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シリコンバレーで2週間② ~迷惑をかけ合う文化~

8月にシリコンバレーに2週間行ってきました。ソフトウェアエンジニアとして2週間、就業体験とスタートアップ見学を行いました。
シリコンバレーで見聞きしたこと、意外に思ったこと、人生で忘れたくないことを綴っていきます。
全15回予定です。

2回目となる今回はシリコンバレーで他者と接する際の「迷惑をかけ合う文化」に焦点をあてていきます。

※守秘義務やプライバシーの関係上、事実を捻じ曲げない範囲で抽象的な記述や伏せ字記述を行う場合があります。
※末尾に他の感想記事へのリンクを載せています

十人十色の英語

「なういずさんの英語力で業務できたんですか…?」
これは帰国後によく聞かれる質問です。たしかに私は海外在住経験もないし、TOEFLの点数も東大内では雑魚の部類に入ると思います。

でも心配する必要はありませんでした。
みんなが好き勝手に訛ってる英語を話しているので、自分の下手さは気にならない
が上の質問に対する答えです。

オフィスには色々なバックグラウンドを持っている人たちがいました。
アメリカ生まれの同僚は、キレイな英語を話していましたが、メキシコ出身の同僚はなんかちょっと聞いたことのない英語を話していました。
インド出身の同僚は、かなり訛った英語を使っていました。しかもベースとなってる言語がイギリス英語なので、知らない単語とか違和感のある発音がいっぱいでした。

十人十色。誰もが別の英語を話しているので、私も自分の英語を話していこう!という気持ちになれました。

たしかに、アメリカの上流階級(?)では、キレイな英語を話せることがマナーの1つなのかもしれません。ですが、幸いしたことに、私が行った場所はシリコンバレーでした。

お互いがお互いの英語を完全に理解できないことを念頭において、積極的に聞き返したり、聞き返した際に優しい英語に裏フレーズしたりといった場面を何度も見かけました。
お互いに迷惑をかけ合うことを前提に英語を使っていました。これは日本ではなかなか見ない光景でした。

このようにシリコンバレーでは(アメリカ全体でも?)、あまりに多くのバックグラウンドを持つ人がいる影響で、迷惑をかけ合うことが前提であるような文化がたくさん見られました。

車の割り込み

迷惑をかけ合う文化の一例が車の割り込み文化だと思います。

日本では、前の車と車間間隔を十分空けることで、車線変更が円滑に行えるようにという運転文化だと思います(私が知る限り)

一方、アメリカでは車間間隔という概念がない位に車同士の間隔が狭く、その狭い間隔を縫うようにみなさま車線変更をします。
ただ、不思議とその車線変更をブロックしてくる車やクラクションを鳴らすような車はほとんど存在しませんでした。
日本だと強引な車線変更すると、色々と怒られたり煽られたりしそうだけど…(偏見?)

このことから、「お前も強引に車線変更するけど、俺もしちゃう。お互い迷惑かけてるしチャラな!」という印象を感じました。

日本が「お互いに迷惑をかけないように振る舞いましょう」という前提であるのに対して、アメリカは迷惑をかけて当たり前に見えました。

チェックインできないホテル

この迷惑をかけ合う文化は、日本人がアメリカの「おもてなし」が未熟だと思う理由の1つなのかもしれません。

例えば、私は初日のホテルにチェックインするのが30分ほど遅れました。15時にチェックインするよと伝えていたはずなのですが、到着した頃には部屋の掃除が始まってすらいなくて、チェックインすることができなかったのです。

しかし、出来るだけ早く利用したいとフロントに伝えたところ、笑顔で謝罪されて、超高速でのお掃除を約束してくれました。実際に、20分程度で掃除を終えてくれて、たいした不満はなく無事チェックインできました。

日本的にはホテルのミスとして糾弾される案件なのかも知れませんが、ミスコミュニケーションが多く発生するアメリカにおいて、この事件で特にイライラしたりということはありませんでした。

スペシャリストが生きやすい環境

この迷惑をかけ合う文化は、アメリカでスペシャリストを育ちやすいことと深く関わりがある印象を受けました。ここでいうスペシャリストは、何かの技能に特に優れている人のことで、私は日本ではジェネラリストがアメリカではスペシャリストが育ちやすいと考えています。

例えば、私の同僚のイケイケエンジニアは、アルファベットをキレイに書くことがとても苦手でした。日本人の私向けに丁寧に文字を書いてくれたのですが、それでも読めなく、別の同僚と一緒に解読をしたなんてこともありました。

これ、日本だと小学校とかで結構強引に矯正されると思うんですよね。(もしかしたら、自分の小学校だけかも知れないけど)字はキレイに書きましょうとか、箸は正しく持ちましょうとか。

一方、シリコンバレーでは「プログラミングならできるけど字は書けない」「イケイケエンジニアだけどキレイな英語話せない」みたいな人を多く見ました。
迷惑をかけ合う文化だからこそ、スキルや人間性に凹凸があることが許容されているのだと感じました。

日本の迷惑をかけない文化は、凹凸がなく何事もスムーズに進む社会を作り出すのに貢献していると思います。一方、アメリカの迷惑をかけ合う文化では、凹凸が認められやすく、多様性に対して寛容な文化の一端が見れました。
どちらがいいと思うかは、個人の価値観に依ると思うのですが、凹凸が激しいと私としては、迷惑をかけ合う文化の方が過ごしやすいなと思ったのでした。


次回予告


本記事はいかがでしたか?次回を通して「語学力が向上したのか!」というよくある質問について触れていきたいと思います!


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