『最期のQE』その1

株価が暴落し、債権の金利が上昇していく。
金融システムが最期の姿を見せ始めた。

「システム」ーーそれはおそらく数式で示すことのできる何かだ。

自然界のそれは、完璧で、破綻することがない。隙のない秩序。閉じた環。

完璧さの外側に立つことができるのは、人間だけだ。不完全で、下手に複雑で、美しくもない、そういうシステムをヒトはつくれる。

ヒトがつくったシステムは、いつかは壊れるわけだ。そして今、人間がつくったシステムの一つが崩壊しようとしている。

今の金融システム、その根幹にあるのは、株ではなく、債権だ。

では、債権とは何か?

それは信用をお金に変えるシステムだ。おそらくこのシステム自体は悪くない(いや待てよ、そもそも利子がつくのがおかしいのか?)。

まあともかく、それで債権を国や企業が発行し、それを買ってもらって、お金を手に入れる。

始まりは、債権だ。つまり借金だ。

では、「信用」はどこから来ているか?
数ある債権のなかでも、もっとも重要な債権で考えてみよう。世界中の債権の中で、もっとも重要な債権はというと、米国債で間違いないだろう。

それでは、米国債の信用はどこから来るか?
それは、端的に武力であり、その武力を背景としてあらゆる取引が米ドルで行われていることによる。ーー基軸通貨というやつだ。

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