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タイタンと呼ばれていた同級生

先日、なんとなしにモアイの絵を描いていて、中学2年のときの同級生のことを思い出した。彼には「タイタン」というアダ名がついていた。タイタンは肌の色が濃くて、痩せて背が高かった。そして顔が面長でちょっと日本人離れしていて、まるでモアイのようだった。

今考えると、モアイに似ているのに、彼が「タイタン」と呼ばれていたのは変だと思う。タイタンとは、僕らが当時遊んでいた「ファイナルファンタジーV」に登場する召喚獣のことだ。ほぼ裸で筋肉ムキムキのおっさんの格好をしていて、モアイとは似ても似つかない。

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おそらく、14歳の僕らは、「ゴーレム」と「タイタン」を勘違いしていたのだろう。ほんとうは岩っぽいビジュアルのゴーレムのことを言いたかったんだと思う。でも僕らはバカだったから、誰も間違いに気づかなかった。

お友達のタイタンはいつも顔が笑っていたので、怒っていても泣いていても、見た目では分からなかった。真の表情がわからないものだから、僕らはよく彼をからかいすぎた。なにしろモアイ顔のタイタンをネタにした替え歌をつくっていたくらいだから、そりゃ怒るわな。

しかし一度だけ、林間学校みたいなのに行ったときに、タイタンが大量に鼻血を出し、顔から表情が消え失せていた。あんな渋いタイタンを観たのは最初で最後だったな。

タイタンはとくに面白いことを言うヤツではなかったんだけど、独特のおっさんくさい物腰とそのモアイ顔で、そこそこ人気があった。だが年明けに阪神大震災があり、タイタンはどこかに転校していってしまった。彼とはそれっきりである。タイタン、今頃どこで何をしているかな。


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