「孤独のグルメ」を観る男の魂 ~Season1 第1話 江東区 門前仲町のやきとりと焼きめし~
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「孤独のグルメ」を観る男の魂 ~Season1 第1話 江東区 門前仲町のやきとりと焼きめし~

伊波 泰志

 あっ、もしかして2022年初投稿!こんにちは、伊波です。

 実は、と言うほどでもありませんが、「孤独のグルメ」が好きです。漫画は未所有なので、今はもっぱらドラマの方。昨年放映していたSeason9も、TVerでしっかり観ました。……が、よくよく思い出してみたら、そもそも最初のシーズンをちゃんと観ていないな、他にも観ていない回がたくさんあるなといったことに気付いてしまいました。よし、ならばここはいっそのこと、Paraviを入れてガッツリ観まくってやる!と決断。そんなところで、感想日記的なものを綴ってみたいなと思います。いつまで続くか分かりませんが、どうぞお付き合いくださいませ。 ※以下、すこぶるネタバレします

カフェの店長(山村美智)と

 門前仲町に来るのは学生の頃、深川祭を見に来た時以来だという井之頭五郎さん(松重豊)のナレで幕を開けます。初回だからなのか、どこかナレーションが説明的で、今のような独白感がちょっと薄い。まだカタチが出来上がっていない感じがかえって新鮮です。
 3時間前に連絡を貰ったという店へ向かう道中、雰囲気良さげな路地に嗅覚を示す辺りはさすが井之頭パイセン。そこでおばあちゃん(宮内順子)が手持ちのミカンをこぼしたのを見つけて、サッと駆け寄る紳士ぶりもスマートです。

 そうして目的地のカフェ「Paddington(パディントン)」に着くのですが、看板に書いてあった“おいしいコーヒーと手作りごはん”というキャッチを見て、淹れたてのコーヒーと茶碗に盛られた白飯を思い浮かべるのはどうも五郎さんらしくない。今なら軽食か、洋風のランチに思いを馳せそうな気がします。
 今回のお客さんであるカフェの店長(山村美智)は、息をつかせぬほどのマシンガントーカー。こういう押しの強いキャラが苦手な感じは、初回から変わらずといったところです。ちなみに今回持ち寄ったのはアンティークカップで、彼女は立て続けに飼い犬のベッドを要望しますが、五郎さんは「ペット用品は……」とやんわり断っています。後のシリーズでペットホテル経営者からリードの注文を受けていたりするので、扱う商品の幅を広げたか、もしくは話を早々に打ち切りたく、ウソをついたか……。

 飛び出すようにカフェを出た五郎さんはタバコで一服、そして目当てのアンティークショップを覗き、それからさらに近くの神社(富岡八幡宮)でお参りと寄り道を重ねます。そして、すれ違ったバカップルを見て、フッと鼻で笑うような表情を見せます。この辺りは五郎さんの人となりを見せるためのシーンといったところでしょうか。当初は喫煙者だったのなー。にしても、アンティークショップを出た後、店を持つことと結婚は「守るものが増えそうで人生が重たくなる。男は基本的に体一つでいたい」とつぶやいているのも印象的です。
 お参りを済ませた後で決めゼリフ「それにしても、腹が減った……」初登場! 口を真一文字に結び、目をギュッとつぶった苦悶の表情で、今のような三角口でぽかんとした表情(‘▲‵)とはずいぶん違います。また、苦悶の表情を近くにいた巫女さん(尾道絵菜)に目撃されているようなシーンも、他では見られない気がします。今や定番となったあの表情も、回を重ねるうちにブラッシュアップして出来上がったものなんだなぁ。
 あと、ポン・ポン・ポン♪と木琴?の音と共にズームアウトしていくシーンもこの回から出てきますが、ポン・ポン・ポンの音が今より1~2オクターブ低い気がします。こんな違いが発見できるのも面白い。

