見出し画像

2000文字なんてネバーエンディングだったけど、打てば書けるようになった物語。

2000文字って心地よい。一説によるとWEB上の文章で最も読まれやすい文量が2000文字だそうだ。わたしもそう思う。日々のできごとやエピソードや想いを率直に綴る。だいたいそのくらいになる。
適度な量、軽い文体、5スクロールくらいのちょうどいい時間。さっと読めてスッと素敵。気軽にたくさん読めるって、それだけいっぱいの想いに触れられるってことである。気持ちいい。

原稿用紙で5枚分、めいいっぱいTwitterを書いたら14ツイートくらい。このくらいはみんな、今はすぐに書ける気がする。書けないときもある。こころは不思議だ。素直に文字に起こるときもあれば、もやもやしたままフリックをグリグリし続けるときもある。それでもだいたいの人が、何かしらは書けるようになったと思う。

でも、小さい頃は2000文字なんて果てしなかった。文字数を初めて意識したのは、たぶん小学生の頃。読書感想文が宿題に出たときだ。わたしはとにかく作文が嫌いだった。本を読むのは大好きだったし、文を書くのも好きだったけれど、作文には大きな敵がいた。

字だ。手書きの字。

そう、わたしはめちゃくちゃ字が汚い。
書きたいことを思い浮かべて、いざ鉛筆を握って書く。きたない。負けじと書く。きたない。あっ、間違えた。消しゴムで消す。ただでさえきたないのに汚れる。もう嫌になる。

まさに負のループ。

あと、日記の宿題も苦手だった。なぜか?それはわたしの記憶力がすごく悪いからだ。
今日のこれめちゃくちゃ面白かったな!最高だな!ここでこんな気持ちになった……とか、その時は心にめちゃくちゃ刻まれるくせに、あとから書くよー!と開けてみたらぜんぶ「たのしかった」で塗りつぶされてる。思い出せない。覚えてない。ねえ、どこにいっちゃったの?あの新鮮な感動……。困りに困って、あとから調べられる今日の天気のことを書きまくり、ときどき食べたごはんのことをお母さんに聞いてしのいでいた。むちゃくちゃ天気について書いたら、理科の先生には科学に興味があっていいと褒められた。ごめん、先生……。違うんです。

だから、作文にも日記にもあまりいい思い出がない。

先日、母から藁半紙を綴じた文集が送られてきた。旧家を整理した時に見つけたらしい。

いい具合に日に焼けた藁半紙は、歴史を感じる手触りだった。世界中一人ひとりがそうであるように、わたしにも歴史があって、しっかりと数十年が経ったことを教えてくれる。当時は「こんなの取っといてどうするんだ?」と意味わからなかったけど、息子くんが生まれた今、わたしもいつかその時が来たら、やっぱり取っておくだろうなと思う。押入れには家族の歴史がしまわれるんだ。
ちょっとずつページをめくり「こんなの書いた記憶ないなぁ……」と感慨深く読み返した。

姉のだった。

まったく覚えてなかった。同級生の名前が全然思い出せなくて、あれ?この文集、世界線間違えてる?ってなったけど、別人の歴史だった。恐怖。

やっぱり、よいエッセイや日記の7割は記憶力だと思う。素敵な文章に出会うと、よくそんな細部まで記憶してるな?って思う。とにかく細かく覚えていて、そのまま書ければどんな日常も劇的に面白い。きっと。生き生きとした文章を書く人は、エピソードの解像度が違う感覚がある。
そう、だから当時もメモを取ろうとしたけれど、字が汚い。でもなんとか書く。あとで読見返そう。読む。読めない。やる気がなくなる。

負のループである。

手帳もメモも上手にかけないまま、大人になった。割といい年になってる気がするのに、いまだに「汚いのはいいけど読めないのは困る」と指摘されるくらい上達していない。もう、人に見せる文字はなるべく少なく、一文字でも少なくしたい。書きたくない。住所も短ければ短いほどいい。役所からは逃げられない。いつかは書かなくてはならない。

いまは親指一つで、文字通り思い通りに想いを書ける。最高。文字を書くが打つになった瞬間、文章を書くは格段に身近になった。こころがたくさん外に出て、触れられるようになった。

メモだってすぐに残せるようになった。思いついたらパッと打つ。そして、ときどき見返すと、まったく意味わからない。でも、とにかくわたしもメモれるようになった。時代がわたしのこころに追いついた。いや、わたしが時代にやっと乗り込んだのかもしれない。スマホは文章化の格安チケットだ。みんな手に入るようになってうれしい。

画像1

やっぱり意味はわからないけれど。手の中で思い通りに想いを書けて、それが世界中につながってるのだから、世界のどこかで発明してくれたエジソン的な人にお礼を伝えたい。ありがとう、いいスマホです。
この武器のおかげで、2000文字なんてもうわたしの敵じゃない。お茶の子がさいさいする。

さあ、そんな調子で想いを書きまくろう。よーし、ノッて来たぞ。
さて、今夜わたしが綴るのは文字数


↓こちらの企画で書きました!楽しい!


待てうかつに近づくなエッセイにされるぞ あ、ああ……あー!ありがとうございます!!