した!というニュースが目に飛び込んできた。IPOやVC、CVCの役割、第三者割当て、種類株式などについての内容はわかっているつもりだけど、KKRのベンチャー投資が初めて、というところでピンとこなかったので自分の知識がかけている箇所について埋め合わせをしようと思って調べて見た。


KKRとは


KKR は1976年にニューヨークで創業された。ヘンリー・クラビスとジョージ・ロバーツが「Joe and Rose」レストランでの夕食時にKKRの創業を決めたと言う。

KKRはコールバーグ・クラビス・ロバーツの略語で、名前の由来は創業者のクラビスとロバーツから取っている世界的プライベート・エクイティ投資会社である。1989年の全米有数の大企業である食品・タバコメーカーであるRJRナビスコのLBOによる巨額買収が有名である。日本関連の案件では、東芝メモリや日立国際、パナソニックヘルスケア事業など、ノンコア事業のスピンオフ案件において存在感を示していた。近年、スタートアップへの投資も加速させており、今年3月にNASDAQへ上場した米国スタートアップのライドシェアサービスLyftや中国の音楽付きショート動画作成・シェアアプリ「TikTok」 を運営するByteDanceなどエンタメ系に投資をしている。

現役員陣の加入

沿革_directores

それぞれの人物については Executive Officers をご覧いただきたい。

直近に大きな変更はなく、役員の変動により直近の投資スタイルの変更やスタートアップへの興味関心の変更ではないと思われる。

国別投資実績

直近の国別の投資実績は以下の通りである。

投資先

KKRの2017年からの投資先を国ごとに集計した。アメリカへの投資が4割以上を占めるがオーストラリア、スペイン、インド、イギリスなどへの投資をコンスタントに行なっている様である。投資先としてオーストラリア?と思ったがweworkのような不動産ビジネス、美容、個人ローン、医療、会計など様々ある。


KKRが日本のベンチャーに初めて投資した!というニュースが目に飛び込んできた。

というところからの調査であるため、今度は日本の投資状況についてまとめてみた。

日本への投資実績

KKR Portfolio から日本企業への投資のみ抜粋

画像5

KKRによる投資は、フロムスクラッチが日本初めての投資ではないが、日本の「スタートアップ」への初めての投資先となる。

フロムスクラッチ とは

フロムスクラッチはスマートデータ社会の実現を目標としている。以下はフロムスクラッチ のサービスの説明。

消費者行動の多様化により、大量のデータが生まれ、技術の進歩により、その大量のデータを蓄積できるようになった現代。ただ、そのデータを活用できている企業や人は多くありません。
使えないデータを使えるデータに進化させ、誰もがデータを活用し価値を創出できる社会。そんな“スマートデータ社会”の実現を目指し、サービスを提供し続けています。

その中で b→dash を提供している。

以下はフロムスクラッチの会社概要である。

会社概要

フロムスクラッチへの投資の経緯

2019年8月6日に以下のプレスリリースしている。

【データマーケティングプラットフォーム「b→dash」 開発のフロムスクラッチ、 KKRやゴールドマン・サックス他、既存株主から100億円の資金調達の契約締結が完了】 ~累計資金調達額は145億円に。KKRとしては日本国内初のスタートアップ投資~


今回の投資時期に取締役2名、監査役1名を追加している。

取締役

監査役

谷田川英治氏 はKKRのメンバーであり、KKRの投資先の役員にもいくつか就任している。今回のフロムスクラッチもその一つとなり、会社の成長に寄与して行くものと思われる。

フロムスクラッチの新規引受先のコメントは以下のとおり

●KKRパートナー 谷田川 英治氏
「KKRの国内初のスタートアップ投資として、フロムスクラッチへ参画できることを大変嬉しく思います。データマーケティングに必要な機能を”All-in-One”且つ“Easy-to-Use”で提供するというb→dashのプロダクト思想は、細分化されたプロダクトを起源とする欧米の競合相手と比べても特徴的で、複雑化するユーザー企業のニーズをとてもよく捉えたものです。『Data Palette』の技術優位性も高く、このようなプロダクトが日本で開発され、目覚ましい成長を遂げていることは、大変素晴らしいと感じています。企業におけるデータ活用の重要性が今後益々高まる中、日本市場のみならずグローバル市場、特にアジア市場においても今後の成長は大いに期待できます。KKRが有するグローバルネットワークを通じて、フロムスクラッチが日本発のSaaS企業として更なる事業拡大および、グローバル市場への進出を支援していきたいと考えています。」

