”売れる”事業計画書の作成に必要なものとは何ぞや?
こんにちは、最近サウナにハマっているシノブです。
今日は単なる事業計画書ではなく、”売れる”事業計画書を作成した話を書いていこうと思います。
売れる事業計画書ってのは、机上の空論や理想だけのものじゃなくて、ちゃんと顧客のことを考えて、顧客に対して売れるものを考え抜いた計画書。
または、事業をやりたいひとのための事業計画書作成のお話、と考えても良き。
【なぜ事業計画書をつくるのか】
僕は現在、知人が新しくつくった会社のファウンダー&コンサルタントとして参画させて頂いているのだけれど、そもそもその知人は事業計画書もわからない状態からのスタートなため、がっつりコンサルに入ることになった。
そもそも今回事業計画書をつくるには理由があって、単純にそれはお金を集めるためだ。それもいわゆる公的機関からの融資である。
僕は以前から資金調達として政策金融公庫からの融資実績、経験があるので割とイメージしやすい話ではあるのだが、なかなか一般のひとにはイメージがしづらい話なのかもしれなかった。
『自分にそんな公的機関から融資なんてしてもらえるのか?』という自信の無さがまず最初にきたが、はっきりいって少しの貯金があって、金融事故のようなものがなければ全然問題は無い。
いわゆる、借金の返済遅れとか、債務整理とか、そういうものが金融事故にあたるわけなのだが、ここはもし隠そうとしてもCICという機関に情報が載ってしまっているため、基本的にはすぐバレてしまう。
念のためこちらでもCICを確認してみたが全く問題がなかったので、貯金がある程度出来ていればOK。
ちなみに、今回の事業計画から逆算すると100万~200万円くらいあればなんとかなるかな、と僕は試算していたがそのあたりも問題なくクリアしていた。
【シナリオの作成】
知人にやってもらう必要があったのは、いわゆるシナリオ作りだ。シナリオ作りというと大袈裟かもしれないが、代表者としての想い、ビジネスモデル、そういったものをまとめていく作業だ。
今まではどんなことを経験してきて、何に共感したり、正したいと思ったのか。どんなきっかけで、どういうサービスを作りたいと思ったのか。
例えばの話。
過去に保育園で働いていた経験があり、そこで園児や施設の先生たちと関わっていくなかで、仕事としてのやりがいはあるものの就労環境としては決して良いとは言えないものがあると感じていた。
そこで、効率的にITを駆使して人がやらなくても良いような業務をシステムに任せて、保育士さんはミスを減らしたり、手間や労力を省いていければ良いと考えた。
そうすれば就労環境の悪さがクリアされて保育士は働きやすくなるし、施設側は離職率の低下にもつながる。業務が効率化されることで、今までよりも園児に対してフォローする時間が増えたり濃度が上がり、保護者にも喜んでもらえる、つまり三方良しの状況にできるわけだ。
ただ保育園の立場からするとどうやってそのシステムを導入したり、運用すれば良いかわからない。
であれば、そういった保育園を支援するシステムを開発して運用のお手伝いをする会社を創れば、保育士が働きやすく、子供のためになり世の中になるのではないかと考えた。
と、まあ例えるならばこんな感じだ。
【エビデンスの作成】
ここにエビデンスのようなものを裏付けとして作っていく。全国の保育園数は40000件、離職率は15%、理由は主にこういったものがあって、ここを改善すれば離職率は5%削減できる、とかそういったものだ。
ここで想いが単なる夢物語ではなく、実際にニーズがあってきちんと世の中の問題を解決できるという説明をしていく。
また、他に同じようなビジネスが存在していないか、もし存在しているならば競合分析も必要だ。その競合の規模感はどれくらいなのか、強みは何があるのか、単価はどれくらいなのか、場所(市場)はどこなのか。
使ったことがなかったり、行ったことがなければ実際に試してみるというのも必要だ。
そのうえで自分たちのビジネスの強みや市場などをまとめていき、競合とはどういった差別化ができるか、棲み分けができるか、といったことを表でまとめていく。
【売上、利益計画】
前項でビジネスモデルとニーズはざっくり作成できたので、次は最重要項目である”儲かるか”について記載していこう。
銀行等の公的機関に限らず、お金を貸す組織というものは融資にあたって真っ先に考えることがある。
それは何か?
