banner_神戸からのデジタルヘルスレポート

神戸からのデジタルヘルスレポート #23 (Human Dx/NuMedii/ShopWell/Veebot/Cuida Health)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第23回です!
元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます:-)

==

1. Human Dx:集合知×機械学習による医療情報提供

画像1

企業名:Human Diagnosis Project
URL:https://www.humandx.org
設立年・所在地:2012年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Seed(2012年4月)
調達金額:N/A

「Human Diagnosis Project(以下、Human DX)」は、グローバルな医療コミュニティの集合知と機械学習技術を組み合わせ、患者・医療者を含むすべてての人に医療的な情報、洞察を提供することを目的としたWebプロダクトです。

基本的な機能として、医療者・医療系の学生はHuman DXに臨床症例の投稿を行うことができ、症例の患者背景や病歴、症状などを投稿した後、画像や音声なども追加してアップロードすることができます。それに対して、他の医療者がコメントを残したりすることで症例や適切な処置に対する理解がコミュニティ内で醸成されていきます。
面白いのは、投稿をしてから数々コメントが付されるまでの過程がデータとして蓄積され、機械学習にかけられていること。

患者は、いち早く高精度で自分の症状を知ることができ、医療者は、治療方針の意思決定に役立てることが出来ます。医療の専門家による知見と機械学習を組み合わせることで、より正確に手頃な価格で、誰もがどこでも診断を受けることが出来る環境づくりを目指しています。

このように、1人の医療職者が投稿した症例を、多数の専門家が意見することで、信頼性のある情報に仕上げていきます。そういった情報がシステム内に蓄積することで、鑑別診断のための正確性、質を向上させているようです。コンピューターが、自主的に学習・検索するため、命を救える高精度の結果が得られるようになります。

症例を投稿することで、専門知識の向上に役に立つとともに、”教育ポイント”も受け取ることが出来ます。同様の症例に対して、いつでも情報交換ができ、知見を得ることが出来ることは医療職者として確実にプラスなことです。ボランティアの貢献ではなく、投稿することによるメリットをきちんと設けているところも素敵だと感じました。

2. NuMedii:AI×プレシジョン・メディシン×女性チーム

画像2

企業名:NuMedii
URL:http://numedii.com/
設立年・所在地:2008年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Series A(2015年8月)
調達金額:$5.5m(Lightspeed Venture Partners, Claremont Creek Venturesなど)

NuMediiが取り組んでいるのはAI技術による新薬開発、AIDD (Artificial Intelligence for Drug Discovery) 領域への活用です。

画像3

論文情報などの公開データと独自に所有する研究データを組み合わせて、それらを独自の機械学習・深層学習システムで解析することで、新たな薬やバイオマーカーなどの発見につなげます。
これらを通じて患者の個人レベルで最適な治療方法を分析・選択すること、プレシジョン・メディシン実現のために
・薬物発見の迅速化
・研究開発コストの削減
・臨床試験における失敗率の低減
に貢献することを目指しています。

背景にあるのは、現状の薬剤治療・ブロックバスターの効果に対する不満です。

An estimated 90 percent of conventional and blockbuster medicines only work for 30-50 percent of patients and account for 30 percent of acute hospital admissions caused by side effects and adverse events.

この分野では(たいへん残念なことに)珍しいことですが、創業者を含めたリーダーシップチームが女性ばかりなのもNumediiの特徴です。FounderのDr. Gini Deshpande、語り方も魅力的でめちゃくちゃ素敵でした。

画像4

Allerganやアステラス、ベーリンガーともパートナーシップを結んでいるNuMedii。プロダクトも、チームも、大注目です!

3. ShopWell:商品のバーコードからユーザーに合う食材かどうかを判断

画像5

企業名:ShopWell
URL:http://www.shopwell.com/
設立年・所在地:2008年・サンフランシスコ
直近ラウンド:M&A by Innit(2017年2月)
調達金額:$11.3m(IDEO、New Venture Partnersなど)

スーパーなどで商品を手にとって「どのような成分が含まれているのか?」と成分表示の欄を見ても、どれが良くてどれが悪いものなのかわからない、、、ということ、ありませんか?

そんなときのためにShopWellは、自宅や食料品店で商品のバーコードを読み取ることで、ユーザー個々人に対して良いものなのかどうかを自動で判断し、表示をしてくれます。

単に成分表示をするだけではなく、栄養士・医師の知識に基づくスコアリング技術に基づき、
・Excellent Match(85-100)
・Good Match(70-84)
・Okay Match(30-69)
・Weak Match(0-29)
・Avoid Products(アレルギー食材など)
の数値で、食べ物を判断します。

このアプリは、携帯にインストールできるため、外出先でも使用することができるのが素敵。かつ、食材レベルではなく、パッケージされている商品にまで適用できるのがいいですね。まさに今から食べようとしている食べ物と、自分の相性をすぐに教えてくれるため、「自分にぴったりの」食生活を見つけ出せそうです:-)

4. Veebot:注射・採血ロボット

画像6

企業名:Veebot Systems
URL:http://www.veebot.com
設立年・所在地:2010年、マウンテンビュー
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

タイトルの通りの、注射ロボット。細かいことはいい、動画を見てほしいです!

特徴としては、
1. 画像データ、コンピュータビジョン、および機械学習を組み合わせて、最良の挿入部位を特定すること
2. 画像診断データの解析結果を基に、注射部位でどの深さで針を刺せばよいかを決定すること
のように、痛みが少なくかつ効果的な注射部位を特定するところに強みがあります。

予防接種や採血などの注射は、痛みが伴うものです。特に針が入っていく瞬間の痛み、不快感は何ともいえない嫌な気持ちになるもの。小さい子供が病院の採血室で号泣している様子は、よく見られますよね。

こういうテクノロジーで、注射や病院そのものへの怖いイメージが、少しでも払拭されるといいなぁと願いつつ、私のような古い人間は「ロボットに駐車されるのも結構怖いな...」と思っちゃいました...
20年後には、こういうテクノロジーが当たり前になるのでしょうか...!!

5. LISA:高齢者向け音声アシスタント

画像7

企業名:Cuida Health
URL:https://cuidahealth.com/
設立年・所在地:2017年・カリフォルニア
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

LiSAは、Cuida Healthが開発している高齢者向けの音声アシスタントです。Amazon AlexaとGoogle Homeの両方のデバイスで使うことができ、基本的なメッセージの送受信に限らず、高齢者向けに必要性の高い服薬や運動などの日常生活における活動をリマインドする機能もついています。

これもぜひ動画を。

チームはLiSAのことを"virtual companion"と表現しています。
様々なパートナー企業と連携しつつ、高齢者向けの音声UIをおさえにいく戦略、未来を見据えている感がありますね...!!

==
こんな感じで、第23回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)

たなかのぞみ(Twitter: @CobeAssocie)


応援ありがとうございます!