恥だらけの人生です。

 私には才能がある。凡人のお前らとは違って、難解な事象も理解できるし、再現だってできる。
 それなのに、お前たちのようなクソ楽しそうな人生を送れないのは……

 思えば小学生の頃からだった。私が自分の「才能」を信じ周囲を見下すようになったのは。図書室で低学年向けの易しいストーリーの「えほん」や単純で意味がなさそうな間違い探しや、迷路の本を手に取る同級生を、僕はハードカバー片手にはっきりと見下していた。
 お前たちは活字のなんたるかを知らない。お前たちは文学の何たるかを知らない。私は知っている。毎日お前たちの知らない世界を開き、涙したり微笑んだり、意味もないものを楽しいと錯覚しているお前たちの何倍も有意義な時間を送っている。
 ささやかな反抗、であった。幼稚園や保育園に行っておらず人間関係を正しく構築できなかった私は、(その他にも理由はあったが)いじめにあっていた。そんな幼稚なことをするお前たちとは違うんだ。私は高尚な人間だ。そう思いたかった。

 文章を読むのが得意だった。同級生の何倍もの速さで教科書の「おはなし」を読み終わり、誰よりも話を理解し、テストではほぼ全て満点。これらは全て、私の自意識を肥大させるに至った。

 ーー私には才能がある。

 本気でそう思っていた。
 周囲を見下す思考の動きは、そのまま己を崇拝する自意識へすり替わり、気がつくと私は、私至上主義の宮殿で一人ふんぞりかえるようになっていた。

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 何となく、今日はここまで。いつか続きを書くかもしれないし、書かないかもしれない。
 私は誰でもない。

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