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神戸からのデジタルヘルスレポート #50 (スポーツ)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第50回、スポーツ関連企業を取り上げます:-)

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1. WHOOP:運動パフォーマンス解析ウェアラブル

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企業名:Whoop, Inc.
URL:https://www.whoop.com/
設立年・所在地:2011年・ボストン/アメリカ
直近ラウンド:Series D(2019年11月)
調達金額:$104.8m(Foundry Group, Silicon Valley Bank)

WHOOPは、睡眠の質と生理学的データから体の状態を分析し最適な運動レベルを推奨してくれる、アスリートや運動好きな人のためのプロダクト。写真のようなストラップを手首に装着することで、24時間自動でデータが蓄積されていきます。

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測定するのは、心拍変動(各心拍間の時間の変動)、心拍数、睡眠サイクルなどの睡眠データです。これらを測定することで、

・推奨される運動レベルになっているかをモニタリングする
・睡眠を整えて翌日のパフォーマンスを高める

ことを可能にします。単にその日の体調にあった運動レベルを推奨するだけでなく、最適なパフォーマンスを発揮するために回復の質にも介入していこうということですね。また、前日からの回復の程度を数値化してくれます。シンプルでわかりやすい。

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着用による効果は様々ですが、睡眠の質の向上や怪我防止に効果があったと。アスリートだけではなく、一般の人が運動を始めたり生活習慣を見直すきっかけにもなりそう。

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現在のユーザーは主にアスリートや軍人。怠惰な一般人が利用し始めたらどうなるんだろうか。

2. Physmodo:バイオメカニクスを用いた動作解析プラットフォーム

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企業名:Physmodo
URL:https://www.physmodo.com/
設立年・所在地:N/A・ダラス/アメリカ
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Physmodoは、3Dセンサーを用いて運動動作をリアルタイムで評価し、動作の分析結果や改善点をフィードバックしてくれるサービス。数千に及ぶデータポイントで解析を行い、30秒以内にフィードバックを戻します。

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様々な関節の可動域、筋肉の活動度、姿勢、対称性を数値化してくれます。さらに、上記の4つのドメインを合わせた全体的な動作のパフォーマンスも得点として算出されます。例えば、オーバースクワットを行った場合に返ってくるフィードバックはこんなかんじ。

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利用シーンとしては、

・ジムやパーソナルトレーニング:トレーニング姿勢の評価
・企業:労働者の姿勢の評価
・医療現場:患者の姿勢の評価

などがありそう。現状の医療現場では姿勢評価は目視あるいは個別の測定機器を用いて行いますが、評価が不確実、時間がかかるなどの欠点があります。このサービスを使えば評価が確実かつスピーディになり改善が期待できそうですね。

ちなみに紹介動画はこんなかんじです。想像していたよりも小型だ...!!

3. Asensei:AIコーチング製品開発

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企業名:Asensei
URL:https://asensei.com/
設立年・所在地:2014年・グリーンバレー/アメリカ
直近ラウンド:Seed(2018年8月)
調達金額:$3.9m(KB Partners)

Asenseiは、世界クラスのインストラクターをAIとして内蔵した無人コーチングブランドです。運動の指示やフィードバックなど、通常インストラクターが行うことを、すべてasenseiが自動で行ってくれます。彼らはConnected Coachingっていう言い方をしていますね。

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asenseiは、ローイング(漕ぐ動作)やヨガ、TRXトレーンングのコーチングを行うことができます。今から行うトレーニングに関する指示だけでなく、センサーが装着されたウェアを着ることでトレーニング中の動作に関する指摘もしてくれます。

(サービスの一つとして、Senpaiっていうのを出しています。SenseiとSenpai、完全に日本語)

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どんなものなのか、動画も見てみましょう。

2019年11月には、イギリスのボート競技を運営するBritish Rowingがasenseiと提携しました。オリンピックやパラリンピック選手のトレーニングに使用されるということです。

いつか、完全無人のジムやヨガスタジオができるんですかね。未来。

4. Halo Sport 2:パフォーマンス向上ヘッドホン

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企業名:Halo Neuro Inc.
URL:https://www.haloneuro.com/
設立年・所在地:2013年・サンフランシスコ/アメリカ
直近ラウンド:Venture Round(2018年4月)
調達金額:$24.7m(Future Planet Capital)

Halo Neuroscienceは、運動をつかさどる脳の分野に電気刺激を与え、動作のパフォーマンスを向上させるヘッドフォンです。ちょっと前の回で、eスポーツの反応速度向上に使えるヘッドフォンを紹介しましたが、今回はリアル運動向けのパフォーマンス改善。運動学習(運動技能を獲得する過程)を司る脳の部位を刺激することで、アスリートや音楽家の身体活動習得を早期化すると。まじで。

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使い方としては、パフォーマンスを行っているときにこのヘッドフォンを装着するだけ。彼らは"Peer-reviewed research shows Halo Sport improves performance by 15%"といっています。

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本当にパフォーマンスが上がるなら、私も買いたい。。同社のShopでは$399と約4.5万円。88のレビューが付いていて4.9/5という高評価。特別給付金の10万円で買っちゃおうかな...

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5. Champion's Mind:アスリート向けメンタルトレーニング

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企業名:Never Settle For Silver
URL:https://www.championsmind.app/
設立年・所在地:2019年・ダブリン/アイルランド
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

最後はメンタルを。

Champion's Mindは、アスリートを対象としたメンタルトレーニングを行うためのアプリケーションです。アスリートは、アプリに収録されている様々な種類のコーチング音源を聞くことでメンタルのトレーニングを行います。

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コーチング音源には主に4種類あり、時と場所によって聞く音源は変わります。

・MINDSETTER:強靭なメンタルの基礎となるスキルを学ぶ(いつでも)
・ENERGIZER:目的達成のために気持ちを高める(毎朝起きた時)
・COMPETITOR:成功のイメージを視覚化する(パフォーマンス前)
・REGENERATOR:心を落ち着かせ、回復させる(パフォーマンス後)

音源は、すべて10分ほどの長さなので毎日無理なく聞き続けることができます。毎日聞くことで自然とメンタルが鍛えられていきそうですね。

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サービスを提供している会社の社名が"Never Settle For Silver(金メダルを目指せ)"ですって、かっこいい。

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こんな感じで、第50回・スポーツ回でした。
過去分もたっぷり厚くなってきました。マガジンのほうもぜひ見てみてください:-)


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