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神戸からのデジタルヘルスレポート #85 (提案サービス/保険・栄養など)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回はヘルスケア関連で、利用者向けに何かしらのレコメンドを行うタイプのスタートアップをご紹介いたします。

1. Stride Health:個人事業者向けに最適な保険提案

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企業名: Stride Health
URL:https://www.stridehealth.com/
設立年・所在地:2013年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Series C(2021年10月)
調達金額:$85.9M

Crunchbaseより

Stride Healthは、数分の診断で最も費用対効果の高い健康保険を推奨してくれるサービス。米国の保険システム上、大企業に入っていれば保険は勝手にカバーされるわけですが、個人事業主にとってはそうはいきません。22年11月から健康保険制度の一般加入等の改革が行われる予定でもあり、業界に注目が高まっています。

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取扱保険のラインナップは以下を提供。

健康:パーソナライズされたACAヘルスプラン&可能な限り価格の低いプランの推奨
歯科:全国30万以上の拠点で受けられる上、クリーニングと定期検査は100%保険カバーで自己負担なし
眼科:全国84,000人以上の眼科専門家へアクセスできる上、コンタクトや眼鏡は年間$120で利用可能
生命保険:5分でブローカーや手数料なしの家族コミットのプランを提供
税額控除:利用者の税額控除を効率的にするために、自動的に利用者のコストトラッキングを行い最適化

これまでの総ユーザー数は270万人、年間の節約金額は60万円/人、ユーザーが節約したお金は合計で2800億円に上ると、彼らは語ります。Youtubeで検索すると、UberやLiftのドライバーがStrideHealthを使って保険料を節約したお話がたくさん出てきます。

チームの雰囲気も楽しそう。

2.  Lumity:保険・福利厚生最適化提案

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企業名:Lumity
URL:https://www.lumity.com/
設立年・所在地:2014年・サンマテオ
直近ラウンド:Series B(2017年8月)
調達金額:$33M

Crunchbaseより

今後は企業向け保険・福利厚生の分野です。

Lumityは、企業が採用する福利厚生・保険プランとしてどのようなものが最適なのか、その意思決定を支援するサービスです。サービスのタグラインは “A modern solution for better benefits - Driven by data, powered by people, and customized for your culture.“ まっすぐで、いいですね。

健康保険を含む福利厚生内容を、他の企業と比較した上でベンチマークし、より最適なプランをレコメンデーションする機能を備えています。平均すると企業支出の15%、従業員1人あたり$1.3kの費用削減が可能にあるとのこと。

3.  Amino:医師マッチングを通じた企業保険コストダウン支援

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企業名:Amino
URL:https://partners.amino.com/home
設立年・所在地:2013年・サンフランシスコ
直近ラウンド:N/A
調達金額:$45M

Crunchbase

Aminoは、企業従業員が医療を受けるにあたって賢明な選択ができるようサポートする福利厚生プログラムを提供してます。”Amino is an all-in-one healthcare financial wellness platform for employees.”がオフィシャルな自己紹介文。

検索した症状や従業員の個人情報を用いて、最も安価に治療が出来る医療機関や医師を推奨することで、結果として企業の保険支出を削減すると。もちろん、24時間いつでも利用可能。

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AminoのSmart Matchでは、医療費と品質情報を閲覧することができます。受診する医療機関によっていくら医療費がかかるのか、その医療機関の品質がどの程度なのかを、各従業員は事前に知ることができます。

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Aminoの機能を従業員に導入することで、従業員の医療費を1人あたり年間$300、全体では30%の支出削減を行うことができるようです。ここまで出来るなら言うことなし。日本でやると、広告規制とのせめぎ合いになりそうな懸念があるけど、米国はどうなんでしょう。

4.Suggestic:健康改善のための栄養レコメンド

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企業名:Suggestic
URL:https://www.suggestic.com/
設立年・所在地:2014年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Seed(2019年10月)
調達金額:$1.2M

Crunchbaseより

SuggesticはAIを活用し、ユーザーの外食・中食・自炊の状況を追跡し、健康上望ましい食生活を推奨するサービスを展開しています。こういうサービス、健康に関心がある大企業内新規事業チームから必ずアイディアとして出てくるんですが、やりきり力ですね。

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彼らのキーワードの一つが“Food as Medicine”。医食同源の東洋的思考とも親和性が高そうです。

10分ほどのピッチ動画が上がっているんですが、UIがシンプルで気持ちよく使えそう。単体ではなく、コーチングアプリとの統合や、より大規模なヘルスキットとの統合も示唆しています。収益面でも、MRRが高まっている様子が見え、この分野で成功するための道筋を一つ見せて頂いた気持ちです。

5. agathos:医師診療の最適化支援

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企業名:agathos
URL:https://www.agathos.io/
設立年・所在地:2015年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Venture - Series Unknown
調達金額:$8.5M

Crunchbaseより

agathosは、医師向けの臨床プラットフォームで、よりよいアウトカムに繋がる可能性の高い治療方針決定のために各種の分析を行い、インサイトを提供します。

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医師個人は自身の稼働管理・臨床面における情報管理を行うことができます。自身が担当している患者のペイシェントジャーニーを閲覧できるだけでなく、類似症例を参照できたり、入院期間の短縮や再入院を防ぐために診療行為をどのように改善したらよいかもagathosがアドバイスしてくれます。

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個別の医師を超えて、チームを束ねるリーダーは、各医師の臨床行動の記録や稼働状況をリアルタイムで把握することもできます。このあたりは、患者に安心感を与え、チーム医療を可能にする上でも重要になりそう。

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医師の臨床行為の標準化にも役立つツールとして、EL ABOUT CAMINO HEALTHにも評価されています。

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いかがでしたでしょうか?マガジン内の他のデジタルヘルス記事も、ぜひお手すきで見てみてください。

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