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「すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ」を観に行った感想


ひどすぎる観に行ったきっかけ

「すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ」を観に行きました。
「すみっコぐらしは映画がすごい」とTLで話題になっていたのは聞いていたのだけど遠目に見ていたオタクです。
懇意にしているフォロワーが好きなコンテンツだということは知っており、情報はたまにみかける具合でした。
今回の映画を観に行った決定的なきっかけは、「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」と同時期に公開されていることでフォロワーの好きなものと自分の性癖が同時期に公開されている構図になったことです。「これも縁だし観に行こう!!」と映画館に足を運びました。
ゲ謎、あまりにも昭和ホラーミステリー、グロ、人外と人間の組み合わせ、ひと昔のIPのブラッシュアップ・翻案、ブロマンス、いい男たち、骨太なメッセージ性・風刺と、自分の性癖にジャストミート映画すぎたんですよ・・2回目の入村のハシゴで鑑賞しました。
すみっコ自体の前情報は映画公式サイトでキャラクター紹介を観たのと、脚本がヨーロッパ企画の方がやっていたらしいというのみでした。

子供向けIPとしてのすみっコぐらしを思い知る

大人がはまっているという見聞は知っていたけれど、実際劇場に行っての客層は圧倒的に子供が多かった。
子供すみっコぐらしのコンテンツの普及度を肌で感じるし、こういう映画で映画館慣れする子供も多いだろうし、多少うるさくても許容できたし、ええんやで・・って気持ちになれたのはよかったのかもしれない。

映画本編について

序盤・キャラクター紹介

序盤のキャラ紹介は公式サイトで大体の内容を知っていたけれど、動きとナレーションが付いたことでまた新たな印象を受けました。 ねこは見た目に特異性がないかわりに設定がリアルで生々しいと感じたし、とんかつとえびふらいのしっぽは食べられたいの願望持ちは「ところ天の助か??」とツッコミたくなった。
とかげはゲ謎からのハシゴからの影響がすごくて、生き残り・・・!!生き残り・・!!俺が守る・・・!な気持ちが沸き上がってしまってしまい、脳内のゲゲ郎と水木が号泣していた。ここからとかげに目が行くようになりました。過去作ではとかげメインの映画もあるようで。
しろくまが少年漫画らしい出奔の仕方をしていて驚いた。設定だけで終わらせないんだ・・

中盤

時折セルルックCG、線画だと思わせるCGに感心していた。
現在のCGはすごいなぁと思いながら鑑賞。
工場に対してのとんかつとえびふらいのしっぽの想像がスプラトゥーンのロブやないかい!とツッコミたくなった。
ぺんぎんとのやりとり、ボタンのゆくえにほっこりしつつ途中でぺんぎんがいなくなったことに違和感をもちつつ工場パートへ。
最初のおもちゃの製造過程がおままごとの延長線であることがこれからの展開にかかわるとは思わなかった。
おもちゃが動くマジカルプレスもあんな展開につなげるとか思いませんよ!確かにプレス機はリアルだと思ったけれども。検品ってワードもリアルだなぁとは感じたけれども!
あと自分は工場への住み込みへのくま工場長の褒め殺しはブラックさを感じなかった。ここは素直に受け取っておきたい。
この時点でくま工場長の正体を推測できたのだけど、同じような子供もいるのだろうなぁ
ストーリーが進むごとにおままごとだと感じていた工場から「持ち場」「朝礼のラジオ体操」「寮や食堂等福利厚生」「ノルマ」ってワードがまろび出るのは子供向けだと構えていた自分に小ダメージをチクチクくらいました。MVPという名の営業成績表に企画会議とか子供にわかるのか?と思いながらブラックライン工に勤めるサンエックスのマスコットたちにギャップ!!とツッコミたくなりました。ねこにお水を譲るとかげはかわいい。
大量生産からのゾンビものにつなげるセンスはなかなか思いつかない・・大量生産への批判・風刺はどっかしらですみっコぐらしの商品を見る観客に対して向けられている感じはした。まぁ最後でフォローが入るからセーフなのかな?
ドナドナされていくみにっコ達がかわいい。鍵への伏線も張りつつ工場からの脱出へ。

終盤

途中でいなくなったぺんぎんの伏線も回収。工場もホラーの文脈を持ちつつ、脱出にはハリウッド映画の要素を持ち込むのは飛び道具で笑った。なんだそのカメラワークは。
くま工場長の正体もホラー。こうじょうの種明かしをしつつ当初の目標・ビジョンから外れていく様は、こうじょうは生産のみしかできないと思い込みがあるから故だと感じた。それにすみっコ達が寄り添いつつ他の目標・手段を与える様子は考えさせられる。
壊れてスプリンクラーが動作しているなかを濡れないように傘をさしているとんかつ達の描写が細かい。
本作メインであるしろくまのことをあまりこの感想では取り上げてはいないが、序盤でなくしたボタンが見つからないままで新しいボタンを付ける流れは、大量生産からの脱却を示しているのかもしれない。大量生産からの品だけど、そこに蓄積されていく思い出はそうではないのだ。
最後のエンドロールとエンドロール後の展開はそうきたかぁ~~~~!!!と唸らされた。ここだけでも映画館で観た価値はあった。ヨーロッパ企画はメタ的な演出が多い印象があるが、それが影響されているのであろうか?
EDがPerfumeであったのが地味にうれしい。今の子供はこれでPerfumeを履修するのであろう。

総括

軽い気持ちで観に行ったが、予想をはるか超えた満足を得られた映画体験だった。
資本主義や労働を風刺するだけの露悪だけではなくフォローを忘れなかったり、シナリオや演出に骨太さを感じさせるのが大人に受けているのだと感じました。子供騙しでない本気で子供に向けて作っているから何本も映画が作られているのだと。
パンフレットも通常版ですが購入しました。とかげはかわいいね・・

余談

ヨーロッパ企画メンバーが脚本をやっているという情報のみで鑑賞しましたが、鑑賞後ちゃんと調べてみたら脚本だけでなくナレーションもヨーロッパ企画に縁のある方だと知り、かつ両方とも「リバー、流れないでよ」の出演者であったことにテンション上がりました。
料理長と女将さん役の人だなんて知らなかった・・!
リバ~はループものの名作なのでこちらもおすすめです。

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