信玄袋食べたい ホッケも食べたい

 さて五郎さん、自身の経験則に基づき、店探しをスタート。やがて良さげな路地を見つけ、ずんずんと入っていった先に焼き鳥屋「庄助」を発見、「ご飯ものもきっとあるだろう」とお店に入ります。
 女将さん(ふくまつみ)から注文を聞かれた五郎さんはウーロン茶、そしてすぐさま「焼き鳥は何がありますか」と尋ねます。この店の串は、ねぎま・なんこつ・かわ・砂肝・手羽先・レバー・つくねの7種類(塩のみ)というラインアップであることを聞き、やや面食らいつつもすべて一本ずつオーダーしました。メニューを見ずにすぐオーダーに入るという流れもなんだか新鮮です。
 やがて出された串に「なんでメニューに焼き鳥定食がないんだろう」とぼやきつつ、舌鼓を打つ五郎さん。あっという間に最後のつくねを頬張り、「美味い!なんだろう、この美味さは。何だか、笑えてくるな」と短く感想をポツリ。大げさになりすぎない喜びの表情が印象的です。
 そして五郎さんはさらに、ほっけスティック焼き、信玄袋、ウーロン茶のおかわりをオーダー。ほっけスティック焼きはその名の通り、ホッケを棒状に切って焼いた一品。「和風なのか洋風なのか分からんが美味いぞ」と感想を漏らしており、その味が気になるところです。一方の信玄袋は、巾着状の油揚げにオクラとホタテを詰めて焼いた、酒飲みに確実に刺さる肴。五郎さんも「これだよ、これ!」と太鼓判。食べたくなるやないかーい。
 ここで〆るかと思いきや、後からやってきた常連客が生ピーマンにつくねを自分で詰めて食べる様を見てしまい、たまらずオーダー。苦さのあるピーマンとつくねの織り成す新しい味わいに「ニガ美味い!」と感心しきりの五郎さん。生だからこそ歯触りがしっかりしていて、ドラマでも視聴者の食欲を煽るかのごとく咀嚼音が強調されています。ううん、いやらしい!
 さらにとどめのライスをオーダーしますが、白飯の代わりに出されたのは和風焼めし。しらすと梅肉を具材とし、ネギの代わりに刻み大葉を散らした一品で、これもまた飲兵衛にはたまらないメシだなと一目でわかるメニューです。ああ、食べたい。

 初回ということで、試行錯誤感が垣間見える内容でした。そういえば食事前の「いただきます」と食後の「ごちそうさま」が無かった。これもまた後々定番化していくものなんだろうなぁ。いやあ、面白い。

ふらっとQUSUMI

 原作者の久住昌之さんがドラマに出たお店をたずねる名物コーナーは初回から健在。最初はドラマ本編にのっとり、つくねとピーマンをオーダーしています。そして、「井之頭五郎は飲めないんですけどね」と言いつつ、瓶ビールをグビリ。今なら“庄助サイダー”とでも呼んでいたかもしれませんが、この時は特に名前を濁さず、軽快に飲んでいます。
 そしてコーナーの最後には、居酒屋を舞台にドラマを作ることに抵抗があったことを語っています。しかし料理や店内の雰囲気の良さを挙げ、「こういうのもアリかなと思いました」とコメント。初回に敢えて居酒屋を舞台としたことで、以降の回の出演店にも幅が生まれたのかもしれません。

出演者について

 ゲスト出演者と五郎さんのやりとりも「孤独のグルメ」シリーズの見どころですが、記念すべき初回は、山村美智さんが“高級趣味を持つお喋り好きなカフェの店長”を演じました。クレジットは店長となっていましたが、あの雰囲気はオーナーっぽい。
 山村さんは元フジテレビアナウンサーで、アナ時代には「オレたちひょうきん族」で“初代ひょうきんアナウンサー”として出演、お茶の間の人気者となりました。現在は女優に転身、舞台やテレビドラマを中心に活躍されています。

 また、焼き鳥屋の女将役はふくまつみさん。人当たりの良いおばちゃんを好演しており、ふらっとQUSUMIで登場した「庄助」の本物の店長さんも「似てる」とびっくりしていた様子でした。
 ふくさんは70年代から、テレビドラマやバラエティ番組での再現ドラマなどの出演を重ねてきた女優。公式サイトのプロフィールを見ると、「DOLLS」「HANA-BI」「キッズリターン」など北野武作品への出演歴も。

クレジット

脚本:田口 佳宏
監督:溝口 憲司
音楽:久住 昌之、Pick & Lips、フクムラサトシ、河野 文彦、Shake、栗木 健、戸田高弘
タイトルバック:「JIRO's Title」(作曲:久住 昌之)
松重“五郎”豊のテーマ「STAY ALONE」(作曲:久住昌之、フクムラサトシ)
撮影協力:深川商業協同組合、cafe パディントン、GALLUP、富岡八幡宮、庄助

