歴史の洞察から導く真のリーダーシップ
「リーダー」と聞いて、どのような人物を思い浮かべますか?
歴史には、偉大なるリーダーが数多く存在し、その行動と決断は時間を超えて我々に多くの教訓をもたらしてきました。
この記事では、真のリーダーシップを形成するための要素および歴史的なリーダーたちが共通して持っていた特質について考察します。
真のリーダーシップの要素
まず始めに、私が思う、真に優れたリーダーシップの5つの要素について考えてみました。
1. ありたき未来を描く
2. 自分の言葉で伝える
3. 決断する
4. 全ての結果に責任を持つ覚悟
5. 明るく元気で前向きな姿勢
1つ目は、どんな未来を実現したいのか?ワクワクする未来を本気で信じ、実現したいと思えるありたき未来を描く力のことです。
リーダーはありたき未来のビジョンを描き、その想いに1人でも向かっていく人です。そして、その想いについて来てくれるフォロワーがいて初めてリーダーになれます。
そして2つ目に繋がりますが、その熱意や想いを、その情熱やビジョンを、自分の言葉で伝えることです。
たとえば、スティーブ・ジョブズが行ったスタンフォード大学のスピーチは、彼自身の経験や洞察を織り交ぜて、人々の心を捉えるものであり、その重みが長く語り継がれています。
ただ、伝えるといっても、「なにを」や「どうやって」成し遂げたいのかの「WHAT」と「HOW」だけでは成り立ちません。「なぜ」それをやるのかの、「WHY」を伝えた上で、「WHAT」と「HOW」を繋ぎ合わせ、それを自分の言葉で語ることで人々を動かす力を生み出すと考えてます。最も大切なのは「WHY」なのです。
参考)How great leaders inspire action
サイモン シネック
3つ目に、決断力です。リーダーが決められずに優柔不断な姿勢でいると、フォロワーを惑わせ、組織の進展を妨げます。もちろん、多様な意見を尊重し、試行錯誤を重ねることも必要ですが、最終的な判断はリーダーの役割です。
そして、4つ目に、全ての結果に責任を持つ覚悟です。
失敗を部下のせいにしたり、部下の悪口を言う人をたまに見たりしますが、それではフォロワーもついてきません。リーダーは全ての結果に責任を持つ覚悟が必要です。
最後に、どんな逆境であろうとも明るく、元気で、前向きの姿勢を貫くことです。
ネガティブなエネルギーを発するリーダーのもとでは、フォロワーに不安を与えてしまいますし、実際ネガティブな結果を招いてしまいます。
私も会社では「明るく、元気に、前向きに」とことあるごとにみんなに伝えていますが、リーダーは常に「最後にはきっとうまくいく」「必ず道は拓ける」という姿勢を持つべきです。
影響を受けた歴史上のリーダー
ここで、私が影響を受けた歴史上のリーダーを何名か挙げてみます。
・吉田松陰
・西郷隆盛
・渋沢栄一
・稲盛和夫
・ネルソン・マンデラ
・マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
・マハトマ・ガンジー
など、他にも挙げられる人物は多くいますが、これらのリーダーに共通するのは、先ほどお伝えした5つの定義の中の、「ありたき未来を描くこと」と「自分の言葉で伝えること」の能力を特に強く持っているリーダーです。
私はこれらの要素こそが、真に影響力を持つリーダーシップを形成する基盤であると考えます。
例えば、吉田松陰は幕末の日本の自立を保つことを使命に、壮大な未来を描き、命をかけるほどの熱量と努力で自らの思想や至誠、信念を突き通しました。
ここで大事なのは、自らの名誉や富のために成し遂げようとする「野心」とは異なり、命を使ってまで成し遂げたい社会や他者に利する「使命」でなければ人の心は動かないということです。実際に吉田松陰も松下村塾で教えていた期間はわずか一年ほどです。
強い使命感と熱意を持って自身の思想を伝え続けたからこそ、その意志が引き継がれてきました。
また、西郷隆盛の「小人は己を利せんと欲し、君子は民を利せんと欲す。己を利する者は私、民を利する者は公なり。公なる者は栄え、私なる者は亡ぶ」という言葉にもある通り、上に立つリーダーであるならば、利益や自身のために推進するのではなく、利他の精神を持つべきです。
これらの人物は、まさに今求められている「オーセンティックリーダーシップ」の理念を具現化した模範だと思います。
オーセンティックリーダーシップは従来のようにトップダウン型のリーダーではなく、高い倫理観や道徳観を持ち、自身の意志や考え、価値観を持って、自分らしさを発揮しながらリードしていくリーダーの真のあり方なのではないかと思います。
「ミッション型」か「ビジョン型」か
真に深化したリーダーシップにおいて「ありたき未来を描くこと」と、「自分の言葉で伝えること」は不可欠とお伝えしましたが、未来の描写は誰にでも容易に出来るものではありません。
この能力には強い意志と情熱が必要だからです。優れたリーダーになるには、単なる優秀さだけでは不足であり、情熱と魂を込めてなければなりません。
ただし、「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」でも指摘されているように、ビジョンを持っての起業は少ないのが現実です。(最近の起業家はビジョンを持って起業する人が増えていると思います)
経営者には「ミッション型経営者」と「ビジョン型経営者」が存在します。「ミッション型」は、特定の市場において、「今これを行うべき」といった明確な戦略を持ち、how-toやKPIを決めながら着実に遂行します。すでに市場があるということもあり、達成スピードは比較的早い可能性があります。
一方、「ビジョン型」は、「将来こうなりたい、こういう世界を作りたい」など、将来のありたき未来を描き、その姿を実現するために市場を築いていくタイプです。ビジョン型のアプローチは大規模かつ長期的で難易度が高いですが、高い志を持って目標に向かって邁進していきます。
どちらが良いか、成功するか否かということはありません。実際、「ミッション型経営者」の成功例は多く存在します。
しかしながら、私は、歴史上の人物が示したような「ビジョン型リーダーシップ」に惹かれるものがあります。
例えば、渋沢栄一は日本経済の発展に必要な幅広い会社を実に500社近く立ち上げに関わり、近代日本の成り立ちに貢献すると同時に、「論語と算盤」という名著を通じて自身の思想を後世に伝えました。
稲盛和夫はKDDIの設立においてNTTに立ち向かう姿勢を示し、「私心なかりしか」という信念を貫き通しました。
27年間もの間獄中で過ごしたネルソン・マンデラは投獄後、平等な社会の実現という未来を自身の言葉で語り、多くの人々の共感を呼び起こしました。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの人種差別を撲滅する夢を語った「私には夢がある」という伝説的なスピーチには、ネットもない時代に8月の炎天下の中、23万人も集まりました。
ガンジーはインドの独立を掲げた際に、非暴力と不服従を信奉し、その思想は最終的にイギリスからの独立へと繋がりました。
オーセンティックなリーダーは、壮大なありたき未来のビジョンを描き、自らの言葉と情熱で伝え続けることにより、人の心を動かし、ありたき未来を実現します。
最後に
私が考える真のリーダーとなるための5つの要素と、特に「ありたき未来を描くこと」と「自分の言葉で伝えること」の重要性について論じました。そしてそれを体現してきた尊敬する歴史上の人物についてお伝えしてきました。
ZENKIGENのビジョンは、「テクノロジーを通じて、人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する」ことです。このビジョンの達成は私一人で成し遂げることはできません。このビジョンに共感してくれる仲間たちと共に、一歩ずつ前進していきたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?