「パセポン」可愛いお店の名前で食事
「無職仲間」 である駆け出しのころから仲良しの先輩に連絡を取った。
「ごはん行きません??」
目的地は 僕の住む 山口県は宇部市のごはん屋さん
「食堂と喫茶 パセポン」
存在は知っていたが 遠方であしが伸びなかった。
今回知人に 「いつも いっぱいだから」と教えてもらったので意を決して訪れてみることにした。
なんともかわいらしい名前だ。
一度 聞いたら忘れない。
この日本語の持つ響き きっと親日外国人の方も
「OH~! パセポン Kawaii デスネー」
と言ってくれるのではなかろうか。
ご主人が どんな想いと意味を込められて付けられたのかは わからないしもしかすると 特別な何かを込められた お名前なのかもしれない。
ただ 料理の世界に長い間 身を置いている者としては 「パセポン」とは
「なんと 面白い名前を付けられたのだろう」と思ってしまう。
「パセポン」=パセリのみじん切り
なのだ。 なぜそういうかは 知らない。 厨房によっては 「パセコン」なんて呼び方をするところもある。
おそらく コンカッセ 【concasser】 が語源ではなかろうかと 勝手に推測している。
パセリを荒く刻む パセリコンカッセ =略してパセコン が転じてパセポンになったのではなかろうかと。
パセリを 「ポン」と置くから「パセポン」になったと言っている過去の同僚説も参考までに。
「目的地は 左側です」
インターネットの情報では 「駐車場が狭いため 1組1台の車での来店」を呼び掛けておられ「写真撮影は ご遠慮ください」と書いてある。
いやはや よくある頑固な職人さんのおられるお店なのか?
「無職仲間」である先輩を途中で拾い そんな話をしながら 宇部市を目指したのであった。
「目的地は左側です。」
県道28号線 ロードサイド 線路そばにそのお店はあった。
中に入ってみるとカントリー調のかわいらしい広い店舗。
多肉植物や観葉植物にドライフラワーアレンジメント 古い外国のミシン 木彫りの豚の置物 古びた舶来の壁掛け時計。傷が入ったアンティークの机 どれをとっても可愛らしく 雰囲気が 素晴らしかった。
見渡す限り 女性客のみ。
13時過ぎの入店で 席数は多くないが 8割の席が埋まっている。
そんな かわいらしいカントリー調の店内で 無職のおっさん二人が 若い女性客に埋もれて食事をする画 を想像すると なんともシュールで
俯瞰的にみても とても面白い画だと 内心笑っていた。
Bセットは 注文しません
メニュー数は豊富で 洋食。
スパゲッティや ハンバーグ カレー オムライス などの親しみがあるものだ。 単品にセットで サラダ ライス コーヒーをつけるスタイルらしい。 (ABCのセットで 一つずつ 品数が増える)
先輩は 「アンチョビとキャベツのスパゲティ」を
僕は「単品のカツカレー」をお願いした。
「カツカレーがオススメ」
とネットに書いてあったので 是非とも試さねばと思った。
だが「セットはいらないな サラダって気分でもないし コーヒーは食後に単品で頼んだらいいや」と考えた。
「カツカレー Bセットじゃなくていいん?」
僕の向かいに座っている「アンチョビとキャベツのスパゲティ」を注文した もう一人の無職のおっさんが発した。
Bセットの内容は 「サラダ ライス コーヒー 」
カレーにライスつけて どうするん? (笑)
この先輩はいつもそんな冗談をいうのだ。
「Bセットは ライスがついております。 カツカレーにもライスがついておりますので 他のセットの方が よろしいかとよろしいかと思います。」
奥様と思しき店員さんが まじめに答えた。
僕がツッコミを入れるより早く。
「すみません。」僕は店員さんに 謝った。
「僕が ツッコもうとおもったら 店員さんがツッコんだじゃないですか!!」と先輩に。
店員さんは 僕の一言で気が付いたらしく 笑顔に変わった。
先輩は それを見て ニコニコと満足そうにしていた。
Bセットは「サラダ ライス コーヒー」 です。
料理が運ばれてくると かわいらしいお皿 楕円形盛られた白いご飯
その上に分厚いカツ お皿の残りの半分に カレールーの池。
カツカレー嫌いな男の人っているだろうが 少ないだろうな そんなことを思いながら まずカツの断面を起こし 厚さを愛でた後 スプーンで少量のルーをカツに着せ 一口目のカツを頬張って楽しんだ。
カツの味を堪能しながら 時差でカレーの風味と味
「カツうんま。」
そのあとはカツを ルーで半身浴させてお米と一緒に 口の中へ。
運ばれてきた時 ひと皿の量は少なく見えたが 全部が胃に収まると ちょうど良い満足感。
コーヒーはどうしようかと悩んだが 食後に あの苦み が欲しくなり やはり注文することに。
先輩は サッポロ黒ラベルを注文して 別の苦みを 手酌酒でのんびり楽しんでいる。
「すいません」店員さんを呼んだ。
僕「コーヒー追加で」
先輩 「Bセットで。」
僕「コーヒーをメインにサラダとライスを食べて 食後にコーヒーですか?アホですね。(笑)」
先ほどのやり取りもあり 店員さんも 終始 笑顔で その会話を聞いてくれた。
きっとこんなアホな注文はこのお店の歴史で始まって以来だろう。
こういう冗談も 度を越さなければ 楽しいコミュニケーションだ。
店員さんも僕も先輩もみんな 会計の時も 笑顔だった。
最後 出る間際 レジ横に 今時珍しい店名の入ったマッチを見かけ いただいて帰った。
次回 来訪時には ハンバーグを食べてみようと思う。なぜなら 僕らの前の注文で売り切れになったのだ。きっと人気商品なのであろう。
次回必ず食べたくなるヤツ 人間の心理だな。(笑)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?