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焙煎後の豆、ちゃんと冷ましてますか?

皆さん、片手鍋焙煎ライフ楽しんでますか?
片手鍋でなくとも、自家焙煎楽しんでますか?

焙煎後の豆、ちゃんと冷ましてますか??(?

『良い感じに浅煎りが焼けた!』
『プロファイル通りにバッチリ焼けた!』
『すべてが狙い通りだ!』

ところが後日飲んでみると『ありゃ?』ってこと、ありませんか?
ある程度エイジング後の変化も予測して焼いたつもりが“思ってたより焙煎が深い”とか“焙煎度の割に味や香りが弱い”とか。

というわけで、今回は焙煎後の『豆の冷却』の重要性について、僕なりの考察とポイントをご紹介しようと思います。

なぜ焙煎後の冷却が重要なのか。


いきなり結論から参ります。

ずばり『狙った焙煎度より焙煎が進む(深くなる)のを防ぐため』です。

焙煎終了後、200℃前後の温度で排出された豆は、芯にこもった熱がなかなか放熱されず、暫く高温状態が続きます。
放置していればそのうち冷めますが、そもそも200℃近い熱を持っている豆は、ある程度冷めるまで排出後も勝手に焙煎が進んでいる状態になっています。どんなに狙い通りに焙煎が出来ても、短時間で冷却がしっかり出来なければ、目的の焙煎度よりも深くなってしまいます。

とにかく冷却を急ぎたい。

そんなこんなで如何なる方法を用いても良いので、とにかくさっさと急いで素早く迅速かつスムーズに豆を冷やしましょう。(言い過ぎ

ざるに入れて振り回す。
うちわで仰ぐ。
ドライヤー、扇風機などの風を当てる。
ふーふーする。
自転車のカゴに乗せて走る。
自らが風になる。
FLYING IN THE SKY
YEAH!!

一般家庭で自家焙煎をする場合だと、この辺りが一般的な方法になるかと思います。
しかしこれらの方法はチャフが周囲に飛び散るうえ、冷えるまで結構時間がかかります。(個人的な感覚)

ちなみにザルにファンが取り付けられたような焙煎用の冷却機なる物もネットで売られてますが、冷却中にチャフが飛び散らない工夫がされているものの、単純な構造の割に結構良いお値段になっています。


素早い冷却のポイントとは?

業務用の焙煎機は焙煎後、直接『冷却皿』と呼ばれる場所に豆が排出され、撹拌されながら皿の底面に開いた無数の穴から空気を下に向かって吸うことで素早く冷やされる構造になっています。(リンクの物も同様)

これは僕なりの表現になるので伝わりにくいかも知れませんが、うちわなどで“風をおこして空気を熱源(豆)に吹き付ける”よりも、“熱源(豆)から放たれる熱ごと周囲の空気を引く(吸う)”ほうが早く良く冷えます。

豆を中心に外側に向かって熱のバリアが張られていて、そこに冷たい空気をぶつけても跳ね返されてる…といえば伝わりますでしょうか(汗

豆から放たれる熱ごと周囲の空気を引く(吸う)ことで空気の流れが生まれ、より効率的に熱を奪いながら冷却出来る...と言いましょうか(語彙力
出典:僕の脳内イメージ

とにかく“集束した空気の流れを作る”事で、より冷却効率が上がります。

焙煎度別に冷却の仕方を“使い分ける”

ここからは完全な持論になります。
『こうしたらこうなるだろう』という想像と妄想でしたが、実際やってみると確かな効果を感じたのでご紹介します。

①浅煎りで仕上げる場合

特に浅煎りで仕上げたい時ほど、不必要に焙煎を進めてしまわない為にも急いで冷却する必要があります。
僕の場合、特に飲み疲れするような“きついコーヒー”が苦手なので、
『浅煎りを焙煎する時は絶対“生焼け”にしたくない』
という思考が頭から離れません。
浅煎りは焙煎の加減でどうしても焼き上がりの豆の含水率が高くなるので、ちょっとしたミスでも渋さやエグみが気になる焼き上がりになります。

そこで僕が行う冷却方法は、『焙煎豆の強制冷却を100℃辺りで止め、その後は自然冷却に任せる』という方法です。
最後の最後でリスクヘッジ的な作戦ですが、これにより、余熱の働きで豆の中に僅かに残る渋さやエグみ(の原因になる水分)がしっかり飛ぶと考えています。

②中煎り(ハイロースト)より深く仕上げる場合

逆に中煎り以降の焙煎ではちゃんと焙煎出来ていれば、浅煎りのように余熱による『渋み飛ばし』を気にせず最後まで冷やします。
目安はとしては、熱いけど手で触っても大丈夫なくらいで大体60℃以下が目安でしょうか。

元々は僕の妄想?が発端で、早く温度を下げるもう一つの理由が、“豆から煙が出ているのはコーヒー豆に含まれる成分が熱で変化してどんどん逃げ出しているからじゃないか?“という発想だったのですが、調べてみると以下の文献がありました。

コーヒー臭はもちろん多成分からなっており、含窒素化合物,含硫黄化合物をはじめ,フラン化合物,フェノール類、アルデヒド類、エステル類などがある。これらの多くは糖、アミノ酸などの前駆物質が焙煎工程中に加熱反応することにより生成したものである。
出典:コーヒー焙煎工場からの悪臭発生とその対策 
(増田 淳二、福山 丈二、伊藤 尚夫)より

糖やアミノ酸といえば、焙煎の工程で豆が色づくメイラード反応と共に、香味を形成する部分では重要な成分なので『妄想もなかなか捨てたもんじゃないな』と思いました(笑

実際、僕は冷却をサボってダラダラ冷ました豆よりも、急冷した豆の方が香りや甘みの残り方を強く感じたので効果はあるはずです。

最後に

長々の冷却の重要性について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?
あくまで僕個人の考えなので『これが正しい!』などと烏滸がましい事を言うつもりはありませんが、実際に体感している事なので“数ある答えの一つ”として、何かの参考になれば幸いです。


ちなみに写真の右側に写ってるものは僕が自作した冷却機になります。
バケツにザルをはめ込み、側面に穴を開けてバキュームクリーナーを繋いで吸うことで焙煎直後の豆がなんと30秒ほどで60℃くらいまで下がる超スグレモノです。

しかも煙やチャフ、網目から落ちるような割れ豆も全て吸い込んでくれて超便利です(笑

DIYした爆速冷却機(何と材料費はたったの数百円!)
※掃除機は金額に含まず

自家焙煎は常に創意工夫。

焙煎に関わる理論や原理を考え知る事で、さまざまなアイディアが生まれたり、色々と応用が出来るようになると思います。
あと、色々とお安く済ませることが出来ます(笑

それでは!!!


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