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小説紹介『リバー』

三度のご飯より一度読書!毎日が読書日の優香です!
今回は奥田英朗さんが書かれた『リバー』について紹介していきたいと思います。本書は緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説です。

『リバー』は、群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で次々と女性の死体が発見される事件を描いています。
ある日事件が起こるのですが、それが十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口により、街は恐怖に包まれます。警察、マスコミ、容疑者、被害者遺族、容疑者家族など、様々な立場の人々の苦悩と悔恨が交錯する中、真実が徐々に暴かれていきます。この作品は、ただの犯罪小説に留まらず、人間の業と情を深く掘り下げた群像劇としても描かれています。

あらすじだけを聞いても、この小説がどれほど引き込まれる内容か想像できるのではないでしょうか?緻密に構築されたストーリー、リアルで複雑な人間関係、そして事件の真相に迫る過程は、読者を強く引きつけます。

犯罪に巻き込まれることのリアルな怒りや焦燥、哀しみが伝わり、終始興奮し結末まで怒涛の一気読みでした。
特に、物語が容疑者、遺族、新聞記者、捜査員と目まぐるしく変わりながらも、その転換に違和感がなく、過去の事件との類似性が巧みに繋がり、物語が大きな円になる組織力には鳥肌が立ちます。

個人的に最も印象に残ったのは、作者が容疑者の内面を直接言語化することなく、読者に想像の余地を与えている点です。この手法により、登場人物たちの内面に寄り添いながら、彼らの抱える苦悩や葛藤をより深く感じ取ることができました。

読後感としては、まさに「読み終わりしばし放心」という表現がふさわしいです。物語の重厚さ、緻密に織りなされたプロット、そして人間性の奥深さを描いた本書は、読む者に多くの思索を促します。『リバー』は、犯罪小説を超えた、人間ドラマの傑作と言えるでしょう。

奥田英朗さんの『リバー』は、ただの事件を追う物語ではなく、それを通じて描かれる人間模様が本当に魅力的です。読む者にとって新たな発見があること間違いなしです。興味を持たれた方は、ぜひ手に取ってみてください。読んでよかったと感じること請け合いです!

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