一言でいえば『ちゃんと返せるの?』ってことだ。
その返済にあたって重要なのがいわゆる儲かるかどうか、という話なのである。
そこで毎月の売上や経費、利益がどの位の数字になるのか、ということを落とし込んでいく必要がある。
売上の計算方法はシンプルだ。
・顧客数
・売上単価
ビジネスモデルによるが、今回の例の話でいえば上記二つで概ね問題無い。上述のとおり、保育園の数から顧客数を計算し、毎月どれくらい増えていくのか。また、そのシステム導入や運用費の価格設定をして想定売上単価を決める。
すごく簡単に書くと、こんな感じで売上計画を立てていく。
経費についてはもう少し複雑。
■固定費(毎月変わらずかかるもの)
・家賃
・人件費
・サーバー代
■変動費(毎月かかったりかからなかったり、又は金額が変動するもの)
・通信費(電話代とか)
・広告費
・消耗品(名刺とか紙とかペンとか)
大雑把に分けるならばこの2種類に分けて、それぞれがどの位かかるかを計算していく。
この売上から経費を引いた金額がいわゆる利益になるわけだ。
これに加えて、入金や支払のタイミングがそれぞれにあるので、別途資金繰り表を作成する必要がある。
たとえ毎月帳簿上では利益が出ていても、資金繰り上ではマイナスになってしまうことがあるので、現金が足りない月が無いように気をつけていく。
また、事業計画上の売上や利益は余りアグレッシブに良い数字で作りすぎず、やや保守的に作っていくほうが良い。
ビジネスが実際にスタートしたときに、希望的観測が強い数字は見た目も派手になるが、うまくいかなければあっという間に潰れてしまうし、そもそもそんなにご都合主義でうまくいくとは融資担当者も受け取ってくれない。
後々こんなとこでもお金がかかるのか…なんてケースもあるので、あらゆるシミュレーションをしつつ経費も多少多めにとっていくつもりで丁度よいだろう。
他にも本来であれば資産を計算したりもするのだが、返済計画上だけでいえば大きなトピックにはなりえないのでここでは詳細は省くことにするが、以上で数字上の事業計画の作成は完了だ。
【政策金融公庫では数字だけで良い?】
ちなみに、政策金融公庫の申請書はほとんど数値周りのみ、しかも紙にしてたったの数枚。ちょっとした経歴やビジネスの目的は書けるものの、パワーポイントでガッツリ資料を作ってきたひとならば拍子抜けするだろう。
では、その雛形にのっとってちゃちゃっと書けば良いのかというと、けしてそんなことはない。
事業計画書は作って終わりではなく、面談の上でしっかりと説明をして、理解してもらわなければならない。
いかにわかりやすく、また熱意を伝えられるか。
数字上、経営上しっかりと自信をもって説明できるかが非常に大事になってくるので、そのためにもパワーポイントで10枚くらいの資料を作ってしまっても良いと個人的に思う。
【”売れる”事業計画書とは】
さて、ここで本記事のタイトルにもある”売れる”事業計画書について言及しておきましょう。
今回、一から全て僕が事業計画書をつくるのではなく、あくまでサポートという立場で入らせてもらったのだけれど、そこで改めて実感したことがあります。
ひとを動かす物語というのは、他人から与えてもらうものではなく、自分から生み出すものなんだ、ということ。
僕がどれだけ意見を出したとしても、己の根源、ルーツであるところから生まれる想いやエピソードのひとつにはかなわない。
そのエピソードのひとつひとつが、いわゆる企業理念となったり、融資担当者の心を動かしたりしていくわけであります。
数字計画は何より大事なものだけど、えてして机上の空論になりかねない。想定ではこれだけのひとが買ってくれて、使ってくれるというのは計画としては立てられたとしても、なぜかうまくいかなかったりする。
ビジネスというのは、かのドラッカーが言うように顧客からはじまるというのも真理であるし、つまり顧客の問題をどう解決するのか、ということと創業者の熱い想いがあって成功するのではないかなあ、と。
結果、硬い数字と熱い想い、入念な顧客リサーチがあって資金調達がうまくいくことはもちろんなのだけど、”顧客”に対して”売れる”事業計画書が作れた、ということになると思うわけなんですよね。
【まとめ】
・ひとを動かすストーリーをつくる
・しっかりと調査、推察し、裏付けをつくる
・数字は固く、多少うまくいかなくても成長できるくらいの余裕をつくる
というわけで、今回は事業計画書の作成をお手伝いした、という話でした。資金調達の結果はまた後日に。