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000 Prologue 動画は動かない

能動ドットコムは映像制作35年。ホームページも開設23年、運営方針は「速い・見やすい・役に立つ」
じっくり読んでいただきたいので「上へ戻る」ボタンがフェードインする以外動くところがありません。
https://www.nowdo.com
映像(=動画)が生業で、幸か不幸か動画基準で考えるので、ご覧になる方が操作しなければ「動かない」サイトです。

映像カメラマンにとっても「動かない」が最も大きな命題です。
「伝えるためには動かない」が原則ですから「動かさない工夫、動いても最小限」が求められます。
「どうしても」動かなければならない時に「やむを得ず」動く・動かす、そこに制作者の意思・主張が見えてきます。

毎朝納豆玉子だけなのに、おひたしと焼き海苔が出てきたら「おっ、」となります。
意思表示のために動かす「ここぞ!」の見極めが映像の訴求力を左右します。

蚊から学ぶ「動く/動かない」

庭の水やりをしているとホースを持つ手はほとんど刺されず、遊んでる左手だけが蚊に刺されます。
ホースを持ってる右手で叩けないのを知ってるから?かもしれないと密かに思っています。思いのほか虫の知能は発達してるかもしれません。

そんな飛んでる蚊を叩きそこなうと、どこ行ったか分からなくなります。
探してるわけでもないのに台所の隅をコソコソっと動いているゴキブリを見つけることがあります。

なんで?

古来、人間は武器を持ってなければ大抵の生物にかないません。
なので早く危険を察知するため、動いて(捕食者)いるものに敏感です。
何かが動いているとそこに目がいってしまうのは人のDNAがそうなってるから。
この立ち位置は何千年単位で変わることはないでしょう。

動けば小さな蚊も、うす暗い台所の奥のゴキブリも見えます。
スクランブル交差点では「こっちこっち」と手を振れば気づいてくれます。
注意を引くにはこうして「動く」ことが手っ取り早い。
動いていないところに注意を引くのはとても難しくなります。

映像制作は勘でもセンスでもなくルール


ここでは、千年経っても変わらない映像ルールを書いていきます。
ルールを知れば的確な構図が作れます。
「ここは7フレ上げて」とフレーム(約1/30秒)単位の編集ができます。
実際には1フレーム単位の編集なんてしないので3、7、10、15、20、30だけですから私のように数字に弱くても大丈夫。

「そのへん」「気持ち」「もうチョイ」というあいまいさがなくなるので制作時間の短縮になり結果制作費が抑えられます。
短時間、低価格で良いものが出来上がれば十分ですが、さらに上をいきたい時にはじめて「センス」が出てきます。
先の朝食、アジの開きと釜上げシラス 追加で・・・みたいな(笑)
伝わる映像は95%のルールと5%のセンスで出来上がっています。
その5%の多くはプロローグ(導入)につぎ込まれると言っても過言ではありません。

原則を知っていれば応用(センス)ができます。
例えば、太陽を2つ見せれば知らない星の話、すなわちSFになります。
だから照明の影は一つしか作ってはいけないという原則が成り立ちます。
と言いながらも「逆光が原則」とくれば作り込み(応用)はエンドレスでもあります。
そこが映像制作の醍醐味ですね。

今回は小さな動くものを考えましたが、もし、カメラが動く(=画面全体が動く)場合さらにとっても複雑になります。
そこはこの100倍くらいの紙面が必要なので別項でじっくり書きます。

JICAドラマ制作専門家、ソニーTV番組制作トレーナーなど歴任してきました。
その正確緻密なルール・テクニックをできるだけ楽しく書いていきます。
「AIで十分だよ」という時代だからこそ、ご高覧いただければ嬉しい限りです。

というところで今回はこのあたりで筆を置きます。
最後までお読みくださってありがとうございました。

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