タマさん
土曜日はツマと娘が実家に帰る日。二人を駅まで送った後は本を読んだりプラモつくったり。今日はNetflixで『三体』を鑑賞。気付くと戸口にタマさんが座り、こちらをじっと眺めていた。
タマさん、もう4年になるか。
4年前、三匹の猫たちが去り、ボッカリ開いた穴は娘が埋めていたので、当時は猫と暮らす気は全くなかった。
タマさんはもともと半野良で、チビ太出産と同時に某家で家猫に転身。娘のチビ太達と幸せに暮らしていた。
ところが、まぁ、よくある事だが、自分の子供達を一匹だけ残して勝手に養子縁組で里子に出されてしまい、自身は騙し討ちに遭って不妊手術。この裏切りを契機に家を出奔。
晴れて野良猫に復帰した。
で、自分が野良猫に戻ったの同時に、裏切り者の家に残してきた最後の生き残りである娘のチビ太(娘です。『チビ太』以外で返事をしないのでチビ太になりました)を取り戻そうと決意したタマさん、家の周囲を5日間、娘を呼んでひたすら叫び回り、夜は縁の下に潜り込んで夜通し暴れてゲリラ戦を展開。
周囲からの度重なる苦情と寝不足でその家の奥方がノイローゼとなり、怒り狂った奥方の仕掛けた罠で捕獲。獄に下った。
で、すぐにでも保健所送りで死刑になる所、たまたま俺が話しを聞いて『ケダモノの分際で実に天晴な奴』と腹を抱えて笑っちまったんで、なんか話しの流れでうちに来ることになった。だってさ、奥方をノイローゼに追い込んだなんて愉快じゃん。なかなかの傑物。
それにさ、もとの飼い主も、本音を言えば殺したくはなかったんだよな。
その際、「娘のチビ太も一緒に寄越さないと、またそっちに取り返しにいくと思うよ」と言ったら、一も二もなく投げて寄越したんで、今、命懸けで取り返した娘と2匹で仲良く暮らしてる。
当初、俺と体質が良く似てる娘に猫アレルギーが出るかもしれないと心配だったが、そんな事はなく、まぁ、人にまったく懐かない以外(予防接種に行けない)は問題なく生きている。「腹減った」はしっかり主張するし。
誰にも懐かないが、もともと猫アレルギー持ちの俺には懐こうが懐くまいが大した問題じゃないし、チコは猫に育てられた犬なんで予想通りゴネたりはしないんで、こちらも無問題。元気で楽しくやってりゃあ無愛想でも俺的には不満はない。
タマさん自身も、都合よく愛犬家だったので上手く収まっている。っつーか、犬はメチャクチャ好きみたいだな。チコにベッタリだ。
チコはクロさんが死んでから一気に老け込んでしまったんだが、タマが来てから明るくなった気がする。これは嬉しい誤算だった。
俺に娘が出来た時は家族が増えてやたら喜んでいたが、やはり二本足と四本脚は違うようだ。娘を舐め回したいようだが、舐めるとババに怒られるし。
人間不信マックスで予防接種に行けないとか問題点も多いが、せっかく拾った命、残りは好きに生きて好きなように死ねばいいやな、と、考えている。
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