16日を誘拐した。

「6/16を誘拐した」

「いいんじゃないか？誰も困らない」

「誕生日の人は困るでしょう」

「来年一緒にやればいいじゃないか」

「水と月をまとめたら混乱する」

「今年は364日になるのか」

「来年の税金はどうなるのか」

「誘拐中は課税されないんだろうな」

「誰も今日というぼくを見ていないんだね」

「いいか、お前ら。どんな手ががりも見逃すな」

「最後に目撃されたのはいつだ」

「23:59です」

「よし、重要参考人として15日をしょっぴけ」

「いいんですか」

「当たり前だ。目撃者が犯人ってのは定石だろう」

「拘留期間いっぱいまで詰めろ。来月までには返してやる」

「他に怪しいやつはいるか」

「17日が16日の代わりをしてます」

「一年で二日やると」

「はい」

「よし、17日をしょっぴけ」

「いいんですか」

「16日不在の代理17日が不在になったら今日はどうなるんですか！」

「18日でも呼んでやらせておけ」

「水が木で金なんて、世論が黙っていませんよ」

「うるさい！とにかく尋問だ」

「待て」

「お前は……！」

「話は聞いた」

「いつからそこに……」

「20日！」

「わたしが代わりを勤めよう」

「なんだって」

「そんなことしたら」

「今月の日曜日が増えてしまう」

「いいんじゃないか？」

「誰も困らないし」

「6月は祝日がないし」

「よし」

「まさか、お前が16日を……」

「おおっとそこまでだ」

「正しいことが解決じゃないこともある」

「お前、20日をどうしたんだ」

「16日は、どうするんだ」

「大丈夫だ。安全なところで休んでいる。来年にはひょっこり戻るさ」

「そうか」

「よし」

「そういうことなら」

「今日は日曜日！」

fin