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僕と命のロウソク

第四十三話 2学期

 2学期に入り学校が始まると、久しぶりにクラスのみんなに再会した。

 夏休み中にイメチェンしたのか、髪の毛を染める男女も多く、さらには化粧をするようになったクラスメートの中には、『誰?』と尋ねずにはいられないくらい変化している人もいた。

 でも、そのおかげで、色白だった僕とゆかりちゃんが、真っ黒に日焼けしていたとしてもまったく目立たずに助かった。もし僕らの日焼け具合に気づかれたなら、詮索好きのエロ魔人こと田中に、夏休み中のできごとを根掘り葉掘り追及されていたところだろう。

 夏休みが終わってしまったことは寂しかったけど、夏休みの出来事を友達同士で楽しそうに話しているクラスメートを見て、またいつものにぎやかな学校生活に戻るのも捨てた物じゃないなと思った。

 体育館での2学期の始業式を終え、教室に戻ると担任の加山先生による出欠とお話し、それと夏休みの課題の提出に簡単な掃除で1日の予定が終わった。

 さっそく僕とゆかりちゃんは、部室である美術室に向かった。

 夏休み中に聞かされた朝霧先輩の件で、あれから話し合い込みで何度か部活が行われたけど、なんかギクシャクしていて絵を描いていても楽しめなかったというのが本音だった。

「失礼しまーす!」

 美術室のドアの鍵がかかっていなかったから、誰かがいるとわかっていたので元気な声を上げて入室した。

 案の定、大川部長がパソコンに向かって体育祭のポスター制作中だった。

「こんちわー! 部長、今日からまたよろしくお願いします」

「やぁ! 2人ともよろしくね」

 大川部長がいったん作業の手を休め、僕らに笑顔を向けて挨拶をした。

 一見、元気そうに見える大川部長だけど、部長のロウソクの炎は暗いブルーの色の炎をチロチロと燃やしていた。

(大川部長、まだ朝霧先輩のことで悩んでるのかな……)

 と、思った。

「そういえば、千里先輩は今日来られるのでしょうか……?」

 恐る恐るという感じでゆかりちゃんが部長に尋ねた。

「ああ、朝霧君ね……。今日、体調を崩して休んだらしいんだよ。朝霧君と同じクラスの女子が言っていた。大事じゃなければいいけど……」

「そうなんですか……」 

 ゆかりちゃんは、ホントにガッカリという言葉が当てはまるような、落ち込んだ様子を見せた。

 朝霧先輩は、軽井沢での金井先生との密会を見られたりはしたけど、実際、夏休み中に仕事が詰まっていたのは事実らしいので、

(疲れが溜まって体調を崩したのかな?)

 と、その程度に僕は思っていた。

 だけど、後にあんな大事件が起こるなんて、誰も予想すらできなかった。

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