神戸からのデジタルヘルスレポート #87 (施設間情報連携)
『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。
前回は、個別施設の中を効率化するサービスが中心でしたが、今回はもう少し枠を広げて、施設間情報連携をテーマにご紹介いたします。
1. LifeImage:医療用画像シェアリング
LifeImageは、医療用画像の施設横断共有を可能にするオンラインネットワークを提供しています。各施設で導入されているEMR/EMRシステムと相互運用可能であり、臨床医はどこからでも他施設の医療提供者や患者さんに医療画像を共有できます。
既に米国内の1万以上の施設と接続されており、70億以上の画像共有実績を有しています。
PatientConnectポータルを利用することで、患者さん個人への画像提供も容易にできます。転院や紹介等で他の医療機関へ患者が移る場合も、これでスムーズに連携が可能になりますね。
2.Voalte:病院・医療システム間連携
Voalteは、医療スタッフ間で情報共有とコミュニケーションを行う臨床コミュニケーションプラットフォーム。2019年に米国の大手医療機器メーカー・Hillromに買収されており、その一サービス・機能となっています。(そのHillromも先日、バクスターによって買収されることが発表されました)
Voalte Platformでは、患者の転帰を改善するために、患者状態変化アラートや医療ケアスタッフ間のコミュニケーション機能、患者状態の情報共有機能を備えています。
Nurse Call
患者の容体が急変した際に、患者の状態や現在の位置情報を素早く介護者へ送信できるように設計されています。必要な介護者や医療スタッフチームにも情報が連携されます。
Patient Engagement
患者自ら介護者へ質問したり、介護者や医療ケアチームから患者向けに情報提供したり等、当事者間でのコミュニケーション・情報共有ができるアプリケーションが搭載されています。
Alert & Alarm Management
医療ケアチーム側へ必要な診療行為の手順アラームを発したり、患者のバイタルデータから異変や予兆を察知してアラートを発信します。常に患者の状態をデータ化し、医療ケア・介護者間で共有連携します。
3. Caredove:医療機関のサービスネットワーク
Caredoveは、医療機関のサービスネットワークを公開し、ローカル、在宅、およびコミュニティベースのサービスへのアクセスを共有することにより、医療機関が患者のケアを管理、追跡、および最適化できるようにするプラットフォームを提供しています。カナダ全土で、800以上の医療機関・組織が参加しています。
このプラットフォームは、地域密着型ケアへの移行を後押しすることを存在目的の一つに掲げています。医療機関1つで治療・ケアが完結するわけでなく、医療機関、介護、在宅ケア等、様々なケア施設との連携が質の高い医療・ケアの実現のためには必須です。それを実現するためのこと、それがCaredoveが目指す姿。
日本でも各自治体が医療資源マップを作っていますが、どれくらい使われているんでしょうね。遠い目です。
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