校則を読み比べて考える 〜頭髪編〜
前回、「校則を読み比べて考える〜靴下編〜」をお届けしました。今回は、頭髪編をお届けします。
まずは、高知の校則について
高知の「校則」を公開します
私が調べたわけではないのですが、知り合いの方が、高知県の県立高等学校および中学校、高知市立中学校を情報公開請求して、集めて、データを公開してくれました。
時間があるときに、目を通しているんですが、なんだかなぁと思うものがあるので、ちょっと紹介。今日は頭髪についてまとめてみました。
頭髪って何を基準に?
さて、頭髪に関しては、何を基準に決めているんだろうかと。最近では「頭髪検査で人権侵害」とか
「卒業式へ参加させず」とか
人権にも関わるテーマかなと個人的には感じている内容です。
〇〇にふさわしい…〜中学校編〜
さて、いくつかの中学校の頭髪規定を見ていきます
受験にふさわしい髪型って、振れ幅ありすぎじゃないですか?
「中学生らしい」髪型や、「授業に支障がない」長さの基準って???
自然で清潔って、何を基準に決めるのでしょうか???
自然なままって、伸ばしたままでも許されるのか?
常識あるってどういうこと???
そして、”女子が髪をくくったり”とあるのは、男子は髪をくくらない前提?
前髪は目にかからない・肩甲骨をこえたら髪をくくると細かな指示が。そしてパーマと並列にツーブロックなどを認めないと。この「など」が気になりますね。
中学生らしさ推しですね。女子の髪型は男子よりも細かく指定がされているが、男子が髪を伸ばす場合は許可されるのかが不明確ですね。男子の中学生らしさで髪を短くというのであれば、それはそれで問題だなと。
めっちゃ多い…男子の項目をクリアするために後ろで束ねてるのはOKと受け取ることもできそうだが、きっとダメなんだろうな。あと、髪のゴムの色は『黒・紺・茶色・深緑』、靴下の色は『白・黒・紺』この違いってなんだろう。。。
中学生らしい品位って、なんでしょうか。そして、高校入試の際にふさわしくない髪型ってなんだろう。これは、中学校が「ふさわしくない」と考えているのか、高校が「ふさわしくない」と考えるだろうと予想しているのか、なんなのか…(なお、高知県の公立高校の入試は「志願変更最終日の全日制課程全体の志願倍率は0.70倍」となっております)
男女で分けて書いているけど、文面は同じ!これは何かを意味しているのか、なんだろうか…
シンプル!!!
とまあ、全部を取り上げたわけではありませんが、靴下よりは多様な内容となっておりました。
気になったのは、「高校入試にふさわしいもの」という規定が何校かで見られたこと。いや、入試において髪型で不合格にするなんてことがあったら、それこそ大問題なんですが。え、あ、公立高校においては、こんなことがあるのでしょうか?これは、議員の方から教育委員会へ議会で質問してもらったらいいかもしれませんね。ふぅ…
あと、思ったよりは「ツーブロックNG」とは明記している学校は少なかったですね。19校のうち2〜3校程度。でも、「中学生らしい」や「自然のままで」や「学習のじゃまにならない髪型」で包含してそうですよね。このあたりは抽象的な語句で逃れている印象です。お互いの認識のズレがないかは、確認することがいいのではないだろうかと。
一方で「脱色や着色、パーマなどの加工をしないこと」だけにしている学校もあるので、何か違いが起こったのかを質問するといいのかなと。靴下よりも規定している幅に広さがありますね。
いつの時代のルールなのだね…〜高校編〜
中学生編は、思ったよりは、ガチガチではないなぁという印象でしたが、高校ではどのようになっているでしょうか。
中学校でも指定されているのと同じような内容ですね。「人工的に手を加えたり、極端な刈り上げ、剃りこみ等」の「奇抜」というのが何を指しているのかは不明。人工的に手を加えないというのは、カットするのは含まないということなのだろうか…
「アイパー」って現代の高校生がわかるんですかね?アイパーとエクステンションが同列に書かれていることに違和感。また、リボン・ヘアバンドはNGで、カチューシャOKというのはどんな基準なのでしょうか。高校になると、具体例で禁止してますね。ここまで禁止しているけど、男女は分けていない様子。
男子において「丸刈り」「長髪」のいずれでも可としているが「襟にかからない長さ」とする。ということは、この「長髪」というのは「襟にかからない長さの髪型」=「長髪」という定義なんでしょうか。長髪の定義がよくわかんないですね。
あと、リボンとヘアバンドはここでも禁止なんですね。なんだろうこのこだわり。
比較的緩やかな書き方でした。男女の区別もないですし、長さについては特に表現なし。
一方でこちらは、厳しめ。「長短の激しい髪型」ってツーブロックも含むってことなんだろうか。式典時の髪型まで指定している。また、リボン、ヘアバンドに加えてカチューシャも禁止されている。このあたりのラインは何で決めているのだろうか。
「社会から信頼される=企業や上級学校で面接できる」って決めちゃってるよ…ツーブロックは奇抜なのか。そうかそうか。ツーブロックの人は社会から信頼されないと言い放っているわけでしょうか。
頭髪の染色…の項目は、個人的事情があると誓約に従って行えるってのもなんだかなぁ。なんの誓約をするんだか。
こちらはシンプル。ただ「奇抜な髪型」が指すものが不明確ではあります。
初めて出てきました「高知県高等学校 服装・頭髪に関する指導方針」。これが別掲されていたので、以下に紹介
平成元年度…1989年度ということですね。もうすぐ2023年度。ひょっとしたら、この頃のものが各学校に残っているのかもしれませんね。ミニ・ヴァーグってボブヘアーのことかな…
新しい高校のためなのか、髪型で規定しているのではなく「みだしなみ」でまとめて書かれている。そして、あまり細かな指定はない。しかし「端正、清潔で落ち着いた」という曖昧な言葉で定められており、これが何を意味するのかは不明確。
気になった注意表記
また、この高校の校則にある「※生まれつきの髪色の場合や、宗教上の理由の場合など、特別な事情がある場合は、ホーム担任を通じて生徒指導部に相談してください。」ですが、とても気になる。
まず、子どもの権利条約 第2条をご確認ください
子どもの権利条約では、このように定められています。この校則では「人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなし」ということに反しているのではと。「〇〇のルーツだからOK、でも日本人はNG」「〇〇の宗教だからOK、でも他の宗教だからNG」というのも差別ではないだろうかと。もう少し丁寧に扱ってほしいんですが。
高校の校則も頭髪に関しては幅があります。ほとんど指定がないところと、ガチガチなところと。ただ、どこも髪染め・脱色は禁止なのかな。あとは「奇抜な」髪型を禁止しているけど、この「奇抜」というのが何を意味しているのかは不明。最初にも書いたがコーンロウを「奇抜」に含むのであれば、それはやはり問題なんだろうなと。
あとは、男女分けて書いているのが高校には多いですね。ひょっとしたら、中学校のほうが少しはジェンダー差別を意識しており、高校のほうが遅れているのかもしれないですね。
というわけで、ここまで読み比べたものを書き出してみました。すべて目は通しているのですが、全部紹介すると多くなってしまうので、選択して紹介しております。高知の気になる学校の校則がありましたら以下のサイトで各自確認していただければ幸いです。
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