カルガモリストに乗っていたであろうお話(終)

前回までのあらすじ
大学時代にデート商法に引っかかって使いもしない英会話教室を契約させられてしまったのぶりんであったが、今度はあろうことか昔契約していた英会話教材の利用料未納を指摘されるも、よくわからない無茶な話に乗ろうにも乗れず放置していたのであったが、その数年後さらなる混迷が待ち受けるのであった。


どうやら、実家に電話が来たところを親が携帯番号を教えてしまったらしい。
「で、今回、その解決に向けて弊社で善処させていただきたい云々」
「ハア」
「それでは、担当のものに代わりますので」

ここで、ちょっと落ち着いた感じのやや高圧的な男性が電話口に出る。
「それではのぶりん様、解決に向けて何ですが、一度弊社の方にお越しいただかないといけないのですが」
「どこにいけば」
「東京の云々」
「ちょっと今遠いところにおりまして、すぐには不可能です」
「ではまた日程を合わせましょう」
一方的に話され、切られる。

なんか気持ち悪いなあ。そう思いつつ、試しにA社の連絡先を調べてみると
某知恵袋サイトにて”A社を利用していた人がその後、僕と同じような電話を受けている”例を発見。しかも、複数。
その投稿のほとんどに「カモリストに乗せられてますよ」との返答。カモリスト?そんなんがあるんだ(笑)

そうだ、A社に問い合わせてみよう!
僕は思い立ち、そのままの勢いでA社へ問い合わせる。
「実は、数年前から上記のような電話があって、お支払いについて問い合わせたいのですが」
「少々お待ちください」
対応は普通。

その後、電話口に出てきたのは、低い声の男性。
同じように説明する。
「ああ・・・ええと、のぶりんさんは終わってますねえ」
・・・オワッテマストハ
「上記のような電話がかかってきているのですが」
「ああ、それは詐欺ですねえ」
「そうなんですか?僕の支払いの残りは」
「のぶりんさんは終わってますねえ」
どうやら、終わっているのは僕の人生の事ではなく、支払いのことのようだった。
同じ言葉を同じような調子で抑揚のない低いトーンの言葉で繰り返すロボットのような対応に一抹の恐怖を覚えつつ「ありがとうございました」と伝えると無言で電話を切られる。
彼はAIか何かだったのだろうか。

ともかく、A社の支払いは無いわけだから放っておこう。

ところが、その数日後、東京に出張していた僕の携帯に再度着信があったのだ。
「のぶりんさん、どうですか?来られそうですか?」と。
心拍数が上がる。
「いえ、難しいです」
そして次の言葉で僕の心拍数は倍増するのだ。

「っていうか今どこにいらっしゃいます?(少しニヤけた声)」

何だコイツ、どこで僕が東京出張していることを聞いたのだろう。というか仕事場しかありえんのだが。個人情報とは

と、ともかく冷静に対応しよう。
「それは申し上げられませんが、気になったのでA社に問い合わせたところ、残りはもうないとのことでしたが」
「え?問い合わせたんですか?」
「はい」
「はーいわかりましたー」と一方的にガチャ切りされる。
それ以降、電話はかかってきておらず、A社がらみの同様の電話も一切ない。

先述の某知恵袋によると、どうやらA社の契約者名簿か何かが流れたのではないか、とのことである。ったく。

こうして僕の中に
・商品、サービスは自分で探し、自分で選ぶこと。
・契約は慎重さに慎重さをかけて行う。
・基本的に営業は受けない。
といった人格が形成されていくこととなるのであった(笑)

※この記事執筆にあたり試しにA社をググってみたのですが、サービス自体は今も行われているようでした。会社名までは正直覚えておらず、今の運営会社が当時のままかどうかは定かではありませんが、サービスのロゴは昔のものがそのまま使われているように思います。

以上(劇終)

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