KKRの投資がうまく拡大するように社内の役員にも入り込むことによってフロムスクラッチを拡大する本気度が伺える。

●ゴールドマン・サックス証券株式会社 代表取締役社長 持田 昌典氏
「フロムスクラッチは、まさに新たな投資先として私たちが求めている企業です。長期的価値を生み出す革新的企業の卓越した創設者と経営チームをサポートできることを非常に嬉しく思います。私たちはフロムスクラッチを支援し、この比類ない、そしてこれからの社会にとって必要不可欠な事業がさらに拡大することを大変楽しみにしています。」

KKRだけでなくGSも投資している。これもなかなか珍しいのではないだろうか。今後金融回りで貢献することも考えらえる。

2019年の増資の完了時

資本政策表_フロムスクラッチ_資本政策表

全ての増資完了後は上記の通りである。過去減資をしており、総額約120億円の資金を調達していると思われる。なおKKRは2019/7/16であると想定される。資本金20億円増えていた。

今までの増資推移と事業推移は以下の通りである。

資金調達沿革

事業展開推移

2014年、2015年の調達により開発を進めていたのだろう。2016年以降のサービスリリースや改善・向上が行われていることが顕著である。サービス内容としては分析機能の強化と他サービスとの連携が目立つ。データ活用しそれを当たり前に使いこなせる世界を作るという意味合いでは適切な戦略だと思う。

なお、内容とは関係ないがフロムスクラッチは情報提供を積極的に行なう方針なのだろう。他社の導入についてのリリースが大変多かった。サービスはもっと利用されていると思うので一部のリリースだとは思うが、大手との連携はリリースしたい気持ちはすごくわかる。


資金使徒

今回の増資によりフロムスクラッチ資金使途は以下のとおり。

①世界初のデータ統合技術「Data Palette」の開発強化
②世界展開の加速
③新規事業の本格始動
④人材採用の強化

①世界初のデータ統合技術「Data Palette」の開発強化

UI/UXが分かりやすく設計されており、SQLやプログラミングの知識がなくとも、取得したデータの統合や変換など、データを活用したい人は誰でもb→dashの操作画面上で直感的にデータを使いこなすことができるようになります。
これにより、これまで一部の人しか扱うことができなかったデータを民主化し、誰でもデータの持つ力にアクセスできるようになることで、よりハイレベルな社会を実現することが可能になります。

分析について一定の知識がなくても直感的にできるようになるツールを目指していると思われこのようなものができたら施策の分析からネクストアクションなどについて活用できるデータが出せるようになるのではないだろうか。

②世界展開の加速

アジア市場への展開を強化していく。拠点など作ると本気度が見えてくるのでどこか拠点を作った時には本気で進むことを決めた証拠になると思う。

③新規事業の本格始動

来年にはデータマーケティングプラットフォーム「b→dash」から派生した、”企業と個人のデータのあり方、およびその価値を変える”新規事業を開始予定です。本新規事業の開発への投資を実施致します。

資金使途に③新規事業の本格始動 が入っている!投資家に対し、今後のストーリや収益獲得を説明できた、または進んでいる状況でその下地があると考えられる。今後の展開に期待である。

④人材採用の強化

そうだと思う。これからの拡大に向けて幅広く採用活動を行なっていくだろう。

拡大するためにミッションのためのサービス強化、海外展開、人材採用強化は通常の流れと思うがさらに新規事業の本格指導に対しても投資を受けているところから今後のサービスリリースにも引き続き注目したい。


まとめ

自身が業界の会社について疎かったので調べてみたが、フロムスクラッチの投資はもちろん投資実績から今、どのような世界をみて動いているというのもわかりそうだなと思った。個人的にはフロムスクラッチへの投資からビジネス系への新たなサービスの観点と思っていたが、KKRにとってはそれは一部で人類の健康など時間はかかるが達成されることで世界がより良くなることに対しても投資している模様。投資先もそれぞれ調べればKKRの方向性などが見えてくるだろうなと思う。



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