バイオリンプロットでみる筒香嘉智の打球速度
MLBも開幕。メジャーの大ファンという方もいれば、日本人メジャーリーガーの動向に注目している方もいるでしょう。
本記事では活躍が注目される選手として、筒香嘉智の分析をしていきます。(土日にこの記事を書き進めていたら大谷が大活躍していた…タイミング!!)
活躍が期待される筒香
昨年は打率が2割を下回り、今シーズンも4月4日時点でヒットがない筒香嘉智。日本時代の活躍からみると、寂しい人もいるでしょう。
しかし、筒香について希望的観測をしている記事もあります。例えば、現地メディアでは、筒香の打球の性質がトラウトやベッツと似ているというニュースがあったり、BaseballGeeksさんの記事でも筒香の打球速度がメジャー屈指であることを紹介する記事がありました。
打球速度の速さは、成績のよさと強い相関があることが知られており、打球速度が速いことは一流バッターの証です。
では、筒香の打球速度をバイオリンプロットを使って見ていきましょう!
結果
直球と変化球について、筒香以外のメジャーリーガー(左)と筒香(右)の結果を下図に示しました。
注目すべきは直球。150-175kmの間に大きな山ができています。そして、打球速度の平均(点線)は筒香の方が高い。つまり、筒香は直球に対して強い打球を打てて、かつ打ち損じが少ない。ということがわかりました。
変化球に関しては、大きな違いはなさそうです。
バイオリンプロットは棒グラフと確率密度のハイブリットである
つづいて、球速別の打球速度を見てみましょう。90マイル以上と80マイル以下のぼーるに関しては、筒香はいいパフォーマンスを発揮していました。しかし、80-90マイルとなると成績が平凡に落ち着きます。
来日前に懸念されていた速球への対応は十分にできていますが、80-90マイルの高速変化球が課題と言えそうです。
球速別プロット
なかなか”安打”という結果につながらないものの、いい打球を打っている筒香嘉智。ここからの巻き返しに期待です。大谷と一緒に話題になってほしいな。
バイオリンプロット普及委員会
さて、本記事ではバイオリンプロットというプロットを用いました。これ大好きなプロットなのですが、野球分析界隈で使っている人を見ないので、もっと広まってほしいな、と思います。
バイオリンプロットは、棒グラフに確率密度(カーネル密度推定)を重ねたもので、”分布がわかる棒グラフ(箱ひげ図)”となります。
バイオリンプロットの有用性を紹介するために、棒グラフと箱ひげ図と比べてみます。先程の筒香の打球速度を棒グラフで表すとこうなります。
棒グラフ(エラーバーは95%推定区間)
棒グラフだと下限がわからない(範囲を表現できない)、というのが問題点となってきます。打球速度というのは打ち損じもあるわけだから、打ち損じの頻度も知りたい、と。
それを解決できるのが箱ひげ図になります。先程の結果を箱ひげ図であらわすとこうなります。
筒香以外に関して、外れ値がかなり多くグラフが見づらくなっています。このように母数が膨大かつ範囲が広いデータについては、箱ひげ図は見栄えが悪くなります。そこでバイオリンプロットの登場です。
確率密度として表示することで、グラフがスタイリッシュになった気がします。
バイオリンプロット、スタイリッシュで見やすいので、もっと市民権を得て欲しいなと思います。バイオリンプロット推進委員会の会員を募集中です!!
利用データ
今回の分析にはbaseball savantの全球データ(20万球)を用いました。
全休データの取得の仕方は、Yusukeさんのこの記事が詳しいと思います。
分析したい時に、パッとデータが手に入るのがMLB分析の面白さですね。
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