【出演】
井之頭五郎:松重 豊
カフェの店長:山村 美智
みかんおばあちゃん:宮内 順子
カフェの店員:吉永 実夏
バカップル・男:福間 匠
バカップル・女:相馬 有紀実
巫女:尾道 絵菜
庄助の店長:ふくまつみ
庄助のバイト:三木 結美
サラリーマン1:橋本 利貴
サラリーマン2:宮川 智勝
サラリーマン3:堀口 泰寿
常連客:柏木 厚志

今回の名言

「ほぉ~……」
 カフェへの道すがら、昔ながらの下町感漂う路地を見つけた五郎さんの感嘆。以後、五郎さんの価値観を示すセリフや行動が多く散りばめられている。
「イメージがイヤなぶつかり方だ」
 商談相手が経営するカフェの看板に書かれた“おいしいコーヒーと手作りごはん”という文言を見て、淹れたてのブラックコーヒーと茶碗に盛られた白飯をイメージした五郎さんが面食らい、思わずつぶやいた一言。初回は想像の照準が甘い。
「苦労は、今の状態がまさにそうだ」
 息もつかせぬほどにしゃべり続けるカフェの店長の「色々ご苦労もおありなんでしょう?」と問われた時の五郎さんの内心のぼやき。いつだって五郎さんはものすごく話す相手に弱い。そんな気がする。
「死ぬほどタバコが喫いたい。急ごう」
 やっとの思いでカフェを出た五郎さんが漏らしたつぶやき。今のドラマでは全くタバコを喫わないが、かつての五郎さんはそれなりに喫煙者だったのだ。
「結婚同様、店なんかヘタに持つと守るものが増えそうで、人生が重たくなる。男は基本的に、体一つでいたい」
 五郎さんの人生観が垣間見えるつぶやき。いつだって空腹には勝てない人だから、我が身は重くしたくないのだろう。
「それにしても、腹が減った……」
 記念すべき第一回目の空腹。眉をしかめ、口をゆがませ、顔をうつ向かせた苦悶の表情は今の感じと違って本当に苦しそう。
「俺の経験によれば、昔ながらの美味い店を探すなら、川のそばを攻めろ」
 古き良き構えのお店を好む五郎さんならではの嗅覚を示す一言。この後、実際に五郎さん好みのお店が立ち並ぶ地域を見つけるので、さすがは五郎さん。
「美味い!なんだろう、この美味さは。なんだか、笑えてくるな」
 お店の人気ナンバーワン、つくねをひとくち食べた五郎さんが笑みとともにこぼしたつぶやき。初回は自身の気持ちの掘り下げがずいぶんシンプル。
「八幡さまに美味いメシが食えますようにって、ついでにお願いしたのが効いたようだ」
 神社仏閣を見るとお参りをする五郎スタイルの信心深さを物語る一言。
「これが福袋なら大当たりだな!……うん、これだよこれ、今日はツイてるな!」
 信玄袋の味に納得の五郎さんが漏らしたつぶやき。今ならもっとダジャレをかましているところだが、初回はやっぱり控えめ。
「今度はタレで白いメシ食いたいな」
 エンドロールが流れるそばで、五郎さんが最後に漏らした一言。タレも白飯も逃した漢の未練である。

本日の五郎さんのお食事

【カフェ パディントン】
・商談中に飲んだコーヒー
【庄助】
・ウーロン茶(2杯)
・焼鳥(ねぎま・なんこつ・かわ・砂肝・手羽先・レバー・つくね、各1本ずつ):焼鳥は7種類ですべて塩焼き 一番人気はホクホクのつくね
・ホッケスティック:スッキリとして何ともスタイルの良いホッケ なかなかお目にかかれないおつまみ
・信玄袋:パリッと焼いたきんちゃく状の油揚げ 中にはホタテとおくらが同居している
・つくね(2本)とピーマン
・和風焼めし:しらすと梅肉が入った焼めし パラッとかかったシソの葉がいい
【デザート?】
・おばあさんから貰ったみかん(1個)

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伊波 泰志
1981年生まれ、予定日より1か月半早く世に出てしまう。生き急ぐ人生のスタート。 何だかんだと言いながら、記者的な仕事をしています。プロ野球や1970〜90年代のアニソン、90〜00年代の邦ロック、ドラクエなどを好みます。詩の同人「1999」所属。