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小説紹介『スピノザの診察室』

はじめまして、小説が大好きなMikiです!
今回夏川草介さんが書かれた『スピノザの診察室』について紹介していきたいと思います。本書は、医療をテーマにした小説です。

『スピノザの診察室』は、京都の原田病院で働く内科医、雄町哲郎の物語を中心に展開します。哲郎は、最愛の妹が若くしてこの世を去った後、甥と共に暮らすために、大学病院を去り町医者として働く決意をします。その哲郎のもとに、かつての恩師が愛弟子の南茉莉を研修生として送り込みます。当初は哲郎に不信感を抱いていた茉莉も、彼の医者としての腕前と哲学を目の当たりにして、徐々に尊敬の念を抱くようになります。そんな中、アメリカでの緊急オペのサポートを頼まれ、哲郎は再び大学病院へと足を踏み入れることになります。この物語の終わりには、読者を大きく感動させる展開が待ち受けています。

夏川草介さんは、先の見えない苦しい時代にあっても、怒声を上げることなく、勇気と誇り、そして優しさを持って困難に立ち向かう人々の姿を描き出しています。そして、どんな時にも希望を忘れないことの大切さを、この物語を通じて私たちに伝えています。

読んでいて特に印象に残ったのは、哲郎と茉莉が高齢者宅を回診するシーンです。患者一人ひとりに寄り添うその姿勢は、今の時代にぜひとも必要なものではないでしょうか?医師と患者、それぞれの人間性が深く掘り下げられている点が、この小説の大きな魅力の一つです。

また、哲郎が過去に決断した町医者としての生き方が、物語を通じてどのように彼の人生に影響を与えていくのかを追うことも、読後感を一層深めてくれます。最後に待ち受ける感動の展開は、これまでの物語の流れを思い返しながら、じっくりと噛み締めたいと感じました。

『スピノザの診察室』は、医療現場での人間ドラマを通じて、人生の尊さ、そして生きる意味を改めて考えさせられる作品です。夏川草介さんの細やかな人物描写と、心温まる物語は、多くの読者にとって希望となることでしょう。読み終えた後には、自分自身の生き方についても、改めて深く考える機会を得られるはずです。

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