一心不乱に何かしてみたい。

前回の続きではありません。

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 私は何も頑張れない。

 幼少の時分、私は水色のアコースティックギターを買ってもらった。父親の給料とか、家計の状況を鑑みるに、高い買い物だったに違いない。今ではそのギターはただひたすら窓際にぶら下がる影である。

 小学生になり、サッカー少年団に入った。ユニフォームやマイボール、脛当てなど、どれも安くはない。ないお金を捻出してもらい、私はサッカーに包まれた。まともにボールを蹴る日は、一年に一度あればいい方だ。

 中学生の終わり頃、小説とも言えない、ある種の散文詩を書いて少しいい気になった。高校一年生の時、二千文字あるかないかのショートショートで小さな(というには主催する団体が大きすぎる)賞をもらった。それから半年ほど、もうまともな文章は書いていない。

 今の高校には、ほとんどまぐれで入ったようなものだろう。努力なぞ、他人の十分の一もしていると言えば過言である。ただ覚えることがほんの少し得意だっただけ。何一つ頑張ってやり切った思い出がない。

 好きなことがないわけではないのだ。私は好きだと言いたいことがあまりにも沢山ある。それなのに何一つとして誠実に向き合ったことがないから、好きだと口にすることは許されないのではないかと思う。

 何をするにも資格のない人間が私である。


 一心不乱に何かしてみたい。

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 七月が終わりましたね。
 夏に急かされて、早足になって、何もかも見落として、振り返っても手はもう届かない。何をそんなに急かすことがあるのだ。もう少し微睡んでいたい。

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